「アラブとムスリムは世界に荒れ狂うテロの直積責任を認めよ
―イラク紙編集長の主張―
2015年11月13日パリでIS(イスラム国)による同時多発テロが起きた後、イラク紙Al-Mada編集長フセイン(‘Adnan Hussein)が、「これは我々の犯したテロである、我々に責任がある」と題して、厳しい記事を掲載した。そのなかでフセイン編集長は、スンニ派及びシーア派を含むムスリム全員が、世界中で猛威をふるっているテロの直接責任者である、と主張した。彼によると、ムスリム世界では、教育カリキュラム、メディアそしてモスクが、人殺しと斬首を容赦する野蛮なイスラムを鼓吹し教えこむ場になっており、平和と憐憫の情を説く別のイスラムの声は、殆んど聞くことがない。イスラムの この宗教的過激主義は、ムスリムが諸国民のなかで最高であり、それ以外の者は地獄へ落ちる不信心者である、と説き、ムスリム青少年をほかの人類を撲滅する〝聖なる世界大戦〟に駆りたてる。ムスリムはこれを認め、学校とモスク及びメディアのレトリックを変える総括的改革に取組むべきであると、フセイン編集長は述べている。以下その記事内容である※1。
著者アドナン・フセイン(source: almadapaper,net)
恐るべきテロがフランスの首都パリを新たに襲った。我々はこのテロの責任をまぬがれない。これまで20年以上も我々の国を含む世界中の様々な地域と国でテロ攻撃があいついでいるが、我々アラブ・ムスリムが直接的役割を果し密接に関わってきた。我々はこの責任を放棄することはできない。
小学校、中学校、高等学校そして後になると大学でも、宗教と歴史の教科で我々は選民であり、至高且つ栄光の民であるとか、我々の宗教が真の宗教であり、(地獄の業火から)救われる正しい民は我々であるとか※2、ほかの民は偽りの民で地獄に落ち業火に焼かれる不信心の民であり、その民の殺害は許され、その民の財産と妻を我々がとっても構わないなどと教えている。学校の教室では、コーランの章句や預言者のハディース(伝承)から引用して、行為の正当化が行われる。歴史の文脈からずれた引用であるのに、コーランやハディースを持ちだしてくるので、我々は、判定が絶対的であり、審判の日まで、いついかなる時でもそれを適用しなければならないという印象をうけてしまう。
モスクやフセイニヤ(シーア派の礼拝所)で、彼等は我々の宗派的性向を強める。他の宗教を敵視して敵対行動を煽り、ムスリムでも別の宗派に対する敵意をあらわにして、ハワーリジュと呼び※3、ラワフィド(シーア派に対するスンニ派の蔑視語)、或いはナワシブ(スンニ派に対するシーア派の蔑視語)と言い合い、変節とか背教などと悪態をつくのである。
今日我々の子供達や孫達は、学校、大学、モスク及びフセイニヤで、巨大且つ強力な党派的毒薬を投与されている。知性も精神にもまさに命とりとなる。宗派のテレビとラジオは24時間同じことをたれ流し、学校や病院にまわすべき金を活動資金として受けとり、力をつけている。我々の子供達と孫達は、他者の宗教や民族或いは国籍などに関係なく、すべての他者を敵視して、世界聖戦をやっているのである。この環境が過激イスラム集団を生みだした。この集団は、貧困と失業という土壌で発芽し、汎アラブ主義の名においてそして又時には宗教と宗派の名において犯される拝斥、人権強奪、個人及び集団の自由の侵害そして信義の侵害によって育っていく。
我々はテロに対する我々の責任からのがれることはできない。言い訳も役に立たない。まず我々は責任を認め、我々自身と他者に謝罪し、今から我々の生き方を改めていかなければならない。そのためには、教育のカリキュラムを再検討し、初等教育から大学レベルまでそれを根本からかえなければならない。それをやらないと何も前に進まない。学校のカリキュラム、大学、モスク、フセイニヤ、ラジオとテレビで表明される宗教上の教えを変えない限り、許しもない。何故ならば、(その各々の場で表明される)宗教は、寛容、平和、調和、責任の分かち合い、他者に対する思いやりの宗教ではないからである。学校のカリキュラム、大学、モスク、フセイニヤ、そしてラジオとテレビで表明される宗教は、斬首と流血の性格を持つ野蛮な宗教である。盗みと強奪、隷属そして強姦を勧め、扇動する宗教である。ほかの(他者を思いやる)宗教は、これこそ本当の宗教と主張する者もいるが、我々の生活のなかに存在しない。存在してもせいぜい弱い声が発せられるだけで、殆んど誰の耳にも届かない。特に抑圧された若い世代には全然聞えない。人間性が貧困と拒否そして権利の否定で傷つけられたうえ、狂気のカリキュラムとファトワで洗脳されているからである。
※1 2015年11月15日付Al-Mada(イラク)
※2 ハディースによると、預言者はムスリムの民が多数のさまざまな集団、宗派に分裂するが、そのうちのひとつしか救われない。
※3 ハワーリジュは、第4代カリフ(`Ali bin abu Taleb)の支配から分離し、イスラム最初の宗教的対立グループをつくった。」
http://memri.jp/bin/articles.cgi?ID=SP622115
