ミャンマーの少数民族ロヒンギャ族の人々が、国籍も与えられず、国内からは迫害され、また、他国に脱出しようとすると、他国に拒絶されて、行き場を失っている、という報道があり、胸が痛みます。
*****
「ロヒンギャ族の船沈没 バングラデシュ沖、50人不明」
朝日新聞デジタル 11月8日(木)0時54分配信
バングラデシュ南東部のテクナフ沖のベンガル湾で7日、ミャンマー国境付近からマレーシアに向かっていた多数のイスラム教徒のロヒンギャ族らを乗せた船が沈没した。
ロイター通信によると、バングラデシュの国境警備隊などが約70人を救出したが、残りの約50人が行方不明。
ミャンマーでは、仏教徒との衝突で多数の死傷者が出たロヒンギャ族が国外に逃げる動きが続いており、こうした人々が乗船していたとみられている。
ベンガル湾では10月28日にも、ロヒンギャ族ら約130人を乗せた船が沈没し、大半が行方不明になっている。
朝日新聞社
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121108-00000005-asahi-int
*****
http://www.asahi.com/international/update/1031/TKY201210310720.html?ref=yahoo
【1月18日 AFP】インド政府は18日、ミャンマーからタイへの難民数百人がタイ海軍によって拘束された後、洋上へ放置されインド沖で遭難しているとし、タイ政府を強く非難した。
インド沿岸警備隊は同日、ミャンマーとバングラデシュ国境に住むイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)の難民数百人を救助したと発表した。
同警備隊はさらに数百人が行方不明になった恐れがあるとみている。
インド側は、タイ沿岸にボート難民として漂着したロヒンギャの移住希望者を、タイ海軍が拘束し、外洋までけん引していき置き去りにしたと、タイ政府を非難している。
タイ政府はこの説明を否定しているが、生存者の証言やインド沿岸警備隊の最新報告によって同政府への圧力が強まった結果、19日に人権擁護グループらと会見するとしている。
■タイ軍艦船でえい航して沖合いに放置か
インド領アンダマン諸島とニコバル諸島を管轄する警察の幹部は、「彼らはタイ沖の島に連行され、そこで暴力を受け、無理やりボートに詰め込まれてボートごと外洋に置いていかれた」と語った。
AFPの取材に応じたインド沿岸警備隊のS・P・シャルマ司令官によると、まだ数百人が行方不明になっている恐れがある。
インドは前月末以降、ボート4隻に乗っていた446人の難民を救出したという。
香港英字紙サンデー・モーニング・ポストも行方不明者と死者の合計が538人に上ったと報じている。
シャルマ司令官は、難民たちはタイ当局に拘束され、エンジンや航海装備のない船で沖に放り出されたと述べた。
「数人の生存者がタイ軍によって沖までえい航されたと証言している。
海の真っただ中に置き去りにされる前に、米飯2袋、水2ガロン(約8リットル)が与えられたようだ」(シャルマ司令官)
タイ政府は、分離独立を主張する南部の反政府勢力と激しく戦っており、過去5年間で3500人以上が死亡している。
このため政府はあらゆる移民の大量流入に神経をとがらせている。
しかし、タイ側は海軍、政府ともにインド側の非難を否定している。
タイ海軍のPrachachart Sirisawat報道官は「当局は密入国者を拘束した際の通常の手続きをとった」とAFPに反論した。
一方で、証拠写真やアンダマン諸島を最近訪れた欧米人旅行者らの証言が次々に明らかになり、インド側の主張を裏付けている。
浜辺に並んだ難民たちが頭上で腕を縛られている写真も報道された。
■ミャンマー軍政の迫害逃れるロヒンギャ人
国連難民高等弁務官事務所では前週、疑惑が浮上した段階ですでにタイ政府に接触したが、これまでのところタイ政府からの回答はないという。
イスラム系少数民族ロヒンギャの人びとは国家に属さず、ミャンマーの軍事政権に迫害されている。
このため貧困と抑圧を逃れ、毎年数千人がイスラム教国であるマレーシアへの逃亡を目指して小船での脱出を図っている。
