富山県警のヘリコプターによる山岳救助が有料化されるかもしれない、というニュースが流れたのは昨年の6月でした。
富山県警ヘリコプターが有料化 されるかも/豊後ピートのブログ
その後は特に報道されていないようですので、おそらく立ち消えになったのでしょう。
が、埼玉県で条例化を検討ということになったため、再び富山県でも議論が始まっちゃったみたいですね。
県事業仕分け、消防防災ヘリ「有料化難しい」
北日本放送 2010 年 10 月 25 日 18:40 現在
今大人気の事業仕分けにおいて、ヘリコプターの有料化ができないのか、という疑問が出たようですね。
引用
県の消防防災ヘリコプターは去年、228日運航され、緊急出動した94件のうち半数以上の49件が標高2千メートル以上での山岳遭難でした。
その運航管理費は県の今年度の予算額が1億7千5百万円あまりで15市町村が負担している隊員の人件費をあわせると年間およそ2億3千万円の税金が使われています。
引用おわり
出動のうち、半分は山岳救助絡みです。多いですね。ちなみに「とやま」さんはこんなヘリコプターです。
富山県消防防災ヘリコプター「とやま」の運航概要
さて本題
引用
25日は仕分けを担当する委員がヘリでの救助活動で有料化の議論が起きている埼玉県の例を挙げて有料化の方針があるかどうかをたずねました。
引用おわり
仕分け担当の委員による以上の質問に対して、
引用
これに対して県は、県警など関係機関との調整や救助される人の責任を判断する基準が難しいなどの課題が多いことから「今のところ有料化は考えていない」と答えました。
引用おわり
報道されている内容を見る限り、ごく普通に回答終了って感じですね。県警のアレはどうなったのか、ちょっとぐらい触れてもいいのに・・・・。
さて、個人的には「有料化は美しい」と主張しているわけなんですけど、同時に導入がとっても大変そうなことについては、これまでしつこく書いている通りです。
中でも一番問題になるのは、山岳救助って実は非常に広範囲にわたること、なんです。以前のエントリーにおいて、山岳遭難には山菜採りや渓流釣り、MTBなんかも含まれますよ、と書いていますが、実はもっともっと広範囲です。
観光地には遊歩道が設けられていることが多いのですが、そういった道は車の通行ができないものが多々あります。で、そういった遊歩道の奥で、例えば転倒して骨折したとしましょう。病気で動けなくなった、でもいいです。そんな時、119番通報したとしても、消防車や救急車は入ってこれません。
となると、時と場合によっては、これが山岳救助扱いになってしまうわけですな。運が悪いと、ヘリコプターのお世話になってしまいます。
具体例をいくつか。
高尾山の山頂へはケーブルカーを使えば楽勝で登れますし、ほとんどが舗装された道です。本格的な装備をした山ヤもいるでしょうけど、ほとんどはただの観光客です。ぶっちゃけ、山と言うより観光地です。
で、山頂とか薬王院あたりで転んでケガしちゃった場合、どうなるか。
一応、ここまで救急車が上がってこれるらしいのですが、1号路が混雑している場合には人力あるいはヘリコプターでの搬送になるようです。これはもう、立派な山岳遭難事故でして、実際、消防署の山岳救助隊員が出動します。
八方尾根にある八方池もまた、リフトを使えば1時間程度の山歩きで到着できてしまう観光地です。ここはさすがに本格的装備の人が多いのですけど、ごく普通の観光客も大量に登ってくるわけですね。普通の観光ツアーの団体も訪れます。
で、ここで事故ったら文句なしに山岳遭難です。
つまり、山にまったく登らないような人でも、ある日突然、遭難者になってしまう可能性があるわけですな。で、こういう人々に「救助は有料です。100万円ぐらいかかるけど大丈夫だよね?」と質問したところで、すんなりいくとは思えません。
埼玉県にはもちろん本格的な登山コースがありますし、またお手軽なハイキングコースも多数あります。そして観光地に付属した遊歩道も、それこそ無数にあるでしょう。
山に登らなくても、滝を見るとか、巨樹を見るとか、あるいは森の中をお手軽に歩ける遊歩道は数え切れないほどあるはずです。それこそハイヒールで行けてしまうケースもあることでしょう。そして山登りや山菜採りをしない人でも、そういった場所を訪れた経験はあるはずです。
こういった点も議論を重ねないと大変なことになるのではないか、と、危惧しておりやす。
富山県警ヘリコプターが有料化 されるかも/豊後ピートのブログ
その後は特に報道されていないようですので、おそらく立ち消えになったのでしょう。
が、埼玉県で条例化を検討ということになったため、再び富山県でも議論が始まっちゃったみたいですね。
県事業仕分け、消防防災ヘリ「有料化難しい」
北日本放送 2010 年 10 月 25 日 18:40 現在
今大人気の事業仕分けにおいて、ヘリコプターの有料化ができないのか、という疑問が出たようですね。
引用
県の消防防災ヘリコプターは去年、228日運航され、緊急出動した94件のうち半数以上の49件が標高2千メートル以上での山岳遭難でした。
その運航管理費は県の今年度の予算額が1億7千5百万円あまりで15市町村が負担している隊員の人件費をあわせると年間およそ2億3千万円の税金が使われています。
引用おわり
出動のうち、半分は山岳救助絡みです。多いですね。ちなみに「とやま」さんはこんなヘリコプターです。
