外科医 アンチエイジングに目覚める!?

目指そう サクセスフル・エイジング !

抗糖化 で 減らせAGEs 

炭水化物も要注意    

さくらさん、「AGE 牧田クリニック」 いかがでしたか?

2010-07-31 01:09:59 | 食品中のAGEs

AGEsを多く含むのは?に掲載の


  
   「コーヒー、醤油などのAGE量」/『糖尿病専門医にまかせなさい』文藝春秋刊より


これは、牧田先生が2006年に文藝春秋から出版された

『糖尿病専門医にまかせなさい 牧田 善二著』から引用の図表です。



さて、AGE牧田クリニックでは、

AGEsの測定は血液採血で行われましたか?

ペントシジンは保険が使えますが、他は自費扱いではなかったですか?


治療方針としては、AGEs含有食品の摂取を控えること以外に、

ビタミンB類の服用はなかったですか?



いずれにしましても、現時点では

糖尿病専門医であってもAGEsには触れない方が多いでしょうね。



炭水化物制限食で有名な高雄病院の江部先生ですら、

ご自身のブログで、AGEsについて、



 AGEについてまだコンセンサスが得られていないこと


という項目で、


  日本の糖尿病専門医のほとんどが、食品に含有されるAGEは、

  人体に有害という立場はとっていません。

  その間接的証拠といいますか、

  日本では血中や尿中AGE濃度の検査は、

  全くといっていいほど実施されていません。




と、お書きになられていらっしゃいますが、


これは、言い換えると、


検査が行われていないから食品中のAGEは有害でない


ということになってしまうのですが、これはおかしいです。



検査が行われない大きな理由は、


ずばり、コストがかかり過ぎ、一般化されていないというだけの話です



この辺りは 江部先生のブログで AGE の項目を発見! に記載してあります。




それと実は、もうひとつAGEsに触れたがらない理由があります。


それは、AGEs生成や蓄積を抑制できる薬剤が存在しないから。



2007年まではAGEs生成を抑制する

薬物の開発が競われ、アミノグアニジンにしても

OPB-9195にしても、アラゲブリウムにしても

おおいに期待されたのですが、

すべて副作用によって薬剤としては失敗でした。


この辺りの話、

アミノグアニジンOPB-9195については


 糖尿病合併症治療薬における抗糖化について



魔法の若返り薬」とまで呼ばれたアラゲブリウムについては


 新刊書「老化を止める7つの科学―エンド・エイジング宣言」
 


要するに、検査に高い費用がかかって、

おまけに治療できる薬剤がないような対象(AGEs)などは、

聞かなかったことにしておこうということでしょう。



もちろん、さくらさんがおっしゃるように、

HbA1Cのコントロールが良いことは

高血糖の暴露が少ないことを意味しますから、

AGEsの生成も亢進しないことになり、

合併症の回避につながりますね。


ところで、

HbA1Cは前期メイラード反応産物。

AGEsは後期メイラード反応産物。


抗糖化ドクターズサプリが含有する混合ハーブエキスは、

HbA1Cは低下させないことが分かっています。

しかし、後期メイラード反応のいくつかの経路を抑制して、

3DGやCMLやペントシジンといったAGEsの

生成を抑制するのです。

混合ハーブエキス以外の含有成分(漢方薬原料)の効能は、

書籍への原稿を執筆中です。



現在、筆者の診療所では抗糖化ドクターズサプリに加えて

ビタミンB類・漢方薬の併用も検証中です。




夏 2題

2010-07-28 14:52:49 | ひとりごと 自然系

真夏の白


 午前の外来を終え、炎天下に車を走らせる。


 どうして往路では気付かなかったか?



