外科医 アンチエイジングに目覚める!?

目指そう サクセスフル・エイジング !

抗糖化 で 減らせAGEs 

炭水化物も要注意    

あなたは何で? わたしはこれで目指します!

2015-12-16 12:03:12 | サクセスフル・エイジング
先日13日の日曜日。

まだひと気まばらな大阪駅北側の彼方に

青空をバックに目指す建物が。






やっぱり近づくと見上げちゃいます・・・。






この日は10時から17時まで、第7回泌尿器抗加齢医学研究会

の講習会が開催されました。


その昔、糖質制限に慎重であった北里の山田先生が

今ではしっかりと旗振りをされているのに時の流れを感じます。





講習会が終了し、すっかり暗くなった外に出ると

なんと賑やかなイルミネーション!












あぁ、今年も、はや12月半ば。

1年なんてなんと早いものでしょうか!


思えばこのブログを立ち上げたのが2008年1月1日。

2008年 「抗糖化」元年!

とのタイトルが最初の記事でした。


以来、8年が過ぎようとしています。

TVなどで“糖化”や“AGEs”、はたまた“抗糖化”が

取り上げられるようになってきた時代の流れ。


“AGEs”が様々な疾病のポイントであることも

次第に知られるようになって来たここ数年。


それでもまだまだですね。

さぁ、あなたは何でサクセスフル・エイジングを目指しますか?


私は8年変わらぬパッケージのこれで目指します。







食べる前のうるる酢

2014-09-05 23:33:30 | サクセスフル・エイジング
今年6月に大阪で開催された抗加齢医学会の企業ブースで

わたくし的に関心を引いたのが、

この 『食べる前のうるる酢』 という商品でした。


何と言っても、抗糖化成分である AGハーブMIX を

含有している商品というところに強く惹かれたのでした。


で、

そののち、サンプルをお送り戴いたのです。

アセロラ味も ゆず味も いずれも飲み易いものでありました。





小生は、『抗糖化ドクターズ・サプリメント』を服用している関係上

この商品は、昼食前に摂取させて頂きました。


この「食べる前のうるる酢」摂取によって、

『抗糖化成分』を 1日700mg 摂取する事になりました。

(抗糖化ドクターズ・サプリメントは1日量600mg)



この『食べる前のうるる酢』。

関西での販売は、まだ行われておりませんで

TV・CMも関西では観れないため、わたくしも存じませんでしたが

沢尻エリカさんを起用したCMが、関東圏では流れているのです。


いやぁ、知らなかった・・・・・。


実は、本日、その製品サンプルを再度お送り頂きましたので

小生の関係医療機関の方々に、飲用して頂こうと考えております。


おっと、回りくどい話を書いてしまいました。

こちらを クリックして下さいませ。

 ↓

http://www.yomeishu.co.jp/ururusu/


言っときますが、回し者ではありませんよ。

わたくしはあくまで

「抗糖化ドクターズサプリメント」=「ハーブDeAGEsワコナ」

の生みの親ですので・・・。

いつから禁煙始める? 今でしょ!

2013-06-23 10:19:50 | サクセスフル・エイジング
「チャンピックス」って禁煙の薬がね、

保険適応になってから、

けっこう お医者さんと禁煙 なんて

始める方々も 増えたんだけどねぇ。


ま、製薬会社にとっては どこから金が出ようが

とにかく 売上げればいいだけの話で・・・。


医療機関にしても それは同じ話で・・・。


そりゃ 健康保険が赤字だなんだって

ドンドン負担率が上がっていくわなぁ・・・。


厚労省 あんたら財務省に気兼ねして

薬物 野放しにするの いい加減に止めたら どうなの?



どうでもいいけど、

こんな女医さんの禁煙外来は、売り上げいいだろねぇ。





















徳島県と香川県の攻防

2012-09-21 23:18:28 | サクセスフル・エイジング
厚生労働省は3年毎に糖尿病推計患者の

人口10万あたりの受療率を調査し公表している。


2011年分がまもなく公表されるのだが、

その前、2008年においては

ワースト1に輝いたのは 香川県であった。


1996年以来、首位の座を守ってきた徳島県が

ついに 2位に順位を落としたのだった。


以下に 厚生労働省発表のデータを順位に並べ替えてみた。



糖尿病の推計患者の受療率(人口10万対)の年次推移,
入院-外来・都道府県(患者住所地)別
出典:http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hoken/kiso/xls/21-2-13.xls

まずは ワースト10。





とにかく注目は 徳島県と香川県 。

両県で有名なのは うどん です。

だいたい 素うどんを 角砂糖に置き換えると






ど~~ん! なんと17個分の角砂糖になる。



これを ガッツリ召し上がる両県で糖尿病患者受療率が

全国トップレベルというのは 頷けるところか。



ちなみに 受療率が低い方のベスト10は 以下のようになる。







長寿県として知られている沖縄は、やはり成績優秀なのが判る。


糖尿病が少ないと言うことは 血管老化が少ないと言うこと。

人は血管とともに老いる との言葉どおりか。



糖質だけが血糖値を上昇させるのです。

血糖値が180mg/dl以上で、血管内皮は傷害されます。


お茶碗一杯 150gの白米は 約55gの糖質を含み、

通常人の血糖値を 55mg/dl 上昇させます。



角砂糖で置き換えた写真を、あと2枚 ご覧下さいな。











血糖値を上げない食事は、糖化(AGEs生成)も防げるのですから

このあたりで 真剣に 考えてみては・・・

いえいえ、身をもって実験してみては いかがなものでしょうかねぇ?


わたしですか?