米ニューヨークに拠点を置く国際人権監視団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」のミャンマー専門家、デビッド・マシソン氏によると、タイ経由の亡命の増加を阻止したいタイ政府はここ数年、同国沿岸に漂着したロヒンギャの難民たちに過酷な対応を行っている。
またこうした措置は、難民たちの一部がタイの反政府勢力に合流することをタイ政府が恐れたからでもあるが、マチソン氏はそうした懸念を裏付ける証拠はないと述べた。(c)AFP
*****
HP「ビルマ情報ネットワーク」
http://www.burmainfo.org/article/article.php?mode=1&articleid=135
には、この問題の詳しい歴史が書いてありました。
アウンサン・スーチー氏も、この問題にはノーコメントだと語っています。
ロヒンギャ族は不法移民であり、ミャンマー人と認められないと考えているのだと思われます。
*****
「ミャンマーの民主化活動家、ロヒンギャ族への支持を拒否」
Iran Japanese Radio 2012 ・11・04
ミャンマーの民主化活動家でノーベル平和賞の受賞者であるアウンサン・スーチー氏が、ミャンマーのイスラム教徒に対する仏教徒の暴力に対し沈黙し、ロヒンギャ族のイスラム教徒への支持を拒否しています。
人口の大部分を仏教徒が占めているミャンマーには、多くのイスラム教徒も暮らしており、国連の報告によれば、ミャンマーの少数派のうちで、ロヒンギャ族のイスラム教徒が、最も虐待を受けている民族だとされています。
様々な報告によりますと、ミャンマーでのイスラム教徒に対する過激派の仏教徒の最近の攻撃により、300名以上が死亡しています。
アウンサン・スーチー氏は3日土曜、BBCのインタビューにおいて、「ロヒンギャ族のイスラム教徒を支持することはない」とし、「私は、この事件に対しては沈着冷静を保つよう求めている」と語りました。
ミャンマーのラカイン州で仏教徒の襲撃により死亡し、または住む家を追われているイスラム教徒に対する暴力について、スーチー氏が立場を表明したのははじめてのことです。
世界の人権擁護活動家は、ロヒンギャ族のイスラム教徒に対する暴力にスーチー氏が沈黙していることを強く非難しています。
世界の主要なメディアは、ミャンマーの仏教徒や政府軍によるイスラム教徒への虐待や拷問に関する証拠資料を作成しています。
主に仏教徒の閣僚から構成されているミャンマー政府は、ロヒンギャ族のイスラム教徒を少数派として正式に認めておらず、これらのイスラム教徒は現地住民ではなく、不法な移民である、と主張しています。
国連難民高等弁務官事務所の報告によりますと、今年10月の1ヶ月間だけで、ミャンマーでは2万8000人以上が民族間の暴力の拡大を恐れて、住む家を離れている」とされています。
*****
そこで「wikipedia」でロヒンギャ族の人種を見てみました。
ロヒンギャ族は「ミャンマーのベンガル系少数民族」とあり、ベンガル系とは、「ドラヴィダ人とアーリア人の混血」であるとありました。
ドラヴィダ人とは、古代インダス文明を作ったと考えられている人々ですから、ミャンマーにおいては少数民族とはいえ、古い民であるのだと確認しました。
・・・・・
wikipedia「オーストラロイド」より
オーストラロイド(英: Australoid)は、人種概念の一つで、コーカソイド、ネグロイド、モンゴロイドと並び四大人種と呼ばれる。
オーストラリア大陸、ニューギニア、メラネシアを中心としたオセアニア州及びスンダ列島、フィリピン、タイ、スリランカ、ムンバイを中心としたインド西南部から南部などの東南アジアから南アジアにかけての地域に分布する。
ユーラシア大陸に進出した人類のうち、7 - 5万年前に、インド南部の海岸地帯からスリランカ・スンダ列島を経由し、サフール大陸(ニューギニア・オーストラリア大陸を中心とした現在のオセアニア地域。サフル大陸とも)に進出した人類の子孫と考えられている。
後には遺伝子の研究により、オーストラロイドが遺伝的に従来の狭義のモンゴロイドと近いことから、共に広義のモンゴロイドに含める学説も出た。
近年の学会では、「人種」でなく地域集団として捉える考え方が主流となってきており、その場合オーストラロイドはサフール人と称される。
