外科医 アンチエイジングに目覚める!?

目指そう サクセスフル・エイジング !

抗糖化 で 減らせAGEs 

炭水化物も要注意    

スタチン:65歳以上に対してはリスクがベネフィットを上回るか?

2017-06-01 10:52:19 | ひとりごと 医療系
コレステロールを低下させる薬であるスタチンについては

すでにこれまでにも、古くは2010年以来さんざん書いて参りました。

以下のとおりです。


あなたの健康 誰が守っていますか?
http://blog.goo.ne.jp/avin-hmp/e/89629a015292a9a4606cf8748acc1f2c


動脈硬化してないか?日本動脈硬化学会
http://blog.goo.ne.jp/avin-hmp/e/0319862f1f226019ec7a47bf9a3225bb


脂質異常症の内服治療に関する以前の記事一覧
http://blog.goo.ne.jp/avin-hmp/e/4e6330cdf95c04476d6d411ab906f070



この類の薬に関する話は、何が真実で、何が偽りで、

これまで掲載してきた内容を信じるのが正解だったかどうか・・・など

もはや 個人の問題やし 好きにしたらええやん!

小生は 言うだけは言ってきたんやし!

と、すねたような思いで過ごして来ましたが

なにやら 興味深い研究結果が聞こえてきたので

ご紹介しておこうと 思いました。





出典は以下の如く ごく最近のJAMA Internal Medicineからです。


Curfman, G.
Risks of Statin Therapy in Older Adults.
JAMA Internal Medicine. 2017 May 22 [Cited 2017 May 22] doi:10.1001/jamainternmed.2017.1457

Han, B. H. et al.
Effect of Statin Treatment vs Usual Care on Primary Cardiovascular Prevention Among Older Adults The ALLHAT-LLT Randomized Clinical Trial.
JAMA Internal Medicine. 2017 May 22 [Cited 2017 May 22] doi:10.1001/jamainternmed.2017.1442

近赤外光線免疫治療法  これはすごいぞ!

2016-12-20 19:00:00 | ひとりごと 医療系
近赤外線でがん細胞が1日で消滅、転移したがんも治す
――米国立がん研究所(NCI)の日本人研究者が開発した驚きの治療とは

            ↑
       詳しくはこちらをクリックで


かつて温熱療法(ハイパーサーミア)を行っていた者からすると

この治療法のすばらしさには目を見張るものがあります。

ぜひ、臨床での実用化までこぎつけて欲しいです。

既得権益集団からの妨害がないことを祈ります。



図1:近赤外線を使った新しいがん治療法のイメージ

          詳しくはこちらをクリックで
                ↓
近赤外線でがん細胞が1日で消滅、転移したがんも治す
――米国立がん研究所(NCI)の日本人研究者が開発した驚きの治療とは


押しても引いても 動かないのはロバだけか?

2016-03-14 14:25:12 | ひとりごと 医療系
雨の月曜日というのは、いつもより気が滅入りがち。

そんなことありませんか?


収集日なのでドッサリ積まれたゴミ袋の集団も

すっかり雨に打たれてしまって

早く集めてくれと互いに身を寄せ合っている。


ところで月曜日は 診療所の外来診察が2人体制の日だ。

K大病院の新進気鋭の若手医師が一翼を担って下さる。

隣同士の診察室だから話される声は耳を澄まさぬとも良く聞こえる。


どうやら先ほどの患者さんは糖尿歴の永い女性患者さん。

聴くともなしに耳に入ってくる内容が・・・・・。


患者「気を付けて甘いもの少なくしています」

 医師「それはよいですねぇ」

患者「朝はバナナを食べない時は果物ジュースを飲みます」

 医師「かえって糖分が多いことありますよ」


あれ? なんか患者さんには伝わってなさそうな・・・。



患者「できるだけ野菜を多く摂るよう心がけています」

 医師「それはよいことですね」

患者「ニンジン・サトイモ・じゃがいもなどしっかり食べてます」

 医師「根菜よりも葉モノ野菜を食べて下さい」

患者「野菜の味付けに砂糖は入れてもいいねぇ?」

 医師「多少は問題ないですよ」

患者「問題ないわねぇ」


ありゃりゃ? これまた自分に良いように理解してる?



患者「油は控えてますねんけど、

   夜は若いもんと食べるので肉が多いです。」

患者「とにかくご飯は少なめにしてます」

 医師「あぁ~ そうですかぁ」


なんだかねぇ

どうも肝心のところで勘違いがあるような??



87歳のこの女性、いつも6時半に朝食を食べるとのこと。

メニューはパン・バナナ・牛乳というもの。

ところが甘いモノはいけないと聞いたらしい。

そこでバナナを食べない時には

果物ジュースを飲むようになったとか。


まだ畑仕事もしているそうなのだが、

喉が渇くとサイダーを飲んでしまうことがあるらしい。


以下に少々 データ概要を述べてみましょう。

(データ引用はご本人の了解を得ております。)


本人さんも食養生に勤しむとの事だったため

血糖降下薬は投薬せずだったのが

2014年 4月~7月 の頃で

HbA1cは 8.0~8.2 。


ところが8月に 8.5 となり、

とうとうアマリール1mgが開始となった。


その甲斐あってか、本人の食養生の所為か

10月には 7.1 と下がり

その後は

11月~2015年8月の間は

 6.3~6.6 とすこぶる落ち着いていたため     

8月でアマリールが投与中止に。


ところが 良かったのは薬のお陰だと直ぐに判明。

 9月  6.7 

10月  7.3

11月  7.9

12月  9.2

と順調に値は上昇を続け

2016年1月にはとうとう 10.0をマーク。

2月  9.9となった時点で 

アマリール再開となったのでした。


まぁなんにしても それなりのご高齢ではあるため

食事の指導と言ったところで 

なかなかご本人が思い込んだ場所からは動かないもの。


もっと若い場合でも ケンカ腰の人だって大勢知ってます・・・。


でもね どうして解らないのかなぁ・・・・・。

誰の為でもないんですよ! それって!!

アナタ ノ タメ ナンデスケドッ!!!



2004年のEU罰則付き新規制で激変したスタチンの評価

2014-11-23 23:09:47 | ひとりごと 医療系
今日も結構な好天に恵まれました。

昨夜の長野地震では、死亡犠牲者が無かった事はなによりでした。


今回は2004年の

EUにおける罰則付き新規制で激変したスタチンの評価

をご紹介します。

図表内容の説明は 明日以降になりますが

要するに、

スポンサー(製薬会社)を外すと

スタチンには心臓血管疾患による死亡率低下は認められないという事。


まぁ 説明するまでもなく 一目瞭然の結果ではないでしょうか。







脂質異常症の内服治療に関する以前の記事一覧

2014-11-23 00:54:18 | ひとりごと 医療系
とりあえず、まずは

脂質異常症の内服治療に関して

これまでに掲載した記事の一覧を。

(それぞれクリックで飛びます)


