べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

たとえばもしきみが

2007年09月12日 00時56分53秒 | 慕情

たとえばもしきみが悲しみにくれて
冷たいアスファルトの上を裸足で歩いていたなら
ぼくがそっと抱き上げて
緑の風の吹きわたる
秘密の草原へ連れて行ってあげる
やわらかな草の葉が
きっと素足に心地好いと思うから
そのときはどうか いつかのような
可愛い笑みを浮かべてみせてくれるでしょうか

たとえばもしきみが寂しさにたえきれなくて
そのかぐわしい頬に涙のしずくが流れたら
ぼくは過ぎ去った季節をかきあつめ
ふわふわとやわらかな
虹色の綿菓子を作ってあげる
ふんわり甘い想い出が
きっと癒してくれるに違いないから
そしたらどうか いつものように
あどけない笑顔をとりもどしてくれるでしょうか

たとえばもしきみがうちひしがれて
深まりゆく暗がりの中で眠れずにいたなら
ぼくは銀河の光のひとひらを
きみのパジャマのポケットに
内緒でそっとしのばせてあげる
夜のしじまがやさしくきみを包んでくれますようにと
だからどうか どんなときにも
しなやかに微笑むことを忘れないでほしいのです

たとえばもしぼくの心が打ちのめされて
胸の内側がざらざらとささくれ立って
気持ちがへこんで かわいて ひからびて
それでもなんとか生きていられるのは
きみがときおり笑顔を見せてくれるから
ときおり静かに微笑みかけてくれるから
だからどうか いつまでも
愛らしい笑みをたやさないでいてください
なによりも
きみが幸せであるために







★絵:南桂子★    ↓ポチッっとね
 にほんブログ村 ポエムブログへにほんブログ村 ポエムブログ 自作詩・ポエムへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする