外科医 アンチエイジングに目覚める!?

目指そう サクセスフル・エイジング !

抗糖化 で 減らせAGEs 

炭水化物も要注意    

抗糖化のうえにも3年 

2010-12-31 19:54:09 | 抗糖化

いやはや、大荒れの大晦日となりましたね。


2010年も、あと4時間足らずとなりました。



思えば、このブログの最初の記事は

 
 2008年 「抗糖化」元年!
 http://blog.goo.ne.jp/avin-hmp/e/15bdfb56d5f7c425991438274b45db95
 
というものでした。


あれから 丸々 3年 が経ちました。


腕に覚えはあったとしても、

他の診療科の知識には

覚えのなかった消化器外科医には、


この3年間で・・・・・


まぁ、なんということでしょう!!


日本抗加齢医学会専門医という カタガキ が

付いているではありませんか。

(憑いている ではありません・・・)


しかも、


糖化による疾患と抗糖化食品・素材



 届いた新刊書 糖化による疾患と抗糖化食品・素材 

という専門書の分担執筆まで担当させていただくとは・・・。



このブログを始めたばかりの頃を思うと、

まさに 驚天動地 と言っても過言ではありません。



来るべき2011年には 糖化・抗糖化 に

いかなる展開が待ち受けているのでしょうか?


そして、

アンチエイジングに目覚めた外科医の

明日はどっちだ~ッ!? 


(って、明日の朝9時までは救急の当直やて・・・)



ということで、

「抗糖化」を開始された皆様も、

そうでない皆様も、

どうぞ よいお年を お迎えください!



糖化による疾患と抗糖化食品・素材 まもなく

2010-12-24 23:40:34 | AGEs

9月の終わりごろの記事

 12月出版予定の専門書籍
 http://blog.goo.ne.jp/avin-hmp/e/87973129414eebe209ec4170b7be1f45

で、紹介した専門書

 糖化による疾患と抗糖化食品・素材

が、12月下旬に発刊予定とのこと。

以下は出版社のHPに記載された一部分。


 ★ 糖尿病から慢性疾患,シワ・シミなど医療から美容まで,老化の原因「糖化」を解明
 ★ エビデンスに基づいた抗糖化食品・素材を紹介
 ★ アンチエイジングの研究者,食品,化粧品,開発者必携の一書

 ・監修     米井嘉一
 ・発行日    2010年12月下旬予定
 ・価格     68,250円(本体65,000円+税5%)
 ・体裁     B5判,223ページ(予定)
 ・ISBNコード  978-4-7813-0294-2
 ・Cコード    C3047
 ・商品コード  T0769


詳しい目次も紹介されていまして、

たとえば 【第1編 糖化による疾患】のなかには

加齢に伴う骨へのAGEsの蓄積と骨折リスク(斎藤充)
1. はじめに
2. 骨強度=骨密度+骨質
3. 骨粗鬆症における骨質因子としてのコラーゲンの役割
4. コラーゲンの老化架橋ペントシジン
5. 加齢に伴う老化架橋ペントシジンの変化
6. 骨脆弱化要因としての老化架橋ペントシジン
7. 原発性骨粗鬆症例における骨ペントシジンの過形成
8. 糖尿病性骨脆弱化における骨ペントシジン
9. おわりに

と、慈恵医大の斉藤先生が執筆された第6章があります。


実は11月初旬に、斉藤先生に質問をさせて頂いておりました。

以下、筆者の質問と斉藤先生からのご回答。



 質問:AGEs蓄積による骨質低下に関して

 はじめまして。
 
 AGEsの生成抑制(抗糖化)に関心がある外科医師です。

 先生は以前、ためしてガッテンやたけしの家庭の医学で、

 ペントシジンによるコラーゲンの悪玉架橋をご紹介になられました。

 ペントシジンの測定は血液を用いて行われていると存じますが、

 蛍光性を有する物質ですので、

 皮膚のAGEsを紫外線励起によって測定する

 AGE Readerという機器で

 皮膚AGEsを測定した場合にも、その値が高値を呈する場合は

 「骨質劣化」のリスクが高いと考えてよろしいでしょうか?

 よろしくご教授下さい。



 斉藤先生のご回答

 すでに整形外科手術症例,150名から,

 皮膚,骨,靭帯,血液,尿を手術時に同時に採取し,

 ペントシジン測定とSkin AGEsリーダーによる測定を行い,

 生体内の相関性を学会報告し,論文作成しています.

 詳しいデータはお話できませんが,先生のおっしゃる通りと思います.

(筆者注:当然のことながら、測定のための検体採取は

     同意を得られた症例からの採取であります。) 


なぁんや、そうなんや!

AGE Reader使って調べてるんやわ~!


そこで、検索してみると


非侵襲的骨質(材質)評価法の確立
-皮膚AGEsリーダー・血/尿中ペントシジンおよび腎機能を指標として

という研究テーマで

平成21年度の日本骨粗鬆症学会研究奨励賞に選出されておられたのでした。



う~ん、研究奨励賞かぁ~。

来年の干支は やしなぁ~。

筆者も、さらなる抗糖化の研究へ

ピョンとジャンプしてみようかなぁ~~



そんなことを思い巡らせながら

吹き付ける南からの強風が窓ガラス越しに

寒さを忍び込ませる医局で過ごすイヴの夜更け。


今年は、大晦日もお泊りだい! (T_T)



21日は皆既月食

2010-12-20 22:18:49 | ひとりごと

明日はおよそ3年ぶりの皆既月食。

だが、西日本は曇り空だとも。


皆既月食は16時40分に始まり、

「赤銅色」の月となるのは、17時54分。




2007年8月28日の皆既月食の画像
撮影:倉敷科学センター



月食が終わるのは、19時02分とのこと。



明日は17時半~19時半まで夜診だけど

観れたらいいなぁ。





これまでも これからも

2010-12-17 22:11:01 | You are what you eat

トロトロのチャーシューが入った例の中華ソバ。


写真を撮ってみました。


12月17日  和歌山市



この店では、入店と同時に

「中華 1丁!」

と、注文するのが昔からのしきたり。



全国的には「和歌山ラーメン」と呼ばれるけれど

「中華ソバ」というのが本来和歌山式。


素朴なカマボコが載っているのも特徴ではある。


純朴な醤油スープが基本の和歌山の中華ソバ。

しかし、この店のは醤油ベースのこってり系で

コクがあるのにしつこくない。


現在、麺を茹でるのは3代目。


おばあさんは背は縮んだが、

昔と同じ笑顔で今も料理場に。



少なくとも40年にわたって

スープもチャーシューも同じ味を保っている。


変わらないということは、素晴らしい。



そして夕日は、今日も海に沈んでいく故郷なのでした。



12月17日  和歌山市




チャーシューは寝て待て ?

2010-12-13 22:55:57 | You are what you eat

一昨日、豚バラブロックを買った。

お買い得商品 のラベルに手が伸びた。

435gの米国産。


チャーシューを作ってみたくなったから。


目指すのは、トロトロのチャーシュー。


しかも、和歌山で平日しか営業していない

某中華そば屋さんのトロトロのやつ。



よし今日作るぞ!と夕方、白ネギを買ってきた。


日本酒・醤油・みりん・西京味噌・砂糖・ごま油を、

ボウルに合わせる。


 





半分に切ったブロックをボウルへ。


 





次いでグリルへ。

合わせダレを垂らしながら、まんべんなく焦げ目を付ける。


  





(ちょっと眼を放した隙に、脂身が焦げてしまった・・・)


そして、日本酒・醤油・みりん・西京味噌・おろしニンニク

おろしショウガ・ハチミツ・八角・白ネギの青いところ

が待つ圧力鍋へ投入。



 





28分煮込み、火を消して待つこと20分。


箸では掴めないほど柔らかいので、

トングで半分だけ取り出す。



 





調理開始から1時間半。


さぁ、どうだ!?