 2010-04-29 脂質異常症の内服治療開始基準に関して・・・・・有益な示唆


 2010-09-03 コレステロール値:「高い方が死亡率低い」

 2010-10-08 HDL-C値が高いと発ガンリスク減少、LDL-Cが低いと発ガンリスク上昇


思い出のサンダーソニア

2014-01-05 23:42:12 | ひとりごと 医療系
久しぶりに湯船タップリのお風呂に浸かった。

あぁ、やっぱり自宅の風呂は寛ぐなぁと思うと、

今日午前2時に救急搬入されてきた老齢の女性の事を思い出した。


前日の13時半頃に、施設から居なくなったことが判明して

家族から捜索願が出されていたそうな。


今日の午前1時半頃、

タクシー運転手さんが四つ這いでいる人影を見付け救急車を呼んだ。

顔面から血だらけの女性は、

どうやら道路から川の堤防を滑落したらしい。


搬入された女性、意識はしっかりしている。

数cmの裂創は洗浄ののちステープラー縫合。

頭部CTと痛む箇所のレントゲン撮影。


骨折なく、頭蓋内の出血もこの時点では認めなかった。

しかも、

明らかな脳の委縮さえ認められなかった80手前の女性であった。


そんな事を思っていると、

不意に、『サンダーソニア』 という花の名前が頭に閃いた。


あぁ、その花の名前は、もう20有余年前に

ある女性の患者さんの部屋で、訊ねて教えて貰ったのだった。


60歳半ばの彼女は、確か乳がんの肝転移だった。


私は彼女の主治医ではなく、

その病院の外科のシステムとして

主治医が不在の時の回診が決められていて、

その時たまたま目にした鉢植えの花が気に掛かったのだった。

ツリガネソウかと思ったけれど、その花の色は橙色に近い黄色だった。


二言、三言言葉を交わすだけで浮かび上がってくる彼女の知性。


次の週の回診の時に訊ねて、

それが「サンダーソニア」だと教えて貰った。


主治医でない私は、お礼に彼女に

「笑いの効能」という小冊子を手渡した。

ノーマン・カズンズが唱道した「免疫系に与える笑いの効果」が

彼女にも、もたらされることを私は蔭ながら切に願った。


しばしの平安な日々が過ぎたのち、別れは唐突に訪れた。


非番の土日が明けた月曜日。

彼女の居た病室には、サンダーソニアの姿も消え去っていた。






花言葉は 「愛嬌」「祈り」「共感」など。



花の名が 一期一会の 縁かな 

ヒアルロン酸もはや推奨せず 【米国整形外科学会】

2013-08-23 03:15:16 | ひとりごと 医療系
ヒアルロン酸もはや推奨せず 【米国整形外科学会】

ちょっとネタが古くなってしまったのだけれどね・・・。



要するに、

変形性膝関節症に対して

関節内に直接ヒアルロン酸を注入しても

臨床的に重要な改善が認められないため

治療法としてもはや推奨されないもの
だといわれてしまった。


ばんばん注射しまくっていた整形外科の病院とかも知ってるけど

こういう事実が公になっても、やはり注射し続けるんだろうか?

だいたい、患者自身は無知だからなぁ・・・。


それよりも、

八千草薫さんとかをCMに使ってた「飲むヒアルロン酸 KJ」。

消化・吸収された場合、それが都合よく膝関節でヒアルロン酸に?

とは、多くの医者が当然考えていたことだったのだが、

直接ヒアルロン酸を、膝関節に注射投与しても治療法とは推奨されないってんだから

それはそれは、たいへんな騒ぎが一部では起きている? のかしら?




では、以下引用です。(太字は引用者による)