抗糖化歴 4年9ヶ月、 糖質制限歴 2年5ヶ月。

8月中に測定した HbA1c 4.9 でした。


最近のカロリー制限報道に関して

2012-09-06 10:51:19 | サクセスフル・エイジング
カロリー制限、寿命に関係なし? 米研究所がサルで実験

などという、ミスリードを誘うような見出しのニュースがでた。

http://www.asahi.com/health/news/TKY201208310723.html



なんと 2009年のウィスコンシン大学の結果と違うじゃない! って話。


ちょっと、びっくりなので National Institute of Agingの元ネタに飛んでみた。



以下、原文を 順に引用します。



なお以下で カロリスというのはカロリー制限のこと。



まずは お題。

NIH study finds calorie restriction does not affect survival


で、副題がこれ。

Study of monkeys also suggests some health benefits


さて、中身。


ひとつは、今回の結果が2009年のウィスコンシン大学のと異なったという事。


The survival results in the study reported today by NIA researchers differ from those published in 2009 by NIA-supported investigators at the University of Wisconsin-Madison. The Wisconsin study followed two groups of rhesus monkeys for 20 years and found that monkeys on a calorie-restricted diet lived longer than those on a standard diet.



ただし、カロリスが健康に及ぼす有効性は両者とも同じという。

特に、加齢に関連する疾患-糖尿病・関節炎・憩室症・心血管病 は

カロリスをしない方では若いうちから発症した
という。


Beyond longevity, the parallel NIA and Wisconsin studies have reported similar beneficial health effects of calorie-restriction.

Both studies found that certain age-related diseases―including diabetes, arthritis, diverticulosis and cardiovascular problems―occurred at an earlier age in monkeys on the standard diet compared to those on calorie restriction.


ただ、NIAの研究ではそれらには統計的有意差が認められなかったが、

However, this observation was not statistically significant in the NIA study.



若い年齢からカロリスを始めたアカゲザルでは、

統計的有意差をもって 癌発生率が 低かった。



NIA researchers did find that

monkeys started on calorie restriction at an early age

had a statistically significant reduction in cancer incidence.



ほんまはさぁ、こういうところが 重要なんとちゃうんかい?


寿命に変わりが無かったことだけを強調するなんて、最低な報道やで。



米国加齢研究所(NIA)のレポートは、以下から直接ご覧下さい。

NIH study finds calorie restriction does not affect survival
Study of monkeys also suggests some health benefits


http://www.nia.nih.gov/newsroom/2012/08/nih-study-finds-calorie-restriction-does-not-affect-survival

血管の炎症抑制で老化防止 日本人、寿命108歳に?

2012-03-12 11:26:55 | サクセスフル・エイジング
血管の炎症抑制で老化防止 日本人、寿命108歳に?

という記事が、

共同通信社 から 3月7日(水) に配信されている。

以下、その配信記事を引用(太字は引用者による)。


・・・・・・・・・・引用 ここから・・・・・・・・・・


血管の炎症抑制で老化防止 日本人、寿命108歳に?

共同通信社 3月7日(水) 配信


 東北大大学院医学系研究科のグループが、

血管内皮細胞での炎症反応を抑えると老化を遅らせ、

寿命を延ばせることをマウスによる実験で突き止めたと

6日付の米学術誌に発表した。


 実験で生まれた「抗老化マウス」の平均寿命は約30%延びた。

日本人に当てはめた場合、平均寿命が83歳から108歳になる。


 同研究科の片桐秀樹(かたぎり・ひでき)教授(代謝学)は

「病気のマウスが悪くなるのを防ぐだけではなく、

 健康な状態でさらに寿命を延ばせた。アンチエイジング療法の開発につながる」

と話している。


 研究グループは血管の炎症が動脈硬化発症に重要な役割を果たしている

との研究に着目。

血管の中で最も内側にあり、血液と接する血管内皮細胞で

炎症反応を起こりにくくしたマウスを作製した。

具体的にはマウスの遺伝子を改変し、

炎症反応の際に中心的な役割を果たす

タンパク質複合体(NFκB)
の経路を遮断した。


 その結果、血管全体の老化が抑えられたほか、

マウスの活動性が上がり血の巡りが良くなった、

また老化を進展させる活性酸素の量が最大3分の1程度減る効果もあった。

 血管内皮細胞以外では通常通りの炎症が起こるため、

体内に侵入したばい菌の排除などには問題がないという。


・・・・・・・・・・共同通信記事 引用 ここまで・・・・・・・・・・



元論文は Circulation. 2012; 125: 1122-1133 に掲載。

そのアブストラクトは、当記事の最後に転載しておきます。



さて、炎症反応の際に中心的な役割をはたすNF-κBというのは、

細胞内の転写因子でして、


たとえば、拙ブログ昔の記事

ヒトは血管とともに老いる アンチエイジング・ミニ講座 1

でも、以下のように説明をしてあります。


 血液内のAGEsがAGE受容体 (RAGE) に結合すると、


 細胞内にシグナルが伝達されて転写因子であるNF-κBが活性化し、


 血栓形成傾向や炎症や悪玉アディポサイトカインを増加させ、


 血管障害から動脈硬化へと病的状態の進行が始まってしまいます。




筆者がAGEsを知ったことからアンチエイジングに目覚め

AGEsの生成を抑制する「抗糖化サプリメント」を服用し始めて4年。

 (2008年 「抗糖化」元年!

  今夜、「抗糖化」アンチエイジングの歴史が始まった!

  などを書いていた頃が懐かしいです。)



血管の炎症抑制血管老化抑制サクセスフル・エイジング

ということからは、

AGEs生成抑制 のみならず 

食後のグルコース・スパイク にも充分注意する必要があります。


血糖値が180mg/dlを超える瞬間毎に、

血管内皮細胞は障害されるということを、お忘れなく!



