日々の出来事

当院の出来事を紹介します

Scansnap

2011-02-12 19:54:38 | Weblog
今日、富士通のスキャナーScansnap S1500を購入しました。

以前から書類のデジタル化を検討していたのですが、高価すぎたり遅かったりで、機種を決定していませんでした。
「自炊」という用語をご存知の方も多いと思います。
自分の書籍類をスキャナーでパソコンに読み込ませて、デジタル化して保存することですね。
かなりの紙資料や書籍を持っている私には、重要なテーマでした。

本棚には限界があります。しかし紙資料は増え続けます。デジタルのデータならまだしも、捨てられない本もたくさんありました。最近の素晴らしい考え方は、思い出の品もデジカメで撮影して保存し本物は処分する・・・という考え方ですね。捨てられないから溜まり続ける、これは一種のメタボ(メタボリック症候群)ということなんでしょう。

「感謝して捨てる」と提唱した作家の方がいました。
すっきりしている机の上や書棚を見ると、憧れてしまいますね。
仕事ができる人の机の上は常にすっきりしているように思います。

私?
基本的にカオス(混沌)の中にいる毎日ですね。
書類と書籍のダイエットに、これから励みたいと思っています。
初めは皆、一生懸命にやろうとするんですよね・・・。


院内ネットワーク

2011-02-11 23:32:11 | Weblog
先日、ある医療関係の業者さんが営業で病院に来られました。

この方は私の知人の獣医さんのお知り合いで、以前、仕事に関連した話題の一つとして聞いていました。

院内の情報や医療機器のデータ、特に画像を一体化して管理することをご提案いただきました。
今までは、レントゲンはレントゲンでの情報入力や情報の呼び出しが必要でありました。
このシステムを入れると、様々な情報を一括で管理できます。

今までは、このような管理には「ウン百万円」の費用が必要でした。
しかしネットワーク間に、すでに持っているフリー・ソフトをかませることで、格安で院内のネットワークを構築できるようでした。ただし、ソフトの関係からコンピューターはアップル社製を使用する必要があるそうです。

すでにMacを使っている私には全く問題がないため、このシステムの導入を検討しています。
各診察室で、あるいは外部で、院内の情報が一括して使えるように作りたいと以前から考えていました。
しかし接続や設定関連が不得意な私には、イメージがあっても自力で実行する能力はなかったのです。

今回、提案していただいた仕組みは、以前から漠然と想像していたシステムそのものでした。
将来的に病院や診療、患者さんのために導入して活用したいと考えています。
時代は確実に変化・進歩を遂げているんですね。

元盲導犬ベルタが弱ってきました

2011-02-10 13:24:41 | Weblog
引退した盲導犬のベルタ、10歳の時にうちで引き取って11月に15歳を越えました。
この数ヶ月は寝たきりの生活です。
横浜にいる以前のユーザーさんにも、年末に会いに来ていただきました。

腰が弱って徐々に歩行が困難となり、今は意識がほとんどない状況です・・・。
点滴や循環改善剤、流動食でなんとか生命を保っています。
看護師さんたちが日誌を書きながら、丁寧な介護をしているので、ここまで来れたのでしょう。

無理やり延命をする予定はありません。
少しでも苦痛がないように、大切に看取るつもりで介護しています。
診るたびに、「お前どうしたい?」と聞いていますが、「ふう~』と大きくため息をつきます。
もう少しがんばるかね?と声かけすると反応するので、お互い夜中にゆったりとした時間を過ごしています。

老衰という範疇に入る状態です。
肉体としては永遠はありえません。
こういう時、私は松本零士さんの銀河鉄道999を思い出します。
機械の体を手に入れるため、主人公の鉄郎はメーテルと宇宙を旅します。

「いのち」とは何か・・・、ベルタが若い時の写真を見ながら真剣に考えさせられています。





口鼻瘻のフラップ閉鎖

2011-02-09 16:44:52 | Weblog
今日は、左上の犬歯が歯周病で口鼻瘻になりそうな犬の歯科処置を行いました。

口鼻瘻とは、口の中(口腔)と鼻の中(鼻腔)が通じてしまう状態です。
正常ならば通じてはいません。
しかし歯周病がひどくなると、歯根周囲の骨(歯槽骨)が吸収されてしまいます。
犬歯の歯根と鼻腔は、2mm程度の薄い骨しかないため、重度の歯周病では穴があいてしまう場合がけっこうあります。