ヒアルロン酸もはや推奨せず 【米国整形外科学会】

変形性膝関節症ガイドライン改訂版を発表

2013年7月11日 米国学会短信 カテゴリ:神経内科疾患・整形外科疾患・投薬に関わる問題


 米国整形外科学会(AAOS)は6月4日、

変形性膝関節症治療に関する臨床診療ガイドライン(CPG)改訂版を発表した。

ヒアルロン酸を推奨しないと明記 した。

変形性関節症(OA)は摩擦による消耗が原因の関節炎とも知られ、

65歳以上に発症することが最も多い。

米国では約3300万人がOAに罹患し、身体障害の主因となっている。

 本CPGは膝関節置換術より侵襲性の少ない治療を対象としている。

2009年CPGから変更された主要推奨事項は、

アセトアミノフェンとヒアルロン酸に関する2点。

アセトアミノフェンの推奨用量は4000 mgから3000 mg/日に減った。

これはFDAが2009年以降にアセトアミノフェン使用者全般に対して変更したことによる。

ヒアルロン酸の関節内注射は、14件の試験のメタ解析において

臨床的に重要な改善を意味する最小閾値に達しておらず、

症候性の変形性膝関節症治療法としてもはや推奨されないものとしている。



 その他の重要な勧告は2009年と変わらず、「OAの症状のみで、関節内遊離体や半月板損傷

など他の問題が見られない者には、関節鏡下洗浄治療は行わない」

「BMI25超の者は最低5%減量する」

「低負担の有酸素運動を積極的に取り入れる」

などがある。

患者が主体的に治療に取り組むことが、痛みを軽減し、

良好な健康状態を実感するに最適な方法の一つである。

太り気味であれば、減量が進行を遅らせるためにできる最善策でもある。


 「変形性膝関節症の治療選択肢は多いが、全てが有効なわけではない。

膝に問題を抱えている場合、主治医や整形外科医と密に協力しながら、

各自に最適な治療を組み立てることが最善である」

とAAOSガイドライン作成委員会委員長のJevsevar氏は述べている。


引用元へは以下をクリックでどうぞ。
     ↓
AAOS Releases Revised Clinical Practice Guideline for Osteoarthritis of the Knee

断然お勧めします! BS世界のドキュメンタリー「絶食療法の科学」

2013-03-29 10:44:03 | ひとりごと 医療系
奇妙なご縁で、その方のお招きのままに

ザ・リッツ・カールトン大阪で面談し、

クリントン女史が所望したマクロビの食事をご馳走になったのが

かれこれ3年ほど前のことだったかな?