 緑に浮かぶ白色に目を奪われた。


 行過ぎた道をUターン。



 酷暑を感じさせぬ、涼やかな白。



   
   7月28日  京丹波町



盛夏のなかで


 どこかで雨が降っているのだろう。

 ベランダからのヒヤリとした風を感じて、遅めの昼餉。


 ジィ~~~~イ ジッジッ・・・・・



 突然、大きく聴こえたと思ったら、途絶えた。



 目をやれば、ベランダに横たわる声の主。



 夏の真っ盛りに、

  旅立っていく命がある。



    


     





糖尿病 と ガン

2010-07-27 22:37:04 | 糖尿病 など

先月16日に、

「糖尿病とがんに関するコンセンサスレポート」が
(Diabetes and Cancer: A Consensus Report)

米国糖尿病学会(ADA)と米国がん学会(ACS)から発表されました。


  Diabetes and Cancer: A Consensus Report
  http://caonline.amcancersoc.org/cgi/content/full/caac.20078v1



このレポートの背景には

糖尿病そのものとガンの発症との関連、

糖尿病治療とガンの発症との関連、

糖尿病の危険因子とガンの発症との関連

を示す疫学的なエビデンスの蓄積があるといいます。



レポートで取り上げられた疑問点は次の4点です。


 1.糖尿病とガンの発症あるいは診断の間に重要な関連はあるのか?

 2.糖尿病とガンに共通する危険因子は?

 3.糖尿病とガンのリスクには生物学的関連があるのか?

 4.糖尿病治療はガンのリスクあるいはガンの診断に影響を与えるのか?




これらに対する見解および勧告は次(a.~i.)のとおりです。



 a. 糖尿病(おもに2型)は以下のガンのリスク上昇と関連する。

   肝・膵・子宮内膜・結腸・直腸・乳房・膀胱。

   しかし前立腺ガンではリスク低下と関連する。

   その他のガンについては関連が認められないか

   エビデンスがはっきりしない。



 b. 糖尿病およびいくつかのガンの間には

   年齢、肥満、食事そして運動不足といった

   共通の危険因子が一部関係する可能性がある。



 c. 糖尿病とガンの背景には

   高インスリン血症、高血糖ならびに炎症が

   直接相関するメカニズムがあるかもしれない。



 d. 健康的な食事・運動・体重コントロールは

   2型糖尿病ならびにいくつかのガンの予後を改善することから、

   あらゆる人に推奨される。


 
 e. 主治医は糖尿病患者に対し、それぞれの年齢や性別に応じた

   適切なガン・スクリーニング検査を受けるよう

   強く推奨すべきである。



 f. 特定の糖尿病治療薬がガン発症リスクに

   影響を与えるかどうかについてのエビデンスは限定的である。



 g. まだ限られた情報ではあるが、メトホルミンがガンリスク低下に、

   インスリン製剤がガンリスクの上昇に関連することを示唆した

   いくつかのエビデンスがある。

   これらの点については今後さらなる検討が行われるべきであり、

   インスリングラルギンが他のインスリン製剤に比べ、

   ガンリスクと強く関連しているかについては評価が必要である。


 h. 通常の患者に糖尿病治療を選択する場合、

   ガンリスクに対する考慮はそれほど必要ではない。

   ガン発症リスクが明らかに高い場合には

   (あるいは特定のがんに対する再発リスクがある場合)、

   治療法をより注意深く考慮する必要がある。

 

 i. 糖尿病とガン発症との関連性には

   まだ多くの疑問点が残されている。



以上です。



なお、インスリングラルギンに関しては

くれぐれも自己判断は禁物ですので

日本糖尿病学会の見解を以下に載せておきます。



インスリングラルギン(商品名:ランタス)の

安全性に関する厚生労働省の発表についてのお知らせ


 平成21年12月14日

 本年7月1日のお知らせで御案内したとおり、ヨーロッパ糖尿病学会(EASD)の学会誌Diabetologiaに、インスリン製剤のひとつであるインスリングラルギン【商品名:「ランタス」(サノフィ・アベンティス社製/以下ランタス)について、がんとの関連についての一連の論文が発表されました。しかし、7月1日のお知らせにもありますように、ヨーロッパ糖尿病学会、アメリカ糖尿病学会および日本糖尿病学会では、「これらの論文からだけでは、何らの結論を出すことは出来ない」との立場から、ランタスを含めインスリン治療をしている方が自己判断で変更・中止をしないよう注意を促す案内をさせていただいておりました。
 今回、厚生労働省により、あらためて下記のごとくランタスおよびインスリン製剤の安全性に関する見解が発表されましたので、お知らせいたします。