お茶碗1膳の白ご飯(150g)は、

血糖値正常人の血糖値を55mg/dl上昇させます。

2型糖尿病人では、3倍の165mg/dl上昇させてしまいます。

食前の血糖値が仮に100mg/dlだとすれば、

正常人では155に、2型DMでは265という血糖値です。


毎食後のこのような血糖上昇が、血管内皮細胞を障害するのです。

その結果、糖尿病の3大合併症が発症するというわけです。


また最近の留意点としては、

抗糖化」 と 「炭水化物制限」 に加え

放射能汚染食品の摂取回避」 も

サクセスフル・エイジングの重要要件と考えています。


以下に、元論文

Blockade of the Nuclear Factor-κB Pathway in the Endothelium
Prevents Insulin Resistance and Prolongs Life Spans

Circulation. 2012; 125: 1122-1133


のアブストラクトを転載します。


Blockade of the Nuclear Factor-κB Pathway in the Endothelium
Prevents Insulin Resistance and Prolongs Life Spans


Yutaka Hasegawa, MD, PhD*; Tokuo Saito, MD, PhD*; Takehide Ogihara, MD, PhD; Yasushi Ishigaki, MD, PhD; Tetsuya Yamada, MD, PhD; Junta Imai, MD, PhD; Kenji Uno, MD, PhD; Junhong Gao, MD, PhD; Keizo Kaneko, MD, PhD; Tatsuo Shimosawa, MD, PhD; Tomoichiro Asano, MD, PhD; Toshiro Fujita, MD, PhD; Yoshitomo Oka, MD, PhD; Hideki Katagiri, MD, PhD
+ Author Affiliations

From Division of Molecular Metabolism and Diabetes (Y.H., T. Saito, Y.I., J.I., K.U., K.K., Y.O.) and Department of Metabolic Diseases, Center for Metabolic Diseases (T. Saito, T.O., T.Y., J.G., H.K.), Tohoku University Graduate School of Medicine, Sendai; Faculty of Medicine, Department of Clinical Laboratory (T. Shimosawa) and Department of Nephrology and Endocrinology, Faculty of Medicine (T.F.), University of Tokyo, Tokyo; and Department of Medical Science, Graduate School of Medicine, University of Hiroshima, Hiroshima (T.A.), Japan.
Correspondence to Hideki Katagiri, MD, PhD, Department of Metabolic Diseases, Center for Metabolic Diseases, Tohoku University Graduate School of Medicine, 2-1 Seiryo-machi, Aoba-ku, Sendai 980-8575, Japan. E-mail katagiri@med.tohoku.ac.jp
↵* Drs Hasegawa and Saito contributed equally to this article.


Abstract

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Background—Nuclear factor-κB (NF-κB) signaling plays critical roles in physiological and pathological processes such as responses to inflammation and oxidative stress.

Methods and Results—To examine the role of endothelial NF-κB signaling in vivo, we generated transgenic mice expressing dominant-negative IκB under the Tie2 promoter/enhancer (E-DNIκB mice). These mice exhibited functional inhibition of NF-κB signaling specifically in endothelial cells. Although E-DNIκB mice displayed no overt phenotypic changes when young and lean, they were protected from the development of insulin resistance associated with obesity, whether diet- or genetics-induced. Obesity-induced macrophage infiltration into adipose tissue and plasma oxidative stress markers were decreased and blood flow and mitochondrial content in muscle and active-phase locomotor activity were increased in E-DNIκB mice. In addition to inhibition of obesity-related metabolic deteriorations, blockade of endothelial NF-κB signaling prevented age-related insulin resistance and vascular senescence and, notably, prolonged life span. These antiaging phenotypes were also associated with decreased oxidative stress markers, increased muscle blood flow, enhanced active-phase locomotor activity, and aortic upregulation of mitochondrial sirtuin-related proteins.

Conclusions—The endothelium plays important roles in obesity- and age-related disorders through intracellular NF-κB signaling, thereby ultimately affecting life span. Endothelial NF-κB signaling is a potential target for treating the metabolic syndrome and for antiaging strategies.


養生訓 いいんじゃね~ぇ

2011-11-28 22:48:29 | サクセスフル・エイジング
カロリー制限でサクセスフル・エイジングの著明な実例  に

畏友 初心者クライマーのおまつさんから、コメントを戴きました。

・・・・・・・・・・・・・・・


75歳からCRかぁ・・・ (初心者クライマーのおまつ) 2011-11-28 16:16:52

というと、アンチエイジングのための手段だから、

CRは老人のための健康法と言うことになるのでしょうか?

後期高齢者医療制度の対象の年令になったら、

運動よりCRで健康増進を考えた方が良いのでしょうね。

ただ、まだマラソンもし、下手するとウルトラマラソンまでやるような人達も、

CRによってサーチュイン酵素の活性化って騒いでいて、どーかなーと思うのです。

運動が十分できる世代、または余裕がある人は、

適切なカロリーを食べてホドホドに運動する方が良いのではと思うのですが・・・

このアタリは是非専門家に切り分けをして欲しいなと思います。

ワタシはフルマラソンを走れなくなったら、CRを検討するかもしれないですね、多分・・・


・・・・・・・・・・・・・・・


おまつさん、いつもコメントありがとうございます。


さて、

仮にCRが老人のための健康法だとしても、

すでに不健康な状態になってしまった老人には

その効果は限定的であるように思われます。

すなわち、

糖尿病人にとっての「糖質制限食」が

起死回生の一発になるような効果を期待するのは

無理なような気がいたします。


往々にして「科学的評価」というものは

評価次第に関わらず、その本質自体は変化しない事象に対して

「そのメカニズムを明らかにする」

という程度のものなのかもしれません。


小林秀雄流に言うならば

 解釈を拒絶して動じないものだけが美しい

とでも言いましょうか・・・。


たとえば・・・・・

「天動説」と「地動説」などはいかがでしょうか?