 





ぬぁ~んと、けっこうイケルぞ、これは ^^ 。


しかし、八角は余計だったなぁ・・・。

焼かないほうがあの中華そば屋さんのに似てくるなぁ。


反省することしきりだが、

もう半分は、明日まで寝かしておくとしよう。


美味いチャーシューは寝て待て?!




刺身な昼下がり

2010-12-13 15:08:26 | You are what you eat

今日は1日中雨だそうです。

水曜日には近畿北部は雪なんだとか。



ということで、

本日のお昼は、こうなりました。


 
  



手前におわすは、

 今朝、舞鶴に入荷のブリ。


うしろにひかえるのは、

 奄美大島よりの本マグロの大トロ。



左に見える、なにげに赤い液体らしきものは

 カベルネソーヴィニヨンというらしい。



魚なのに赤なのか?

 と訝しがられる御仁もいらっしゃるやも?


よろしいのでおじゃるよ。

むつかしいことは、言いっこなぁ~し^^b



とにかく、この大トロが気になる。


   




延命 ある少女の選択 クローズアップ現代 を復習しました

2010-12-09 14:58:56 | ひとりごと 医療系

その娘さんは、華子さん 。


延命治療をしないというわが子の意思を

受け入れていたはずのお父さん。



けれど、娘が腎不全を発症して

人工透析が必要と宣告されてからは、

娘の意思を尊重することが

ほんとうに正しいことなのかと

迷い始めるのだった。




腎不全で尿量が減って、

娘の身体はドンドンむくんできたのだった。



そこで訪問診療を担ってくれている医師を交えて

家族での話し合いがもたれた。



医師は彼女に説明する。


 透析をしないって選択をした華ちゃんの気持ちを

 お父さんは大事にしてくれているけど

 本当にそれでいいのか、どうなんだろうって

 迷っているって。



それに対して、喋れない彼女は

自分の携帯電話に次のように打ち込んだのだった。


主治医が代読する。



 私は透析しないって気持ちは

 変わってません

 私らしく過ごしたいです

 もう十分がんばってきたし

 自分の命は自分で決めたことだし

 もうパパ 追いつめないで




これを聞いて、娘の顔をじっと見つめるお父さん。



さらに、娘は父へのメッセージを

用紙にしたためていた。



これも主治医が代読する。


 パパへ

 
 華子だよ 

 さっき前田先生から電話がママにあって

 パパが前田先生に

 私のことを相談したみたいだね

 パパ私の体が変わっていくのが

 つらくなったんだね

 でもね 私は納得しているんだよ

 パパとママにはつらいかもしれないけど

 私の気持ちは変わらないよ

 病院でも手術でも入院でも

 十分がんばったよ

  (代読の主治医の声が涙声になる)

 呼吸器になった時もつらかったけど

 私はがんばったのよ

 私は自分で治療をしない選択をして

 お家で自分らしく過ごしたいから

 在宅ターミナルに決めたんだよ

 自分の限られた命を

 大切に過ごしているから

 体が変わっても 寝たままになっても
 
 ちゃんとできるよ 約束できるよ

  (父は娘を見やったまま

   母は目を拭う)

 だからパパとママも最期まで私の大好きな

 尊敬できるパパとママで

 深呼吸しながら がんばって

 私のそばにいてください




しばしの沈黙のあと、眼をしばたかせてお父さんが言う。


 「華ちゃんびっくりしたなぁ ハッキリ言うから

  怖いぐらい・・・・・

  でも 華ちゃんね

  (目尻の涙を拭いながら)

  まぁ 大事なことっていうのはさぁ

  こぅ 生きていくってことは大事だと思うの

  でもね 生きているとね

  きっとなんかいいこともあるんだよ

  わかる?