もちろん、手土産に小生のサプリを持参。


3歳年上の氏は、健康の自己管理もしっかりしている。

特記すべきは「断食」。

これまでにもすでに何度か経験があるという。

「精神が研ぎ澄まされる感じがするよ」

との彼の言葉はすでに聞いていた。



つい先日、

BS世界のドキュメンタリーという番組で

「絶食療法の科学」というのを途中から観て、納得の想いを禁じえない。


今しがた、以下のところから全編が観れることを確認。

己の健康は己が護ると思われる方は、是非、以下からご覧になることをお勧めします。

絶食療法の科学 Science of Fasting




増加する救急受け入れ拒否 の深層心理

2011-11-20 13:22:40 | ひとりごと 医療系
心肺停止の救急搬入 の その先にあったもの に

看護師haruさんから、コメントを戴きました。

・・・・・・・・・・・・・・・

悲しすぎる (看護師haru)
            2011-11-19 12:03:22

こういう病院は増えているような気がしますね~。

ワタシハ、ケアマネしていますが、時に救急搬送することもあります。

救急車の中で、一体どれだけの時間を待てばよいのか?と思うこともばしば。

かく言う私も、救急車のお世話になり、自宅前で、30分くらい待たされ、

悶絶した経験があります。

大変お疲れ様でした。

総合病院と、開業医との連携がもっとスム-ズにいくことを願います。

・・・・・・・・・・・・・・・

看護師haruさん、コメントありがとうございます。

haruさんが実感されること、間違いないと思います。

わたくしが非常勤で働く別の救急病院では

「回復の可能性のあるCPAは断ってよい」

という当直医への説明があります。

つまり、循環器や脳梗塞の専門医が居ないですから、

蘇生できても、その後の対応・治療ができないからです。


いってみれば、単に心臓を回復させたくらいでは

患者家族からは感謝などされないことを意味します。


今の世の中、溢れる医療情報のなかで、

「神の手の脳外科医」やら「超名医」などが

あまりにもTVなどで紹介されるものですから

一般の人々は、まるで

 「人は死なない」

とでも、思い込んでいるかのようです。


そこでは、

「医療の対応が不十分だったから

 うちの人は死んでしまった!」

という、間違った反応さえ生じます。


救命に精一杯の医療者たちのこころは破れていきます


間違いなく、人は死ぬんです。

しかも、なんの前触れも無く死ぬことさえあります。


「死」がはるか遠い未来のこと

あるいは「身内以外に起こること」

としか認識できないところでは、

「生」自体も、希薄なものとならざるを得ないでしょうね。




これが現実・・・

2011-11-20 13:17:57 | ひとりごと 医療系
心肺停止の救急搬入 の その先にあったもの に

初心者クライマーのおまつさんから、コメントを戴きました。

・・・・・・・・・・・・・・・

辛い話ですね・・・ (初心者クライマーのおまつ)
                      2011-11-19 11:49:09
これは辛い話ですね・・・

でも、こういう話はなるべく世間に知れ渡った方が良い気がします。

大病院も別にイジワルで拒否をしてるわけで無いし、

先生や看護師さん達もベストを尽くしたワケだし・・・

でも、心停止状態が長く続いたら、確かに脳にダメージが行くんですよね。

読んでて、あっと気がついたというか・・・

ご婦人が助かってることを祈りたいですが、

こればっかりは神様の決めることだから・・・

お疲れ様でした。そして有難うございました。

・・・・・・・・・・・・・・・


おまつさん、コメントありがとうございます。


そうなんですよ、受け入れを渋った大きい病院も、

意地悪で言ってるわけではないのです。

メディアの医療番組の影響から

ごく一般の人たちは簡単に

「高度な医療施設なら誰でも助かる!」

と、大きな勘違いに陥っています。


特に3次救急では、瀬戸際で救命できても、

回復しない脳機能状態という重症例が

蓄積していかざるを得ないでしょう。


そんな現場では、

「こんな状態では、助けてもらわなかった方が・・・。」

といった非難めいた訴えさえあると聞きます。


心臓は戻ったけれど、その後はどうなったか?

来週、また2日にわたって夜診・当直する救急病院に

うれしい経過報告が届いていることを祈っています。



心肺停止の救急搬入 の その先にあったもの

2011-11-19 01:08:08 | ひとりごと 医療系
機嫌悪そうな一面の灰色雲。

吹く風は、なにやら生暖かく感じられた17時前。


夜診は17時~19時まで。


いつも隣の2診で診察の循環器の教授先生は休診。

待合で待つ患者も多くなく、半分はインフルエンザ予防接種。

頭を捻らねばならない新患もなく、

夜診終了まで、いつになく穏やかな時が流れてくと思っていた。


「外線1番に○○市救急の救命士から直電話です」と事務の声。


受話器を取ると元気のいい声が飛び込んでくる。

「70歳女性、心肺蘇生中のとこへ現着、CPA(心肺停止)確認にて、

 気道確保の指示だけお願いします!

 その後、搬入してもよろしいですか?」


そのあまりのテンポのよさに、

 「やってやって、ほな、待っとくし。」と、つい口が滑った。


「ありがとうございます、また第2報入れますので!」


近くで電話のやり取りを聞いていたナースが

 「え~、受けたん? この時間にぃ~・・・」


と言われて、掃除を始めていた彼女たちの後ろにある時計を見ると

あと10分で夜診終了のお時間だったのだ。


 「何分で来るってぇ?」

  「さぁ、もう一回連絡来るって言うてるし・・・。」

 
5分ほどして第2報が入った。

「気管内挿管できずで、ラリンゲアルマスクで換気良好です。

 瞳孔5mm対光反射なし左右差なし、あと15分で到着します。」

点滴のルートは取れていないということで、

気管内挿管と点滴と強心剤の準備を整え、待つ。

いつのまにか、病棟残務で残っていた日勤さんも降りてきてくれた。


ナース5名と医者1名が準備万端で待っている。

待っているのはいやに長く感じてしまうもの。

と、ようやくサイレンが聞こえて、近くで音を消してやってきた。


ストレッチャーを移し変え、気管内挿管を行う。

心電計はフラットだ。


点滴ルートが優秀なナースによって一発で確保された!