もっとも古い「地動説」は、

紀元前340年にアリストテレスが「天体論」の中で唱えたものでした。

その後、紀元2世紀にアレキサンドリアのプトレマイオスが

地球を中心として太陽や惑星が天球を回るという天球モデルを考案しました。


16世紀にポーランドの聖職者であったコペルニコスが

静止した太陽を中心として地球や惑星が円軌道を回っているという考えを

匿名で発表したのは1514年のことでした。

なんと1400年もの時が過ぎ去っていたのでした。


さらに望遠鏡の性能が向上して、ついに「地動説」が公にされたのは

1609年のこと、ガリレオ・ガリレイによってでした。


もちろん彼は宗教裁判に掛けられたりもしましたので

この新たな学説は、すんなり受け入れられたわけではありません。

が、21世紀の現在、「地動説」は当たり前のこととなっています。


では、どうでしょう?

「地動説」が正当と認められた瞬間を、考えてみて下さい。


その瞬間に、

いままでじっとしていた地球が

いきなり太陽の周りを回り始めたというのでしょうか?



貝原益軒の「養生訓 巻第三 飲食 上」には


『飲食は人間の大欲であって、口や腹が好むところである。

 好みに任せて食べすぎると、度をこして脾胃を傷つけて諸病をひき起こし、

 命を失うことになる。』

あるいはまた

『ひとは毎日飲食しないことはない。

 たえず謹んで欲を自制しなければ、度をすごして病気になる。

 古人はいう、「禍は口よりいで、病いは口より入」、と。

 口から出し入れするものは、つねに注意しなければならない。』

そして

『珍美な食べ物にむかってもほどほどでやめるのがよい。

 腹いっぱい食べると苦しく禍のもとになる。

 すこしの我慢であとの憂いは生じないのである。

 ・・・中略・・・ 

 万事は十分になると、かならず禍となるものだ。
 
 とくに飲食は満腹することをさけなければならない。

 また最初から慎しめば、あとの禍はないのである。』


というように書かれていることから、わが国では古くから

「腹八分に医者要らず」

と言い習わされてきたものです。


つい最近明らかとなってきたCRの仔細なメカニズムなどは

実は、単にこれらのことを裏づけするだけのことなのです。


当然のことながら、「養生訓」には「運動」の記載もあります。


巻第一 総論 上 に 身体と運動 について次のようにあります。


『毎日少しずつ身体を動かして運動するのがよい。

 同じ場所に長く坐っていてはいけない。

 食後の散歩はとくに必要で、庭の中を数百歩しずかに歩くだけでもよい。

 雨の日には、室内を何度もゆっくり歩くがよい。

 こうして毎朝毎晩運動すれば、鍼・灸を使わないでも、

 飲食はすすみ血気の滞りなくて病気にかからない。

 鍼・灸をして熱い思いや痛みにたえるよりも、

 さきにいったような運動をすれば、

 痛い思いをせずして楽にして健康をたもつことができる。』


近年、運動により細胞にGLUT4が発現して血糖値が下がる

これはインスリンが関係しない血糖低下のメカニズムだ

などということが明らかになってきましたが、

すでに「養生訓」には当たり前のこととして書かれてあったのです。


現代科学・・・チョット恥ずかしくないでしょうか?