  (娘を見詰め、しばしの時がながれる)


  つらいことばっかりじゃないんだよね
  
  いいこともあるんだよ

  
  でも やっぱりせっかく生まれたんだからさ

  (涙声になりながら)

  少しでも長く生きてもらいたいと思う

  はっきり言って死んだら終わりだよ

  華ちゃん 」


思わずお母さんが 言う。

  「華子だって良くわかってるわよ パパ」


すかさずお父さん。

  「それは分かってるよ」


お母さん

  「誰よりもわかってるじゃない」


お父さん  

  「分かってるのは知ってるよ

   でも ただチャンスがあるのに

   生きるってチャンスがあるときには

   やっぱり可能性をね 伸ばしたいんだよ」


これに対しての華ちゃんの答え。

 (携帯を主治医が代読)


 もう決めたことだから 言わないで


言葉無く、床を見やるお父さん。




番組スタッフに送られた華子さんのメール。


 医療は全部受けたつもりだし

 穏やかに過ごしたいです



8月の終わり、肺炎となる。


9月14日の朝、華子さんは 

自分の意思を最期まで尊重してくれた

尊敬すべき両親に護られて

この世の生を全うした




あなたの選択を

うらやましく思う方々が

この国には大勢いらしゃいますよ。



えらかったね、華ちゃん!

お父さん、お母さん、立派でしたよ!




延命 ある少女の選択

2010-12-08 20:02:12 | ひとりごと 医療系

驚くべき番組が放映された。

今夜のクローズアップ現代。



18歳で、

自らの確かな意思で

延命治療の放棄を選択した

ある少女のドキュメンタリー。



父親は、医師に言う。


「生きる可能性があるなら

 なんとか生きて欲しい」



しかし、彼女は言う。


「もう、充分、医療は受けたから。」




彼女は重い心臓病で

8歳の時にドイツで心臓移植を受けた既往があるという。


さらに15歳の時には、人工呼吸器を装着するため

気管切開となり声を失った。


自宅で暮らしたいと願う彼女の想いは

訪問診療を行ってくれる医師によって可能となった。

家族と暮らせる普通の生活が続くかにみえた。


が、

今年の夏、人工透析が必要となった彼女。


そして、彼女はそれを確固として拒否。


次第に戸惑う父親。



9月14日、彼女は短い人生を

自らの選択に従って閉じた。



薄れていく意識のなかで、

最後に携帯画面に書かれた言葉は

「感謝しなきゃいけない」

だった。



まだ元気なとき

気管切開のために喋れない彼女は

ボードに次のように書いてみせた。


命は 長さじゃないよ

 どう生きていくかだよ






もしかしたら 悲鳴・・・・・

2010-12-08 13:50:03 | ひとりごと 医療系
せっつんさんへのリコメで言及したものです。




「ア~ アァ~ あ~ あ~ あぁ~」

遠くまで聞こえてくる声の主はNさんという女性。


一度声を上げ始めると10分ではおさまらない。

その元気のよさ? に驚いてしまう。



発声に合わせて、両腕をバタバタさせる。

まるで、駄々っ子が暴れてでもいるかのように。


けれども、肩関節はすでに拘縮しているので、

動かせるのは肘関節だけ。

閉じた瞼には、いっそう力が入る。



初めて訪床したのは1年半前ころだったか。

仙骨部にできた褥創を診るためだった。


ナースがNさんに声をかけて触れたとたん

静寂が支配していた個室内に響き渡る声。


「ア~ あぁ~ ア~ あ~ アァ~」


こちらから何を言っても、まったく変化なし。

両腕のバタバタを抑えながら、身体を横向きにし

仙骨部にできた褥創に処置をした。


「ほら、終わったよ!」とナースが声をかけても

答えは同じ 「ア~ あぁ~ ア~ あ~ アァ~」



遠く離れた部屋で褥創の処置をしていても

ずっと聴こえ続けるNさんの声? 悲鳴?