うん、いい感じ。

問題は、いつごろからCPAなのかだが・・・。

ボスミンを側注し、硫アトも側注し、心マッサージを続けること2分。

少し波形が出てきたような感じ。


再び、同様に行う。そして2分。

心電計には自発の波形が規則的な波が流れている!

まぁ、すごいじゃないか! 心臓は蘇生したよ。


カタボンを別ルートから流し始めよう。

そのころにはすでに橈骨動脈の拍動が触知できていた。



さて、しかし、なにが原因で心肺停止に?

昼の2時ごろは普段と変わらぬ姿が目撃されていたという。

18時半ごろに居間で仰向けに倒れているのを発見し

心マッサージと人工呼吸をしながら、119番通報したという。

よほど上手にやれていたのだろう、救急隊がバトンタッチして

救急室に搬入したときも、下腿は温かかったから。


心拍は戻ったけれど、瞳孔は左右対称5mmで対光反射は戻っていない。


低酸素による脳障害がどうなのか、いまだ不確か。


少し落ち着いたので12誘導心電図をとると、あちこちでST低下。

たぶん心臓が原因なら、循環器を扱える医者がいる大きな病院に

転送するのが望ましい選択だとはナースたちの意見。


とりあえず、近くの大学病院への転送を家族に打診。

「できるだけのことを、やってやってくれ!」


大学病院の救急担当医に直接電話をつないで貰う。


結局、彼が言うのはこういうことだった。


 「CPAで今心拍が戻っていても、脳は戻らない可能性がありますよ。

  つまり、人工呼吸で脳死状態が続くことになる可能性も

  ご家族はご納得されていらっしゃるんですか?」


とにかく心臓戻すのに必死で、とてもそこまで手が回るはずもなかった。

 「いえ・・・、そこまでは説明していませんので、

  ご家族に説明して、またご連絡差し上げます。」

と、丁寧な口ぶりで電話を切ったが、

すでに向こうの意向は十分わかってしまい、なにやら胃に石が入った感じだ。


 「とってくれへんってか?」とナースが訊く。

「そうやねん・・・。なんやかんやとなぁ・・・。」

 「最近、なかなか厳しいこというようになったんよ」


そうなのかぁ、わからぬでもないけれどなぁ・・・。


「ほな、□△の救命救急に電話入れるわ。」


と、別の大病院に電話してみると、これがまた、低い声でボソボソと

「どんな治療を想定されているんですか?」

と、訊いてくるではないか!


(ちゃうやろ! そんなことは受け入れてくれてから

 あんたらが考えてくれたらええこととちゃうんか!!)


と、ほとんどブチギレそうになりながらも、

もう、なにをどう話したかも覚えても無いのだが、

とにかくどうも心臓のようだから、ここでは循環器は無理だしさぁ、

高度な医療が行えるそちらで是非、お願いしたいのよぉ! ねぇ?

先生 だめですかぁ~ とうとう、変なお願い口調にまでなって、

しきりに頼み込んではみたものの、


「僕に言われても、集中治療室の先生がどういうか」とか

「最初に指導医の先生に訊ねていますか?」などと言い出す始末で、

ここに至っては、温厚な筆者もついに堪忍袋の緒が切れてしまった。


「あ~、いや、先生、わかりました。

 ご家族さんは□△での治療に大きな期待を持たれていたのですが

 お引き受け頂けないのなら仕方ありません。

 どうも、ありがとうございました。ごめん下さいッ!」


 「へ、□△もアカンの?」とナースは落胆を隠さない。


腹を括りました。

こんなことで時間喰って、状態悪化したらそれこそや!

こうなれば家族にきっちり説明するしかない!


10人以上詰め掛けた身内の方々に話す。

「みなさん、来た時は心臓停まってたのが、動くまでにしてます。

 けれど、大学も□△も受け入れてくれないと言うんです。

 なんでかというと、心臓だけ動いていても、頭がアカンかも知れん。

 つまり脳死の状態で長い事懸かるかも知れんというんです。

 どこも引き受けてくれへんなら、ここで診さしてもらうしかないです。」


「え~、そのための大病院ちがうん!」


もうひとりの身内が声をあげた。

「☆○病院、に問い合わせてみてくれ!」


よっしゃ、そないしてみる!