運動する方々においては、

摂取カロリーが増加するのは当然ですよね。

ですから、たとえばおまつさんが1日2400kcal必要なら

それを1680kcalにすると70%のCRとなります。

日野原流ならば、1992~2160calなのでしょうね。



最後にもう一度「養生訓」を覗いてみましょう。


若いときからの養生 としては

巻第一 総論 上 に次のようにあります。


『庭に草木を植えて愛する人は、朝夕心にかけて、

 水をやり土をかぶせ、肥料をあたえ、虫を取ってよく養い育て、

 その成長を見て悦び、衰えるのを見て悲しむ。

 軽い草木でさえそうであるから、

 重い自分の身体を大事にするのは当然である。

 どうして自分の身体を草木ほどにも愛さないのであろうか。

 はなはだ無反省なことである。

 さて養生法を知って実践することは、

 天地・父母に仕えて孝行をすることであり、

 そしてまた自分の長生きと安楽のためでもあるから、

 急を要しないことはさしおいても、

 若いときから養生法を学ばなければならない。

 身を慎み、生命を養うのは、人間としてもっとも重要なことであろう。』



蛇足ながら、老人と楽しみ については

巻第八 養老 に以下のような記載があります。


『年をとったならば、

 自分の心の楽しみのほかには気をつかってはいけない。

 時流にしたがってみずから楽しむがよい。

 自分で楽しむというのは、世俗の楽しみではない。

 ただ心にある本来的な楽しみを楽しんで、胸中に何のわずらいもなく、

 天地四季、山川のよい眺め、草木の繁るを欣びながら楽しむがよい。』


天地の間をフリークライミングというのは、

きっと十分素敵なことなのだと思います。



カロリー制限でサクセスフル・エイジングの著明な実例

2011-11-28 12:05:11 | サクセスフル・エイジング
1つ前の記事

 カロリー制限で減量成功するかは遺伝子発現で決まるそうな

は、いささかperplexingな話となった感があり、

筆者もビンボーゆえ、読んだのは原著全文ではなくAbstractのみ。

しかも、ボンビーな英語力も災いしたかも知れません。



しかし結局、先に紹介した研究がいうところは


 カロリー制限(CR)は

 脂肪酸代謝とクエン酸回路と酸化的リン酸化とアポトーシス(細胞自死)を

 制御する遺伝子発現に影響を与える。

 カロリー制限(CR)によって生じた体重減少を

 維持できる人とリバウンドしてしまう人では

 その遺伝子発現に違いがみられる



ということのようです。


すでにお気付きのように、

この研究は「体重減少の維持」だけをターゲットとしたものであり、

カロリー制限(CR)の健康長寿への効果」を調べたものではありません。


先の記事の最後の部分で、


 まぁ、このような遺伝子発現レベルでの話が、

 カロリスで健康長寿ということの根っこの部分なんでしょうね。


と、書いた意味は単純に、

 
 カロリー制限(CR)による健康長寿のメカニズムは

 遺伝子発現レベルで起こっているのだねぇ



という意味合いなのでしたが、

「クサいバカ」な筆者は、ついついコメント欄では

「体重減少維持」と「健康長寿」をごちゃ混ぜにしてしまったのでした。



さて、

加齢に大きく関与する分子機構の解明は日々進歩しています。

これまでで2つのポイントが提示されています。

ひとつは、カロリー制限(CR)仮説であり、

もうひとつは、酸化ストレス仮説です。


現時点で、酸化ストレス仮説

    活性酸素
      ↓
      炎症
       ↓
      臓器加齢

ということで、臓器の加齢で重要なメカニズムと認識されています。

細胞内シグナル伝達系に関わるタンパク質合成をコードする

Shcという遺伝子の一部を破壊したマウスでは

酸化に対する抵抗性が高まり、平均寿命が30%延長しました。



1956年米ネブラスカ大学のダンネルハーマン教授が

ミトコンドリアで産生される酸化ストレスが加齢を促進する

と、発表したことが「酸化ストレス仮説」の始まりです。


以来、

 線虫で、 ミトコンドリアの酸化ストレス亢進で  寿命短縮
 
 ハエで、 SODを過剰発現させると       寿命延長

 マウスで、ミトコンドリア内カタラーゼ過剰発現で 寿命延長

ということが知られています。



では次に、カロリー制限(CR)仮説です。

そもそもの始まりは1935年にまで遡ります。

マウスで、摂取カロリーを70%に減らすと

寿命が延長することが発表されました。


半世紀超の時が過ぎた1988年

線虫において、age1遺伝子の変異により

寿命が1.5倍に延長されることが見出されました。


この遺伝子の働きは、哺乳類においては、

インスリンシグナル伝達の中核を占めています。


つまり、インスリンシグナルを遮断すると寿命が延長する!

さらにインスリンに似たIGF(insulin-like growth factor=インスリン様成長因子)

の抑制も同様に、寿命延長に関係することが知られてきました。


逆に言えば、

 「食物たくさんな状態では、

  IGF/インスリン・シグナルが活性化して

  加齢が促進する


ということが、次第に明らかとなってきました。


1993年、線虫において daf2遺伝子変異で 寿命延長。

1995年、マウスにおいて Prop-1遺伝子変異で 寿命延長。


daf2もProp-1も、どちらもインスリンシグナルに関与する遺伝子です。



2000年、カロリー制限(CR)によってサーチュイン酵素の活性化により

アポトーシスの抑制および抗酸化酵素の発現増強により

長寿に関わるシステムを増強することが判明しました。


簡単に 図にしてみますと

   カ  ロ  リ  ー 制  限 (CR)

      ↓               ↓
 
IGF/インスリン・シグナル 低下   サーチュイン活性 増加

      ↓               ↓

長 寿 関 連 遺 伝 子 群 の 発 現 ・ 維 持

              ↓

      健  康  長  寿 


というようなことになるわけです。


哺乳類での研究は、もうお馴染みのアカゲザルの研究です。


肝心のヒト(人間)ではいったいどうなのか?


実は、これにも有名な実験結果が知られています。


今年の10月4日に100歳の誕生日を迎えられた方。


 


聖路加病院理事長の日野原重明先生、その人です。


日野原先生は、ローカロリー食を25年前、

つまり75歳から実践されました。

先生はご自分の基礎代謝が1200kcalで、

1日1300~1400kcalの食事をしているとおっしゃいます。


必要カロリー1560kcalに対し、10~17%程度のカロリー制限食です。


また、脂肪のない100gのステーキを週2回食べるのだそうです。


「お魚は毎日摂る。お豆腐などの大豆製品は積極的に摂取します。

 あと、野菜はいっぱいね。

 それにオリーブ油を使ったドレッシングをかけていただきます。」
 

また、日野原先生いわく、

 「私は、75~85歳までの高齢者を対象に
 
  コホートスタディーをやっているのです。

  その年齢で元気でやっている人は

  コレステロール値が高い
のです。

  何を基準値にするかということに対し、

  75歳以上には文献がないのです。」 


自らCRによるアンチエイジングの実験をされている日野原先生は、

日本抗加齢医学会の最高齢の顧問です。

(ちなみに筆者はその専門医の資格を持つ「クサいバカ」です。) 



クサいバカ の客観的データを大公開!

2011-11-10 23:39:13 | サクセスフル・エイジング
「クサいバカ」っての、けっこう気に入ってるかも。


でもって、「クサいバカ」の体重変化記録を大公開!