―イラク紙編集長の主張―
2015年11月13日パリでIS(イスラム国)による同時多発テロが起きた後、イラク紙Al-Mada編集長フセイン(‘Adnan Hussein)が、「これは我々の犯したテロである、我々に責任がある」と題して、厳しい記事を掲載した。そのなかでフセイン編集長は、スンニ派及びシーア派を含むムスリム全員が、世界中で猛威をふるっているテロの直接責任者である、と主張した。彼によると、ムスリム世界では、教育カリキュラム、メディアそしてモスクが、人殺しと斬首を容赦する野蛮なイスラムを鼓吹し教えこむ場になっており、平和と憐憫の情を説く別のイスラムの声は、殆んど聞くことがない。イスラムの この宗教的過激主義は、ムスリムが諸国民のなかで最高であり、それ以外の者は地獄へ落ちる不信心者である、と説き、ムスリム青少年をほかの人類を撲滅する〝聖なる世界大戦〟に駆りたてる。ムスリムはこれを認め、学校とモスク及びメディアのレトリックを変える総括的改革に取組むべきであると、フセイン編集長は述べている。以下その記事内容である※1。
著者アドナン・フセイン(source: almadapaper,net)
恐るべきテロがフランスの首都パリを新たに襲った。我々はこのテロの責任をまぬがれない。これまで20年以上も我々の国を含む世界中の様々な地域と国でテロ攻撃があいついでいるが、我々アラブ・ムスリムが直接的役割を果し密接に関わってきた。我々はこの責任を放棄することはできない。
小学校、中学校、高等学校そして後になると大学でも、宗教と歴史の教科で我々は選民であり、至高且つ栄光の民であるとか、我々の宗教が真の宗教であり、(地獄の業火から)救われる正しい民は我々であるとか※2、ほかの民は偽りの民で地獄に落ち業火に焼かれる不信心の民であり、その民の殺害は許され、その民の財産と妻を我々がとっても構わないなどと教えている。学校の教室では、コーランの章句や預言者のハディース(伝承)から引用して、行為の正当化が行われる。歴史の文脈からずれた引用であるのに、コーランやハディースを持ちだしてくるので、我々は、判定が絶対的であり、審判の日まで、いついかなる時でもそれを適用しなければならないという印象をうけてしまう。
モスクやフセイニヤ(シーア派の礼拝所)で、彼等は我々の宗派的性向を強める。他の宗教を敵視して敵対行動を煽り、ムスリムでも別の宗派に対する敵意をあらわにして、ハワーリジュと呼び※3、ラワフィド(シーア派に対するスンニ派の蔑視語)、或いはナワシブ(スンニ派に対するシーア派の蔑視語)と言い合い、変節とか背教などと悪態をつくのである。
今日我々の子供達や孫達は、学校、大学、モスク及びフセイニヤで、巨大且つ強力な党派的毒薬を投与されている。知性も精神にもまさに命とりとなる。宗派のテレビとラジオは24時間同じことをたれ流し、学校や病院にまわすべき金を活動資金として受けとり、力をつけている。我々の子供達と孫達は、他者の宗教や民族或いは国籍などに関係なく、すべての他者を敵視して、世界聖戦をやっているのである。この環境が過激イスラム集団を生みだした。この集団は、貧困と失業という土壌で発芽し、汎アラブ主義の名においてそして又時には宗教と宗派の名において犯される拝斥、人権強奪、個人及び集団の自由の侵害そして信義の侵害によって育っていく。
我々はテロに対する我々の責任からのがれることはできない。言い訳も役に立たない。まず我々は責任を認め、我々自身と他者に謝罪し、今から我々の生き方を改めていかなければならない。そのためには、教育のカリキュラムを再検討し、初等教育から大学レベルまでそれを根本からかえなければならない。それをやらないと何も前に進まない。学校のカリキュラム、大学、モスク、フセイニヤ、ラジオとテレビで表明される宗教上の教えを変えない限り、許しもない。何故ならば、(その各々の場で表明される)宗教は、寛容、平和、調和、責任の分かち合い、他者に対する思いやりの宗教ではないからである。学校のカリキュラム、大学、モスク、フセイニヤ、そしてラジオとテレビで表明される宗教は、斬首と流血の性格を持つ野蛮な宗教である。盗みと強奪、隷属そして強姦を勧め、扇動する宗教である。ほかの(他者を思いやる)宗教は、これこそ本当の宗教と主張する者もいるが、我々の生活のなかに存在しない。存在してもせいぜい弱い声が発せられるだけで、殆んど誰の耳にも届かない。特に抑圧された若い世代には全然聞えない。人間性が貧困と拒否そして権利の否定で傷つけられたうえ、狂気のカリキュラムとファトワで洗脳されているからである。
※1 2015年11月15日付Al-Mada(イラク)
※2 ハディースによると、預言者はムスリムの民が多数のさまざまな集団、宗派に分裂するが、そのうちのひとつしか救われない。
※3 ハワーリジュは、第4代カリフ(`Ali bin abu Taleb)の支配から分離し、イスラム最初の宗教的対立グループをつくった。」
http://memri.jp/bin/articles.cgi?ID=SP622115