今日のワンちゃんは、知り合いの獣医さんからのご紹介でした。
手術の時間に見学にいらしたので、ちょっと緊張してしまいました。
一本だけ処理の予定が、他に歯周病の歯が3本見つかり、結局抜歯が必要となりました。
抜歯して歯肉のフラップを作成し、ちょっと出血は多かった(止まりにくかった)ですが、無事終了できました。

歯周病は全身に悪影響のある疾患です。
放置すると様々な全身疾患を引き起こします。
特に心内膜炎や糸球体腎炎などは、重要な病気です。

歯肉のフラップは、歯肉の欠損が大きいと、ちょっと一工夫が必要となります。
今日も近くの歯が歯周病だったので、フラップの作成ラインをどう切るのか・・・、
センスの問われる部分です。
フラップを引き延ばす技術も必要となります。
今までに専門家から習ってきた技術が、役に立ちました!

辛かったでしょう

2011-02-09 01:15:39 | Weblog
今日は、私個人はお休みをいただいていました。
しかし原稿書きがあり、朝から病院で机に(パソコンに)向かっていました。

予約の日でしたので、9時半頃初診のウサギさんが来院しました。
かなり遠方からホームページを見て、わざわざ来てくれたようです。
柳田先生はエキゾチック・アニマルの勉強もしているので、予約を受けていた模様でした。

脱水症状でかなり弱っていました。
検査のために鎮静をかけて口の中を観察したら、歯というか舌と頬粘膜がえらいことになっていました。
ウサギの歯は常生歯で伸び続けます。
臼歯(奥歯)がすり減って噛み合わせがズレた部分が尖ってしまい、舌と頬の内側の粘膜を傷つけていました。

歯科の仕事は私の担当です。
結局、急ではありましたが、麻酔をかけて切削する処置を行い、無事に終了できました。
尖った部分をドリル等で削り、平滑にして仕上げました。
ウサギの口は、大きくは開きません。
ちょっと独特な分野なので、毎回悪戦苦闘しています。

辛かっただろうと感じましたが、術後に干し草を食べ始めてくれました。
2週間ほどまともに食べていなかったそうなので、ちょっとうれしい気持ちになりました。

血液凝固系に関する講習会

2011-02-07 19:10:30 | Weblog
日曜日は、午後から新潟県獣医師会の講習会に参加してきました。

講師は、岐阜大学の鬼頭教授でした。
血液凝固系の専門家ですね。
よい勉強になりました。

ただ・・・、設定された講義時間が短いのが気になりました。
もっとしっかり話を聞きたかったのです。
私は血液凝固系にたいへん興味があるので、お話の内容はよくわかりました。
内容が濃かったので、消化不良になった先生も多かったのではないでしょうか?

外科(手術)や歯科処置の好きな私にとっては、止血異常はたいへん困る事態です。
術前に検査で確認しても、想定外に近いことが生じることも稀にあります。
輸血すればいいじゃん、みたいな単純な問題ではないのです。

学生時代に習った知識が、現場ではリアルな実践として必要となります。
時代の変化で新しい概念や検査も導入されてきます。
うちの病院には、ドライ・ヘマトと言われる凝固系検査の機械があります。
手術の前に、15分くらいで結果が得られることは、素晴らしいことです。
機械が無い時代には血小板数があればよし、切ってみて出血が止まるか否か・・・そんな感じでした。

今の時代では、検査しないで切るわけにはいきません。
遺伝的に雄犬での止血異常が多いわけです。
実際、出血が止まらない去勢手術を経験しています。

内科的には、DIC(播種性血管内凝固症候群)の現場での診断には欠かせない検査です。
使わない日はまずない、私のお気に入りの機械の一つです。







治らない皮膚病は・・・

2011-02-05 18:55:50 | Weblog
皮膚病は、犬猫の診療だとおよそ30%を締める重要な分野です。

転院して来るケースでも、皮膚病がらみは多いように感じます。
特に皮膚は、飼い主さん御家族の目に直接見えるわけです。
見かけ的にかわいそうに見えるわけですね。
お散歩中に他の人にも見られますから、皮膚病の管理は重要な問題なのです。

痒がっている姿を見ることも御家族のストレスになります。
散歩中に止まって掻いている、寝ていたのに起きて来て掻いている・・・、
ここまでくるとしっかり診断して治療しないとかわいそうですね。

原因がたくさん考えられるため、詳細な分析が必要です。
転院症例では、ダニやカビの見落とし、食事性アレルギーの見落としが目立ちます。
投薬前に、甲状腺ホルモンをきちんと測定している動物病院が少ないです。