4月18日から、オムロンのカラダスキャンというもので

測定した記録でグラフを作ってみました。


朝も夜も記録しているのは7月3日以降です。

翌朝の体重は1kg程度減少することがわかります。



ちなみに、4月18日のデータは

 体重   72.1kg

 体脂肪率 18.4%

 体年齢  47才
 
 BMI  24.5

 基礎代謝 1662Kcal

 内臓脂肪レベル 9.5


本日11月10日の朝は

 体重   66.4kg

 体脂肪率 17.8%

 体年齢  43才
 
 BMI  22.6

 基礎代謝 1566Kcal

 内臓脂肪レベル 8.0


この期間内の最高体重は 4月30日の 74.5kg。

最低体重は 11月6日の 65.3kg。


これだと、6ヶ月で9.2kgの減量ですが

正確には測定開始から今朝までで、5.7kgの減少。


まぁ、下のグラフをご覧ください。


なお、それまでは勤務先の定期健診データが以下のとおり。

4年5ヶ月で、ざっと20kg減量です。


抗糖化開始前(2007/5/28)  85Kg

抗糖化開始(2008/1/16)

開始後4ヶ月(2008/5/26)   81Kg

開始後17ヶ月(2009/6/1)  79Kg

糖質制限の併用開始(2010/4)

併用開始後6ヶ月(2010/10/18) 71.7Kg





燃費計にアンチエイジングを思う

2011-10-21 00:45:00 | サクセスフル・エイジング
ずいぶん昔の交通標語に

「狭い日本、そんなに急いでどこへ行く」

というのがありました。

その頃は、余計なお世話だよ~ と思っていました。


手術の時でも、「クーパー」と言って

直ぐにクーパー(要するにハサミです)が出てこないと

イライラしたものです。


(グーパー、と言って チョキ ではありません、念のため。)


まぁ、外科の医者は多かれ少なかれ「イラチ」でして

手術のリズムを乱されるのが嫌いなもので、

清潔ナース(手術介助のナース)がグズグズしていると

怒鳴ったりする方もいらっしゃるのですが

筆者は口に出さない分、腹が膨れてくるタイプでした。


で、車の運転に関しては

いわゆる「ハンドルを握ると人が変わる」タイプ。

しかも、走り出したら停まるのがイヤなタイプ。


前にゆっくり走行している車があれば

充分安全を確認し、黄色い線でも、少し跨いで

お先に失礼! ってなことも。


苦手なことは、

信号で停まること、パーキングエリアで休憩すること。


さて、話はアンチエイジングに目覚めて1年ほど経った

2008年の夏も終わりのころ。


7~8年乗ったワンボックスカーが

ミッショントラブルで危篤となり走行不能に。

急遽、軽自動車を買うこととなりました。


燃費計と出会ったのは、その時でした。

いとも簡単に、デジタル表示の魔法にかかりました。

メーカー発表燃費は21.0km/L。


なんとか燃費を向上させようと工夫を凝らし

運転の仕方が大きく変化したのでした。


もっとも大きな変化は、「追い抜し」に関するもの。


追い抜くことはあっても、ほとんど追い抜かれなかったのが

「落ち葉マーク」にさえ追い越される始末。

そんなことがあっても、

瞬時の燃費が30や40を示していれば

心は穏やかに保たれているのでした。


歩行者信号が点滅を始めたりすれば

なんとしても渡ってしまうぞ!とばかりに

以前はアクセルを踏み込んでいたものですが

そんなことでは燃費は伸びない・・・。


信号のタイミングを遠くから観察し

早めにアクセルを戻して「転がる」。

まぁ、後続車にとっては迷惑な事かも知れません。

かつての自分なら、

「スピード出せば黄色で渡れるやろ!この○×△□▲!!」


当然、全手動アイドリングストップを

オーナーオプションで標準装備することにしました。


まぁ、たまにはミッションが「D」のままで

再始動に手間取ることもありますが・・・(汗)。



そのような、血と汗(痴と焦)の2年半の準備期間を経て

今年の6月、同じ車の新型車に乗り換えました。

今度の車はCVT。

メーカー発表の燃費は25.5km/L。


そして、4ヵ月余りが過ぎた今月13日。

近畿自動車道の堺JCT手前だったでしょうか。

数字が変わる瞬間は見逃しましたが・・・。






高速道路ではありますが、75km/hのスピード。

若輩者のころより、何度か覆面Pに

「左に寄りなさい!」と声を掛けてもらったこの道。

まさか、「もっとスピード出しなさい!」とは言われないでしょう。


そんなことより、燃費計がね! ほら!






瞬時の燃費ではない、平均燃費がこれ。


とうとう、OEM元のアイドリングストップ装備車の

メーカー発表燃費を超えた瞬間なのでした。



って・・・、まぁ、バリバリの自慢話・・・・・、

どこがアンチエイジングと関係あるのかッ!

と、思いましたか?


いえいえ、燃費を伸ばすことはアンチエイジングそのものです。


1度の給油の走行距離を伸ばすこと、これすなわち燃費向上

1度の人生の健康寿命を伸ばすこと、これすなわちアンチエイジング


ただし、給油は何度でもできるけれど

人生は1度きりということが、大きな違い。


燃費向上のために必要であったことはなにか?


それは自分自身が真剣に意志することでした。

運転の方法を変える意志」を持つことでした。


センテナリアン(100歳長寿者)の研究が示すところでは

彼ら百寿者では血中インスリン濃度が低いことが知られています。

長寿の結果、血中インスリン濃度が低いのか、

血中インスリン濃度の低い生活を続けた結果、健康長寿なのか?


現在、寿命を延長させる介入方法として確実視されるのは

摂取カロリーを7割とするカロリーリストリクション(CR)。

アカゲザルの研究で、霊長類でもほぼ実証されました。

 詳しくは以下を参照してください  ↓

 霊長類カロリー制限『Science』誌の掲載論文 アンチエイジング・ミニ講座 4


もちろん、血中インスリンを低く抑えるためには

血糖値を上昇させない食事をすることが肝要です。

そのためには糖質制限=炭水化物制限が必要となります。


糖質制限は、なにも糖尿病人のためだけのものではないのです。

血糖値が180mg/dlを超えるたびに

血管内皮は障害され、すい臓のβ細胞は疲弊します。


1膳の米飯150gは、55.3gの糖質を含みます。

これだけで健康人では血糖値は約55mg/dl上昇します。

2膳食べれば、食前の血糖値が90でも

食後血糖値は200mg/dlになってしまうのです。


「今の食事環境では、だれでも糖尿病になれます」

とは、ある糖尿病専門医の言葉でした。


ここで、やはり「意志すること」が必要となります。


食事の方法を変える意志」を持つこと

すなわち 

食い改め」 ようと意志することが

真剣に求められると思うのです。


みんな食べてるんだから、同じでいいよ!