さいわい、バイタルは落ち着いて尿カテーテルからの流出も良好だ。

専門医のいるところに転院できるほうが絶対いいんだ!


3つめの病院の電話番号を調べているところに、

□△病院から、「受け入れます」との電話が入ってきた。


いやぁ、よかった。

何が気持ちを変えさせたのか分からないが、よかった。

程なく救急車が到着。

とうに勤務時間が終わっている病棟のナース2名が同乗して行ってくれた。


頼んだよ! なんとかしてあげて!


さっきの話を聞いたご主人が、救急車に乗り込みがてら

「結局、もうアカンのかも知れんな・・」

と、ぽつりと肩越しにつぶやいた。


その肩に手をかけ、ポンポンたたきながら

「それは人間にはわからへんことやからな!」

としか言ってあげられなかった。


跳ね上げた救急車のバックドアは音も立てずに静かに閉まった。


小雨を一粒ほっぺたに付けて行った季節外れの生暖かい風が、

遠ざかるサイレンの音をいつもより早く消し去ってしまった。




読書の秋 で 一大事

2011-10-23 18:42:05 | ひとりごと 医療系
関連記事:ためしてガッテンでねぇ という糖尿の患者さん

当記事の前段ためしてガッテンでねぇ という糖尿患者さん 別バージョン


昨日、土曜の外来に1週間前手に入れた江部先生の本

「主食を抜けば糖尿病はよくなる」

を小脇にかかえて、Hさんがやってきた。



 「読まれましたかぁ?」


「いやぁ、もう、驚くことばかりでした。

 これまで、何をしてたかと悔やみます。

 で、4日前から薬飲むのは止めました。」


 「えッ!? 毎食前のも朝・夕のもですか?」


「ええ、そうです。」



これには仰天。


毎食前のベイスンと朝・夕のアマリール、メトグルコを

止めてしまったというのだから・・・。


前回受診の時、

「次回GAを検査して、内服は変更しましょうね。

 糖質制限の効果が反映してきますから。」

とは説明していたのだけれど、

『読書の秋』の影響がこれほど圧倒的とは想定外だった。


というのも、Hさんはケアハウスというところに入所中。

そのため、食事は自分の思い通りにはならない。

たとえば朝食は、パン・牛乳・副菜だという。


なので前回受診時には、

「せめて、牛乳を豆乳にできればねぇ・・・」と。



やる気満々のHさんは、

さっそくケアハウスの栄養士さんに掛け合って

牛乳を豆乳に変えてもらったのだという。


そして、米飯も食べないようにして

ナッツを食べるようにしたという。


しかも、本を読んでみて、

高雄病院への教育入院をしてみたいと

問い合わせまでしてみたのだともいう。


ただし、コストの関係もあり

「今、直ぐと言うわけにはいかない。」と、おっしゃる。



さて、4日前から服薬中止したHさんの血糖値。

朝食後2時間で、272mg/dl。


アカン・・・。

内服の中止は完璧なフライング・・・。

次回受診までの服薬の必要性を説明。


それにしても、食事を自由に変更できないとは

なんとも悩ましく、深刻な事態である



当記事の前段ためしてガッテンでねぇ という糖尿患者さん 別バージョン

関連記事:ためしてガッテンでねぇ という糖尿の患者さん


ためしてガッテンでねぇ という糖尿患者さん 別バージョン

2011-10-15 18:52:55 | ひとりごと 医療系
関連記事:ためしてガッテンでねぇ という糖尿の患者さん

当記事の続き:読書の秋 で 一大事

     


