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抗糖化 で 減らせAGEs 

炭水化物も要注意    

霊長類カロリー制限『Science』誌の掲載論文 アンチエイジング・ミニ講座 4

2010-01-18 22:20:47 | アンチエイジング・ミニ講座

昨日のつづき。


まずは、ほぼ同年齢(約27歳)の2匹のアカゲザル


カラー写真をごらんいただきましょう。









昨日は、白黒写真でしたが、

どちらがカロリー制限 (CR) を行なった方かは

一目瞭然ですよね?



顔面のアップと側面からの全身像も、どうぞ。





     CR餌             通常餌



サルの種類が違うのかと思うほど

まったく毛並みが違うではありませんか!?


とても、同じ年齢とは思えません。



これが、アカゲザルで示された「腹七分目」の効果です。





さて、では、2009年7月10日付けの『Science』誌に掲載された

「Caloric restriction delays disease onset and mortality in rhesus monkeys.」

「アカゲザルでのカロリー制限は、疾患発症と死亡を遅らせる。」


という論文の要点を、紹介しましょう。

(注・・・)は、筆者による追加説明です。


栄養不足とならないカロリー制限(Calorie Restriction:CR)は、

多くの生物種で加齢の進行を遅らせ、寿命を延長させることが知られている。

(注:最初の研究発表は1935年、コーネル大学のマッケイらが

   ラットを低カロリーの餌で飼育することによって、

   寿命を33%延長することに成功したというもの。
 
   それ以後、CRを行なうと、原生動物、ミジンコ、サラグモ、

   グッピー、マウスと、幅広く、いろいろな種類の動物で

   平均寿命、最大寿命ともに大幅に延びることが確かめられた。)



しかしこれまで、霊長類でのCRが、疾患発症を抑え、

死亡率を改善するかどうかは、明らかにされていなかった。


この研究では、霊長類のアカゲザルに対してCRを行い、

その効果を検討した。


1989年に、オスのアカゲザル30匹を15匹づつ、

CR餌群(CR群)と通常餌群(コントロール群)とに振り分け、実験を開始。

1994年には、メスのアカゲザル30匹、

オスのアカゲザル16匹を同じく2群に振り分け、実験を継続。


CR群・コントロール群ともに38匹づつのアカゲザルを

平均20年間飼育し、経過を観察している。



CR群では、30%カロリー制限した餌を投与している。


その結果、CR群においては加齢に伴う死亡率の低下が認められた。



すなわち、本研究発表の時点で、


                生存率

   コントロール群    50%

        CR群     80


と、いう結果が得られた。



また、死亡例においては、その死亡原因について、

糖尿病・癌・心血管疾患など、

加齢による病理変化による死亡なのか、

それ以外の急性の病理変化による死亡なのかを

病理解剖で判定したところ、


             加齢による病理的変化による死亡

   コントロール群    37% (38匹中14匹)

       CR餌群    13% (38匹中 5匹)



という結果となった。

(注:コントロール群での加齢による病気での死亡は、CR群の3倍である。)



結論として、

CRはアカゲザルにおいて、年齢に伴う病理学的変化を遅延させた。

すなわち、

CRは、糖尿病・癌・心血管疾患・脳萎縮の発症率を低下させた。






A:縦のラインは死亡を示す
B:コントロール群(通常餌)とCR群の加齢に伴う死亡の比較
C:コントロール群(通常餌)とCR群のあらゆる理由による死亡の比較



カラーでBとCのグラフを再掲しました。






アンチエイジング・ミニ講座 1  ヒトは血管とともに老いる

アンチエイジング・ミニ講座 2  AGEsは血管平滑筋細胞に石灰化を誘導する

アンチエイジング・ミニ講座 3  寿命決定は環境因子が75%


創立2周年記念、AGE Readerによる皮膚AGEs測定の実際は こちらから

当ブログの重要点『抗糖化』等に関してはこちらにまとめてあります。
なお、図表および内容の引用は固くお断りいたします。


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