食べたい欲求を抑えてまではねぇ・・・。


そうですか? 残念なことです。


 狭き門より入れ、

 滅にいたる門は大きく、その路は廣く、

 之より入る者おほし。

 生命にいたる門は狭く、その路は細く、

 之を見出す者すくなし。

 
 Enter through the narrow gate.

 For wide is the gate and broad is the road

 that leads to destruction, and many enter through it.

 But small is the gate and narrow the road that leads to life,

 and only a few find it. (Matthew 7:13-14)



敵を知り、己を知れば、百戦危うからず 8

2010-08-25 18:28:49 | サクセスフル・エイジング

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食事を摂ると、血糖値は上昇します。


血糖値の上昇は、膵臓からインスリンを分泌させます。


インスリンは細胞内への糖の取り込みにより、


血糖値を低下させます。




急激な血糖値の上昇は血管を損傷するといわれてきており


特に、「食後の高血糖」いわゆる グルコース・スパイク は


疾病予防の観点からも、アンチエイジング的にも、


避けられるならば、それに越したことはないわけです。




血糖値の上昇に対して充分なインスリン分泌がなされないと


「食後の高血糖」が発生してしまいます。


インスリン分泌量の不足や分泌タイミングの遅れは


「食後の高血糖」を引き起こすことになります。




われわれ日本人を含む東アジア人は、


欧米人に比べインスリン分泌能が低いことは前述のとおりです。

( 敵を知り、己を知れば、百戦危うからず 3
  敵を知り、己を知れば、百戦危うからず 4 )



さて、


食べて直ぐに横になると牛になる」という警句。


単にお行儀だけの話にとどまらないのは、


「食後の血糖値」に関係しているからです。




さきに述べましたが、


運動によっては活性化されるのはAMPキナーゼという酵素です。



すなわち、筋肉が収縮することにより


骨格筋細胞内のAMPキナーゼが活性化されると


GLUT4という糖の運搬役が細胞内から細胞表面に移動し


糖が細胞内に取り込まれ、血糖値が低下します。




ということは、食後に運動を行うことによって


食後血糖値の急激な上昇、グルコース・スパイク を


抑えることができるというわけです。




現在の食生活を考えてみるに、


あとは寝るだけなのにカロリーが多い食事は


「夕食」ではないでしょうか?




夕食後の運動、ちょっと考えてみませんか?




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敵を知り、己を知れば、百戦危うからず 7

2010-08-20 00:01:03 | サクセスフル・エイジング

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「腹八分目」や「運動」は

AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ ) や

SIRT1(長寿遺伝子:ヒストン脱アセチル化酵素)

を活性化します。

その結果、最終的には

ミトコンドリア核内で遺伝子の

転写を制御するPGC-1αという
      (PPARγコアクチベーター)

PPARγ活性化補助因子が活性化される。


この補助因子によってPPARγが活性化されると


脂肪細胞の分化をが促進され小細胞化し、


善玉ホルモンであるアディポネクチンが増加します。


さらにMCP-1、TNF-α、レジスチン、

遊離脂肪酸(FFA)などを減少させ、

主に骨格筋のインスリン抵抗性を改善します。


逆に肥満になると、アディポネクチンとその受容体の働きは

ともに低下してしまい、糖・脂質の代謝異常や

ミトコンドリアの減少や機能低下、運動耐容能の低下に

つながってしまいます。



やはり 「腹八分目」や「運動」は

糖尿病から遠ざかるための「王道」なのです。

しかし、だれにでも簡単にできるものでは・・・。



そんなところに良い知らせが!



まずは、アディポネクチンの最新研究から。


今年4月のNature誌に発表された論文によると

Adiponectin and AdipoR1 regulate PGC-1α and mitochondria
by Ca2+ and AMPK/SIRT1



 アディポネクチンは、その1型受容体(AdipoR1)を介して、

  1.糖・脂質代謝改善に重要なAMPキナーゼと

    長寿遺伝子SIRT1 を活性化して

  2.細胞内カルシウム濃度を上昇させることが判りました。


この2つの経路によって

PGC-1αおよびミトコンドリアの活性と量を

両方とも改善させることも判りました。


これらの活性化の経路は、最初に述べたように

「腹八分目」や「運動」によって活性化されるものでした。


ということは、


 アディポネクチン1型受容体(AdipoR1)を活性化する薬ができれば、

 身体を動かさなくても運動の効果を得られることが可能になる
わけです。


しかし、この研究は始まったばかり。

アディポネクチンとその受容体を活性化する

新しい糖尿病治療薬が陽の目を見るまでは、


肥満になりそうな人も、すでに肥満の人も、

「腹八分目」や「運動」でPPARγを活性化しましょうね!