経過が長く、原因がはっきりしない場合、うちの動物病院では皮膚生検(バイオプシー)を行います。
ほんの少量切り取って、専門家に皮膚の断面を詳細に診てもらいます。
これでしっかりと皮膚の状態が客観的に診断されます。
根拠をはっきりさせたほうがお互いに納得できます。
肉眼的にはノミ・アレルギー性皮膚炎だったのに、生検では扁平上皮癌という腫瘍だったことさえあります。

可能な限り医学的な根拠(エビデンス)を求めることは、臨床家にとって重要だと痛感します。




昨晩はたいへんでした

2011-02-04 11:39:46 | Weblog
昨日は夜遅くまで、スタッフと奮闘していました。

朝イチでいらした初診のウサギさん・・・、重度の便秘(糞石症)で重症でした。
一種の腸閉塞の状態です。
脱水も重度で体重600gでした。
飼い主さんとお話した結果、ハイリスクではあるものの夜に開腹手術をすることとなりました。
手術で糞塊を出し、血行障害で壊死した腸を切除・吻合し、なんとか終了することができました。

そこに追い打ちをかけるように、電話がありました。
ラブラドールがお腹パンパンで苦しんでいる・・・とのことでした。
大型犬に時々発生する急患、胃拡張捻転症候群GDV)が疑われました。
手術中でしたが来院していただき手術終了後に診察、検査と処置を開始しました。

検査の結果、胃拡張が重度ではあるものの捻転は起こしていないようでした。
麻酔前にガス抜きをおこない、麻酔をかけて胃に太いチューブを挿入、内容物とガスを吸引して洗浄、なんとか無事に処置を完了できました。

双方が術後管理があるため、結局夜中まで泊まり込みです。
ウサギさんは、残念なことに夜中に心停止となり、犬は復活してくれました。

同時進行で運命が分かれてしまい、微妙な気持ちです。
一生懸命に手を尽くして、助かる命と助からない命があるのが臨床の現場です。
スタッフも夜中まで、奮闘してくれました。






またまた術前検査で引っかかり・・・

2011-02-03 12:22:58 | Weblog
今日の予約に入っていた猫の避妊手術・・・。

術前検査でかなりの貧血が引っかかり、延期の決定をしました。

ヘマトクリット値という貧血の指標が10.1%・・・、とても手術できるレベルではありません。
正常値の下限が25%くらいですから、この子は普通の猫の三分の一くらいの血液濃度で過ごしていたんですね。
緊急に治療が必要となってしまいました。

この猫はけっこう嫌がる子なんですが、今日は採血時に妙におとなしかった・・・。
「大人になったのかな?」と思ったら、採血した血液がサラサラでした。
「ウソ!」という印象でした。

耳や鼻が白っぽいのは、緊張のせいではなかったのです。
飼い主さんと相談して避妊手術は中止、緊急にうちの居候猫チャオズ君から輸血となりました。
今は、貧血の原因追求のため、外注検査の結果待ちです。
高蛋白血症があるので、FIPという疾患を強く疑っています。

予想が外れてくれるといいんですが・・・。





動物医療は自由診療(自費診療)

2011-02-02 18:58:41 | Weblog
今日は猫の避妊手術を2件行いました。
それはいつものルーチンワークなのですが、少々ビビるような問題が・・・。
術前の検査で、血液凝固系の明らかな異常値があったのです。

獣医さんが避妊(不妊)手術を行う場合、人間と同じような費用はいただけません。
全身麻酔での開腹手術なのに2万円とか3万円とかです。
人間の医師が「保険外診療」でやるならば、うん十万円になるでしょう。

術前検査も同様です。
安全の確保にはコストがかかるのです。
当院では内蔵の検査の他に血液凝固系検査をかなりのケースで行います。
手術して出血が止まらなかったら、最悪の事態があり得るからです。
それを確認しないで手術することは、今の時代ではちょっと考えものです。

問題は、動物に対する医療は健康保険がきかない自由診療(自費診療)だということ。
術前検査をどこまでご負担(ご理解)いただけるか・・・、お財布事情も絡んでまいります。

今日の猫ちゃんは、異常値があらかじめわかっており、対策の準備をして手術を行いました。
実際には、止血剤の使用で何も異常は生じませんでした。
ビビっている場合ほど何も起きず、気楽に考えている時ほどイレギュラーなトラブルが生じるものです。
今日の患者さんには、神経を使いました。
無事に終わってなによりでした。