厚生労働省 安全性情報 より抜粋
 調査にて得られた情報に基づき、インスリン製剤が悪性腫瘍(がん)のリスク(危険性)を増大させる可能性について、専門家による検討を踏まえて評価を行った結果、現時点において、ランタスを含むいずれのインスリン製剤においても新たな安全性対策の必要はないと判断した。
 日本糖尿病学会では、糖尿病の治療でインスリン注射をしている方が少しでも不安を感じられることがないよう、厚生労働省や日本糖尿病協会とも連携しつつ、今後も正確な情報を提供していきます。


http://www.jds.or.jp/jds_or_jp0/modules/news8/article.php?storyid=155#155





Dr MIttyさんのコメントへお返事の追加

2010-07-26 15:10:26 | 食品中のAGEs

『北陸大学の竹内先生の食品中のAGEの講演で,

「カラメルシロップで色をつけるのはあまり問題ない」とのことでした。

でもカラメルシロップは砂糖を火にかけて煮溶かしたもので,もろのAGEでは?』


とのコメントをDr MIttyさんからいただきました。



レスにて以下のようなお返事をしたのですが、



   DrMIttyさん、おはようございます。
   コメント、ありがとうございます。

   砂糖を熱してのカラメルに、アミノ酸が含まれてくると
   AGEsとなりますが、
   その辺りがどうも微妙なところだそうです。

   以下のブログ、
   AGEsなどを詳しく説明されていますのでいかがでしょうか?

   カルメ焼きの糖化とカラメル化
   http://ameblo.jp/glycation/entry-10490027343.html

   カラメル化と糖化
   http://ameblo.jp/glycation/entry-10486743699.html
  



もうすこし追加させていただきます。


といいますのも、

以前 AGEsを多く含むのは?
    http://blog.goo.ne.jp/avin-hmp/e/f67a2e9bbf35f21ee879c25d178436b8

において、


   
   「コーヒー、醤油などのAGE量」/『糖尿病専門医にまかせなさい』文藝春秋刊より

  2006年に文藝春秋から出版された

  『糖尿病専門医にまかせなさい 牧田 善二著』にある図表です。


  コーラが高AGEなのは、カラメルを含んでいるからです。




と、記載していたからです。


この記事を書いた当時、

コーラのAGE=カラメル由来 と確かに読んだ覚えがあるのですが、

その出典が現在、不明です。


しかしながら、コーラが高AGEs飲料であることに

なんら変わりはありません。





レス・コメントで引用させていただいた

 糖化は老化 de アンチエイジング というブログでは

そのほかに、

 カルメ焼きの糖化
 http://ameblo.jp/glycation/entry-10491789505.html

という記事も掲載されており、

結局、グラニュー糖を使用する場合には

グラニュー糖が分解されない条件では糖化は起こらないようです。



まとめますと、

1.カラメルシロップは製造過程で

  アミノ酸(蛋白質)が関係しない限り

  AGEsを生成するものではないといえる。

2.コーラが高AGEs飲料であることに変わりはない。


となるのではないかと、愚考致します。


どなたか、ご専門の方がいらっしゃいましたら、

ご教授よろしくお願い申し上げます。







脳に刺激的な環境、がんを予防と動物実験で

2010-07-22 22:58:10 | サクセスフル・エイジング

サクセスフル・エイジングのための新鮮な話題をひとつ。



米国オハイオ州立大学のグループがCellに発表したのが、

「脳に刺激的な環境ががんを予防し、

 この効果は運動をするだけでは得られない」という論文。

(Cell. 2010 Jul 9;142(1):52-64.

 Environmental and genetic activation of a brain-adipocyte

BDNF/leptin axis causes cancer remission and inhibition.)