「ア~ あぁ~ ア~ あ~ アァ~」




仙骨部の褥創があと少しになったころ、

鋭角に曲がったままに拘縮した左膝の血色が悪くなった。

どんどん悪化して膝頭全体の皮膚が剥離してしまった。

直ぐ下の骨が露出しそうな勢い。

さすがにこれにはラップではなく軟膏を使用。

今は上皮化してきたが、まだ本来の皮膚ではない。



右膝はといえば、Nさんには右膝がない。


右脚は、太もも中ほどで切断されているから。

カルテによれば

ASO(閉塞性動脈硬化症)にて別の病院で切断との記載。


一度、その断端部から膿が出たことがあったが、

ひどいことにならずに軽快した。



今は、毎週の回診はしていないNさんだが、

なにかがきっかけで上がる声はいつも聞こえる。



「ア~ あぁ~ ア~ あ~ アァ~」

バタバタだけはできる両肘。

動かない両肩。

太ももで切断された右脚。

鋭角に曲がったままの左膝。



当然、ベッド上での身返りさえ自分ではできない。

当然、自分では食べることも飲むこともできない。

だから当然、胃ろうが作られている。



カルテ1号用紙(表紙)の年齢欄には

二重線を引かれた数字が

82 83 84 85 86 と並び、

今、87歳だと示されている。


そうなんや・・・・・、

もう5年もここに居るんやなぁ・・・・・。



しっかり眼をつむったまま、Nさんの発する

「ア~ あぁ~ ア~ あ~ アァ~」

という、叫びに近い発声と

すべてを拒否するような両腕のバタバタは、

いったい 何を訴えている のだろうか?



そんなことを少しでも考えようものなら

無力感 と やるせなさが

こみ上げてくるばかりなのです。




寿司屋にチャーハン

2010-12-08 00:30:52 | ひとりごと 医療系

今夜は月2回ある火曜の救急当直。

外科の夜診が終了してからが当直業務。


7時半に外来を終了して食堂に着くと同時に

「頭痛と冷や汗」との訴えで、窓口に来ているとの連絡。


「外科なんやけど、いいのかな?」と念を押す。


「それでも、診てくれ」といってるらしい。


消化器外科が専門の医者に、「頭痛と冷や汗」とは

まさに「冷や汗」ものなのだが・・・。


一般の方々にとっては、医者は医者だと思うのだろうが、

実は「寿司屋でチャーハンを注文」するようなもの。


これくらいなら、

「お客さん、おふざけがお好きなんっすねぇ!」

と、まだ板前さんがお愛想のひとつも言ってくれるだろう。


が、こっちの場合は、ヘタをすれば患者にも医者にも、

取り返しの付かない事態が待っているのが怖い。



イヤだなぁ~と思いながらも、

まずは、血圧と血糖値だよねと、手を染めてしまう。


この時点で、もう後には引けなくなってしまう。


結局のところ、

体型を見ただけでも高血圧は確実であり、

182/122と素晴らしい値だ。


降圧薬を内服して少々血圧が下がったにもかかわらず

「頭痛はひどくなってる。」という。


嘔気も麻痺も認めないから、出血などの心配はなさそうだが

やはり検査はしておかねばなるまい。


CTで出血ないことを確認して、鎮痛薬を内服させると、

少し痛みはマシというが、血圧は下がらない。

MRIで動脈瘤などのないことも確認したが、

やはりこれは入院させて持続点滴で降圧薬入れないとねぇ。


一応、脳外の先生に連絡入れて、それでいいか確認。


で、かれこれ2時間たった今、病棟から連絡が入った。


「147/84です。」

「じゃぁ、そのままのスピードで注入しておいて」


さて、チャーハンを注文された寿司屋は、

しばらく横になるとするか。


褥創回診

2010-12-06 12:04:21 | ひとりごと 医療系

毎週月曜の午前中、外来を受け持つ病院がある。

途中2年程の中断はあったが、平成11年からの付き合い。

外来診療の合間に、入院患者の褥創の回診をする。

20床あった一般病棟は、いつのまにか閉鎖となり

療養病棟だけとなってしまって、すでに久しい。


2005年1月の京都府保険医協会主催の講演会で

消毒薬とガーゼ撲滅運動の主導者である夏井睦先生が

スライドで示される驚嘆すべき治療経過を目の当たりにして

 (以前の記事があります。

  目からウロコのおはなし 1
  http://blog.goo.ne.jp/avin-hmp/e/a96ac7c67b717387efff2d8176f38347 )