糖尿病が完治する!? すい臓を復活させる薬

という番組が放送された週の土曜、一番に外来受診した患者さんも

「ためしてガッテンでねぇ・・・」と、話し始めたのでした。


もちろん、この方にも


 すい臓を休めるためにインスリンを使うということは

 血糖値を上げなければインスリンも必要ないわけ

 炭水化物の摂取を控えて血糖上昇を抑えればよい話
 
 糖質制限を行えば済む話なんです

 インスリン使いながら普通に食べてるようじゃ

 お話にもならないわけですからね

 肝心なのは 「食い改め」 ることなんです
 
 そうすれば薬に頼らなくても 回復の可能性がグンと増加するんですよ


と申し上げたのは言うまでもないのですが、

驚いたことにこの方、これまでに一度、

インスリン療法を受けていたとおっしゃるのでした。


今日、検査結果を聞きに再受診されたので再確認したのですが

5年前に大学付属病院に20日ほど入院して

インスリン注射と食事の教育を受けたとのこと。


昔のカルテを見てみると6年前からのデータがあり。

6年前はHbA1cが6.4程度。

それが5年前には7.5程度に上昇してきて、

内服薬を変更してもコントロールができなかったために

入院しての治療となったとのことでした。


退院してから1年程はHbA1c 6 台を維持していたものの

次第に上昇し、今年の7月には9.0に。


結局、こんなことになるのは、

カロリー重視の今の糖尿病食事指導の結果に他ならない。

炭水化物を減らさない食事指導の明らかな敗北です。


「主食は米」という既成概念の刷り込みから

自由にならなければ、悲劇は繰り返されるのです。

せっかくインスリン注射ですい臓を休めても

炭水化物を食べ続けていては、元の木阿弥という見本です。


内科の先生の処方は1年ほど前から

ベイスンとアマリールとメトグルコのまま変わりなし。


で、先週土曜に

「ためしてガッテンでねぇ」と外来受診したという訳。


一番目の受診者だったので

溜まっていくカルテを気にしながら

説明すること半時間以上。


 何を?


もちろん 「食い改め」 についてです。


さらにメモに、江部先生の書名を書いて渡した。

 『主食を抜けば糖尿病はよくなる』



今日、本が手に入るという。

すでに少しづつ、ご飯を減らしているとのこと。


先週の採血はGA(グルコアルブミン)。

これは1~2週間前の血糖値を反映するもの。

HbA1cは1~2ヶ月前を反映。


結果、GA 21.6 。


今ごろはきっと、読書の秋を実践されているだろう。

食い改め」の必要性を再確認されるはず。


来週か再来週に再検査して、内服薬は変更する予定。


当記事の続き:読書の秋 で 一大事


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ためしてガッテンでねぇ という糖尿の患者さん

2011-10-07 08:56:02 | ひとりごと 医療系
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昨日の夜診では、予想通り

 「ためしてガッテンで、インスリンを使う治療法が・・・」

と、5名中4名の糖尿病患者さん。


ガッテンを観たという方々の治療法内訳は、

 食事療法のみ  1名

 ジャヌビア    1名

 アマリール    1名

 インスリン注射 
 ベイスン     1名


特にインスリン注射をしている方は、

糖尿病が完治する!? すい臓を復活させる薬

という番組タイトルに大いに期待して観たものの

 インスリンのことやったんか・・・

と、これまた大いにガッカリされたと

 「もう使ってる私らやったら、すい臓戻らへんやろ?」 と。

ちょっと罪作りなことでしたねぇ。


で、以下、みなさんに申し上げたことです。


 すい臓を休めるためにインスリンを使うということは

 血糖値を上げなければインスリンも必要ないわけ

 炭水化物の摂取を控えて血糖上昇を抑えればよい話
 
 糖質制限を行えば済む話なんですけどねぇ


 インスリン使いながら普通に食べてるようじゃ

 お話にもならないわけですからね

 肝心なのは 「食い改め」 ることなんです
 
 そうすれば薬に頼らなくても

 回復の可能性がグンと増加するんですよ


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