富山県消防防災ヘリコプター「とやま」の運航概要
さて本題
引用
25日は仕分けを担当する委員がヘリでの救助活動で有料化の議論が起きている埼玉県の例を挙げて有料化の方針があるかどうかをたずねました。
引用おわり
仕分け担当の委員による以上の質問に対して、
引用
これに対して県は、県警など関係機関との調整や救助される人の責任を判断する基準が難しいなどの課題が多いことから「今のところ有料化は考えていない」と答えました。
引用おわり
報道されている内容を見る限り、ごく普通に回答終了って感じですね。県警のアレはどうなったのか、ちょっとぐらい触れてもいいのに・・・・。
さて、個人的には「有料化は美しい」と主張しているわけなんですけど、同時に導入がとっても大変そうなことについては、これまでしつこく書いている通りです。
中でも一番問題になるのは、山岳救助って実は非常に広範囲にわたること、なんです。以前のエントリーにおいて、山岳遭難には山菜採りや渓流釣り、MTBなんかも含まれますよ、と書いていますが、実はもっともっと広範囲です。
観光地には遊歩道が設けられていることが多いのですが、そういった道は車の通行ができないものが多々あります。で、そういった遊歩道の奥で、例えば転倒して骨折したとしましょう。病気で動けなくなった、でもいいです。そんな時、119番通報したとしても、消防車や救急車は入ってこれません。
となると、時と場合によっては、これが山岳救助扱いになってしまうわけですな。運が悪いと、ヘリコプターのお世話になってしまいます。
具体例をいくつか。
高尾山の山頂へはケーブルカーを使えば楽勝で登れますし、ほとんどが舗装された道です。本格的な装備をした山ヤもいるでしょうけど、ほとんどはただの観光客です。ぶっちゃけ、山と言うより観光地です。
で、山頂とか薬王院あたりで転んでケガしちゃった場合、どうなるか。
一応、ここまで救急車が上がってこれるらしいのですが、1号路が混雑している場合には人力あるいはヘリコプターでの搬送になるようです。これはもう、立派な山岳遭難事故でして、実際、消防署の山岳救助隊員が出動します。
八方尾根にある八方池もまた、リフトを使えば1時間程度の山歩きで到着できてしまう観光地です。ここはさすがに本格的装備の人が多いのですけど、ごく普通の観光客も大量に登ってくるわけですね。普通の観光ツアーの団体も訪れます。
で、ここで事故ったら文句なしに山岳遭難です。
つまり、山にまったく登らないような人でも、ある日突然、遭難者になってしまう可能性があるわけですな。で、こういう人々に「救助は有料です。100万円ぐらいかかるけど大丈夫だよね?」と質問したところで、すんなりいくとは思えません。
埼玉県にはもちろん本格的な登山コースがありますし、またお手軽なハイキングコースも多数あります。そして観光地に付属した遊歩道も、それこそ無数にあるでしょう。
山に登らなくても、滝を見るとか、巨樹を見るとか、あるいは森の中をお手軽に歩ける遊歩道は数え切れないほどあるはずです。それこそハイヒールで行けてしまうケースもあることでしょう。そして山登りや山菜採りをしない人でも、そういった場所を訪れた経験はあるはずです。
こういった点も議論を重ねないと大変なことになるのではないか、と、危惧しておりやす。
>あんなパープリン事故でも山岳救助に該当するのでしょうか?
この場合は水難事故ってことになりますかね。山の事故と似てるといえば似てます。
>人命救助をすぐ銭勘定に置き換えるところに現場を知らない役人の嫌らしさを感じます。
埼玉の県議にしても、また例の条例に対して手放しで絶賛してた人にたいしても思いますが、それを実行したら現場でどういうことが起きるのかについて、あまりにも考えていないですよね。だから単純に費用を請求できると思っているのでしょう。
責任の所在をしっかりと決めてね。
(言い出しっぺ、法律つくった議員メンバー、賛成した議員他すべて実名公開)
パトロール(防災ヘリもやります)や訓練を考えず、単に運行費を件数で割ると 一件あたり244万円。
意外に安いんですね。
おそらくですけど、いざ請求費用を算出しようとした段階でつまづくでしょうし、あらかじめ請求額を決めようとする段階でも、問題の複雑さに気づくような気がします。
ONS様
出動を200件ぐらいに増やせば、たぶん1件あたりの費用が100万円ぐらいになります。出動が増えれば増えるほど1件あたりのコストが安くなるので、県民の理解を得られやすくなりますね、
ってギャグのつもりですが・・・
確かに、ヘリさえ墜ちなければ件数が多少 増えたり減ったりしても 劇的には運航費は変わらないでしょうね。
国主導の共済システム(基金)が確立されたらいいんじゃないかな と思います。
ヘリだけじゃなくて 人力も有料にして、搬送を有料にするとか。
請求は人力でもヘリでも10万円くらいまでにして、とにかく基金への加入を促進させ 財源確保。
国主導だと救助費用の倍くらい維持に税金使っちゃうかな?
ピートさんが書いているように高尾山は観光地で一般の人もたくさん歩いており、高尾から城山へ下る階段ではおばあさんがヨチヨチ歩いているのに、脇をすり抜けるように走っていくトレランの団体を見て、非常に不快な思いをしました。こういうとき接触して転倒&骨折、、でも「山岳遭難」ですよね。
彼らにそういう意識はあるのかな、、と思ってしまった一日でした。本当に残念です。