遺伝的に近い、旧来の狭義のモンゴロイドである東ユーラシア人(東・東南アジア人)・南北アメリカ人(アメリカ先住民)にサフール人を含めて、以前の広義のモンゴロイドを「環太平洋人」とする学説も出ている。
オーストラロイドは一見、地域ごとに人種が枝分かれする以前の、初期ホモ・サピエンスの特徴を残しているようにも見え、しばしば原生人種などと呼ばれることがあった。
しかし遺伝的には初期人類との隔たりが大きく、かつDNA分析からは西ユーラシア人(コーカソイド)から、あるいは東ユーラシア人から分岐したことが証明されており、過酷な環境への適応によって形成された特殊な文化的なイメージと形質からそのような誤解を持たれているに過ぎない。
なおオーストラロイドは、ネグロイドと同等程度に皮膚の色が極めて濃い。
肌の色とは対照的であるが、髪の色が明色で金髪という個体がアボリジニやメラネシア人の女性や子どもによく見受けられる。
なお髪の色は 成長するにしたがってしだいに黒くなっていく。
主なオーストラロイド民族
• アボリジニ(オーストラリア大陸先住民族/インド洋大語族)
• パプア人(ニューギニア島先住民族/インド洋大語族)
• メラネシア人(メラネシアに居住/大洋州諸語)
o カナック(メラネシア系民族)
o カロリン人(メラネシア系民族)
• ネグリト人(大洋州ピグミー・メラネシアピグミー)/(アンダマン諸島・フィリピン諸島・マレー半島・スマト ラ島・ニュージーランドの先住民族)
o セマン族(ネグリト系マレーシア先住民族のオラン・アスリで非マレー民族)
• ヴェッダ人(ベッダ族)/(セイロン島先住民族)
o セノイ族(ヴェッダ系マレーシア先住民族のオラン・アスリで非マレー民族)
• ムンダ族(北西部インド大陸先住民族だがアーリア人に追いやられてからはビハール州に移住/オーストロアジア 語族)
• ゴンド族(インドのデカン高原先住民族/ドラヴィダ語族)
• ドラヴィダ人(南インド大陸に居住)
o タミル人(インドのタミル・ナードゥ州に居住/ドラヴィダ系民族)
• ベンガル人(バングラデシュの主要民族/ドラヴィダ人とアーリア人等の混血民族)
o ロヒンギャ族(ミャンマーのベンガル系少数民族)
・・・・・
関連記事
「その他先住民族」カテゴリー
「ブログ内検索」で
ミャンマー 4件
ベンガル 1件
少数民族 9件
などあります。(重複しています)
根保孝栄・石塚邦男様
開けましておめでとうございます。
コメントどうもありがとうございました。
インド亜大陸は広いですからね。。
インダス文明という古代4大文明としても、その地域の広さが特色の一つだということです。
スケールの大きさを感じます。
それに、先住民族といっても、紀元前からの話ですから、すごいですね。
また、インド・ヨーロッパ語族という考えは、東洋と西洋の根源的なつながりを示していると言えるだろうと思えます。
これもスケールの大きな話ですよね。
でも、ヒットラーが愛した「アーリア民族」と、現実のインド世界はどのように関わっているのでしょうか?
大変興味深いです。
先住民族は自分たちのことを「人間」という名前で呼ぶといいますが、アーリア民族の「アーリア」は「高貴な民」という意味だそうです。
アーリア民族はどのようにインド文明と関わったのか、やはり先住民族を征服した人々なのでしょうか?
アイヌ民族のことも大切にしたいと思っています。
国が先住民族と認めたのですから、学校でアイヌ語を教える授業があってもいいのに、と思います。
アイヌの人たちに誇りを持っていてほしいですね。
日本でも30年前にはアイヌ問題がおおきくクローズアップしてました。今もくすぶってます。
根保孝栄・石塚邦男様
コメントありがとうございました。
ほんとうに、私もそう思います。
でも、ロヒンギャ族の問題は難しいのだそうです。
もともと、ミャンマーの原住民というよりは、南インドやバングラデシュの人たちなのだと思われます。
それで、ミャンマーとの交易をして暮らしていて、バングラデシュとミャンマーの両方を行ったり来たりしていたのだそうです。
ですから、ミャンマーからすれば、不法移民と考えたいという気持ちもあるのだと思います。
私は、ロヒンギャ族を、ドラヴィダ族系というインダス文明をつくった古代民族としても捉えたい、と考え中です。
それが弾圧、排除とはかわいそうではないか。