「食べて直ぐ横になると牛になる」が、

重要な警句であることは、また、次回に。

 
 つづく    敵を知り、己を知れば、百戦危うからず 8



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敵を知り、己を知れば、百戦危うからず 6

2010-08-13 08:19:02 | サクセスフル・エイジング

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           敵を知り、己を知れば、百戦危うからず 5



糖尿病発症予防のために有効な環境因子改善に関わるのは、


「食事」と「運動」。



そんなことは百も承知だ! との声が聞こえてきそうですが


最近、食事制限や運動が、

糖尿病の病態をどのようなメカニズムで

改善するのかということが科学的に解明されてきました。



科学的に解明される対象というのは、


当然のことですが、昔から言われていることです。



わが国のことわざでは


 「腹八分目に医者要らず」 があります。



ドイツには


 「トラック一杯の薬より、1台の自転車」


というものがあるそうです。



食事制限(カロリー制限)も運動も、


行き着くところはミトコンドリアだといいます。


どちらも筋肉内のミトコンドリア量を増やします。


そしてミトコンドリアの機能が上がると、

糖や脂質の代謝が促進されて、血糖や脂質が下がります。




いくつもの論文が発表されていますが、


そのメカニズムとしていわれることは以下のようなものです。


「腹八分目」や「運動」は

AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ ) や

SIRT1(長寿遺伝子として知られるヒストン脱アセチル化酵素)

を活性化します。

その結果、最終的にはミトコンドリア核内で遺伝子の転写を制御している

PGC-1α(PPARγコアクチベーター=PPARγ活性化補助因子)

を活性化して代謝を根本的に改善します。



ここにも、PPARγが出てきましたねぇ。


日本人では96%で、このPPARγ遺伝子が


倹約タイプになっているのでしたね。

敵を知り、己を知れば、百戦危うからず 3 を参照して下さい)




さて、PPARγが活性化されるとアディポネクチンが増えます。


次回は、アディポネクチンの新たな作用に関して。



ところで、


  「食べて直ぐ横になると牛になる」


というのも、昔から言われるところで


行儀の悪さをたしなめたものと考えられがちですが


さて、科学的には?


 つづく    敵を知り、己を知れば、百戦危うからず 7



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敵を知り、己を知れば、百戦危うからず 5

2010-08-10 07:00:00 | サクセスフル・エイジング

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           敵を知り、己を知れば、百戦危うからず 4




これまで、


われわれ日本人を含む東アジア人は遺伝的特質として


 1 倹約遺伝子を持つ割合が高い

  (日本人の96%でPPARγに倹約タイプ)


 2 インシュリン分泌能力が欧米人の半分しかない



ということを書きました。




最近では、日本人の2型糖尿病発症に関わる遺伝子として


インスリン分泌に関係しているらしいKCNQ1という遺伝子が


発見されました(2008 理化学研究所)。
               ↓
 2型糖尿病に関連する遺伝子「KCNQ1」を発見 -日本人の2型糖尿病発症の2割に強く関与 -


このKCNQ1遺伝子の遺伝情報のうち

たった1塩基が異なるだけ(SNP=1塩基多型)で、

2型糖尿病発症リスクは1.3~1.4倍
になるといいます。



1塩基多型は、以下でご確認を。


A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)はそれぞれ塩基。
Aさんの「T(チミン)」の部分とBさんの「G(グアニン)」の部分
1ヶ所だけが違っている。




日本人の2型糖尿病発症の2割に、

この1塩基の違いが関わっていると推計されるのだそうです。



欧米人では、インスリン分泌に関係する遺伝子として

TCF7L2という遺伝子が知られていて、

これを持つ人は、持たない人の1.6倍

糖尿病になりやすい
ことが判明しています。


しかし、

TCF7L2を持つ人が体重を5%下げるだけで

糖尿病の発症を、ほぼ完全に抑制できるといわれます




つまり、遺伝的なハンディーがあったとしても

食事や運動といった環境因子を改善することで

糖尿病を発症しないようにできるわけです




次回は、そのポイントを述べたいと思います。


 つづく    敵を知り、己を知れば、百戦危うからず 6



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敵を知り、己を知れば、百戦危うからず 4

2010-08-09 16:50:33 | サクセスフル・エイジング

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インスリン分泌能力の違いをもたらしたものも、

欧米人とわれわれ東アジア人との遺伝的な体質の違いです。


動物性脂肪の摂取量が多い牧畜生活であった祖先から

インスリンを多く産出できる遺伝的体質を

数百世代にわたって受け継いできたのが現在の欧米人です。


われわれ東アジア人はといえば、農耕生活が中心であり、

脂肪摂取が少ないぶん摂取エネルギーが少なかったため

食生活の欧米化が始まった ほんの数世代前までは

インスリン分泌能力を高める必要はありませんでした。


悠久の時の流れが、彼我の遺伝的体質を決定づけたのです。

また、東アジア地域のほうが飢餓が深刻だったために

東アジア人に倹約遺伝子の割合が多いといいます。


このような、個人的にはどうしようもない事実を

身体のなかに秘めながら、この40年余りの間に

日本人の動物性脂肪摂取量は、4.6倍に増加しました。


インスリン分泌能力が半分しかないのに、

欧米並みの動物脂肪摂取で多量の分泌が必要な食生活に急変です。


東アジアの新興諸国でも事情は同じですから、

欧米以上のスピードで糖尿病が増加することになりました。



ちなみに、欧米人の糖尿病患者の平均BMIは31。

これに対し、日本人糖尿病患者の平均BMIは24。

ちょっと小太り程度なのにインスリン分泌が低いものだから

糖尿病になってしまう。

もっとBMIが低い人でも、倹約遺伝子のおかげで

内臓脂肪が蓄積しやすいために糖尿病になってしまう。



 生まれた 時が 悪い~のかぁ ♪

 それとも 俺が 悪い~のか  ♪

 なにも~ 知らずに 生きて 行くなら~ ♪

 それは~ たやすい ことだ~けぇど~ ♪


【3行目は2番の歌詞です・・・曲は 昭和ブルース
                     ↓
 You Tube で聞けます http://www.youtube.com/watch?v=bLa_WmNCy70
 

いえいえ、なにも知らずに現代を生きていくと

たやすく糖尿病になれてしまうのです。


さて、まずは、

遺伝的背景については、ガッテンしていただけましたか?


 つづく    敵を知り、己を知れば、百戦危うからず 5



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