目からウロコが何枚もバリバリと音をたてて剥がれ落ちてから

その病院の褥創処置に、水道水洗浄とラップ療法を導入した。

(ちなみに褥創とは、床ずれのことです。

 通常は褥瘡と書きますが

 夏井先生の唱道される「創」の字を使います。)


当初、ナースからの半信半疑の眼差しは疑いようもなかったが

それに対する答えは、改善していく症例数の増加だった。

現在では、紙オムツにラップを貼ったものが基本の処置となった。

もちろん別療法に変更する場合もある。


今日は月初めの月曜だったので、処置必要な12名全員を回診。

軟膏処置をしていた4名のうち1名をラップ療法に変更。


この回診中に病棟内の胃ろうの人数を数え始めたものの途中で諦めた。

短期記憶障害?と自嘲しながらも、1人・2人・たくさん・・・。


詰め所で確かめるのが一番と、訊いてきた。


入院者数56名のうち経口摂取不能者は40名で71.4%。

それらの方々の栄養を支える手段として胃ろうは30名で53.6%。

残り10名はIVH(高カロリー輸液)で17.8%。



褥創処置を要する12名では胃ろう9名で、75%を占める。


いずれにしても、

入院患者の7割超が口から食べられない状況とは、

見るも無残な状況といわざるを得ない。


世界No.1の長寿国日本とは

こんな状況によって作り出されているのです。


ヒトも自然の一部というけれど

2010-12-04 01:24:40 | ひとりごと 通勤中に

大晦日まで、あと27日。


風の強い1日でした、というか

日付が変わっても、

南向きの医局の窓はピューピュー鳴っています。



昨日の午後には西から吹き付ける強風で

ダイコンの葉っぱは皆んな「東向けぇ、東!」



   
   2010年12月3日  和歌山市   クリックで拡大します



この辺りは砂地の畑。


少し前まではニンジンだったが、今はダイコン。

お辞儀した葉っぱの先には、名草山と紀三井寺。


今でこそ、なんの変哲も無い普通の山に見える名草山だが、

以前は、こうではなかった。



半世紀近くも昔のこと。

もう少しで紀三井寺も焼失するかという大きな山火事があった。

空を染めて燃え上がる炎をかすかに記憶している。


山の上三分の二は黒焦げの状態が永らく続いた。


それでも、時が経つにつれ薄っすらと緑に覆われだし

まばらだった木々も立派に成長して今日の姿となった。


自然とは大したものだね。

40年、50年と月日が流れれば

昔の姿を取り戻すのだから。



そんなことを思い巡らしていると、病棟からコール。


重症者ありとは聞いていなかったのに?



一昨日くらいから状態が悪化し始めていたらしい。

付き添っていた家族は、夕方に帰宅したと。


ナースステーションの心電図は規則正しい波形60回/分だが、

これは埋め込まれたペースメーカーのもの。


なんと8月に一度心肺停止状態になって蘇生したのだという。


「あれ?どこかで聞いたような話・・・」


名前にも聞き覚えあり、カルテを見て納得。

2ヵ月半前、リハビリを受けたいと夜診を受診した方だった。


そのとき書いたのはリハビリ指示書。

2ヵ月半後の今夜は死亡診断書を書くめぐり合わせ。



時が経てば、昔の姿を取り戻す自然の生命力を眺めた日。


時が経てば、取り戻せない「生」のあることを思った夜。



いつのまにか風の音は止み、ガラス越しに冷えがしみ込んでくる。