広いスペースにたくさんのおもちゃ・迷路・運動のための回し車・

仲間から隠れて休息できる場所などを配置した

「刺激的環境」で飼育されたマウスは、

通常の無味乾燥な飼育ケージで飼育されたマウスに比べると

脳の発育や学習能力が改善し、年を取ってからでも

神経変性症に伴う記憶力低下を防止できるという報告が以前にあり

(Nat Rev Neurosci2006; 7: 697-709)

おもにアルツハイマー病予防などの観点から注目されていました。



今回の研究では、「刺激的環境」で飼育されたマウスと

通常の無味乾燥な飼育ケージで飼育されたマウスとの間で

皮下に移植したガン細胞の増殖に違いがあるかが調べられました。


その結果は、以下のとおり。


1.刺激的環境下で飼育するとガンの増殖が抑制された。


2.ガン抑制効果は血清中のレプチン減少による。


3.刺激的環境下で飼育されたマウスの視床下部では、

  脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現量が著しく上昇した。


4.通常環境に回し車だけを追加したゲージで飼育されたマウスは、

  体重・脂肪量・筋肉量などは刺激的環境のマウスと同等だったが、
  BDNFの上昇・レプチンの減少は認められず、
 
  腫瘍抑制効果も観察されなかった。



さて、

レプチンは脂肪細胞から分泌される摂食抑制物質で、

肥満では血中濃度が上昇する物質ですから、

(レプチンの日内変動など→アンチエイジングな食べ方 に関連すること


肥満はガン発生リスクを増加させるというわけですが、


これはヒトに関しては、

2008年2月、Lancetにすでに掲載されていた話題。

(Renehan, A.G. The Lancet., Feb. 16, 2008; vol 371: pp 569-578.)



ちなみにその内容は、BMI 25以上の方の発ガンについて

 1.食道ガン
    男性も女性も、BMIが5増えるごとに相対リスクがおよそ50%増加。

 2.子宮内膜(子宮)ガン
    BMIが5増えるごとにリスクがおよそ60%増加。

 3.大腸ガン
    女性より男性の方が強かった。
    BMIが5増えるごとに、男性の相対リスクは24%、女性は9%増加。

 4.胆のうガン
    BMIが5増えるごとに、女性の相対リスクは59%増加。
  
 5.乳ガン
    BMIが5増えるごとに女性の閉経後乳癌のリスクが12%増加したが、
    閉経前のリスク増加はみられなかった。

 6.血液のガン(白血病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫など)
    男女とも、BMIの上昇によってリスクが中程度増加。




また今回の研究は、

ガン予防には単なる肉体的運動だけでは不十分であり、

刺激的環境下で与えられる好奇心・冒険心・創造力・探究心など

「頭脳の運動」が効果的だということを示しているようです。




さくらさんのコメントへのお返事

2010-07-18 22:51:54 | 食品中のAGEs

さくらさん、こんばんは。

糖質制限食でヘモグロビンA1cをコントロールされたのは

素晴らしいことでしたね。


高雄病院の江部先生も糖質制限食で

ご自身の糖尿をコントロールされました。


国立健康・栄養研究所の前理事長で、

「糖尿病は薬なしで治せる」を書かれた渡邊昌先生には、

6月の抗加齢医学会の懇親会で直接お訊ねしたのですが、

ヘモグロビンA1c12.8の糖尿病を

食事だけでコントロールされたのはほんとうでした。

わたくしが、最近、糖質制限・高蛋白食を試していると話しますと、

「あなたがこれから5~60年生きるつもりなら、

高蛋白には注意が必要だよ」と教えて下さいました。



さくらさんは、糖質0のコーラを多飲されたとのことですが、

コーラは高AGEs飲料なのは間違いなく、

ダイエットコークの方がAGEs含有量は多いです。

先日も外来で、1日に2L近く飲んでいる患者さんに

止めるように指導しました。


AGEsは高血糖の体内では、生産量が増加するだけでなく、

外因性AGEsとして飲食品中からも摂取されてしまいます。

腸管からは飲食品中の約10%が吸収され、

循環血液中や組織中で作用し、

生活習慣病の発症・進展に関わることが報告されています。


また、高AGEs含有飲料水を正常ラットに経口投与すると、

ラット肝臓でRAGE(AGE受容体)や

血管内皮増殖因子(VEGF)遺伝子の発現が増大し、

ラット肝臓でのAGE蓄積が認められたとの報告があります。

(昨年の日本薬学会での発表です。
 ブログ記事:食品中AGEsに関する発表が明日、薬学会で
 http://blog.goo.ne.jp/avin-hmp/e/3070f55589468ab02e1fc12a9524d603

ブログ記事中で触れた1997年の

米国科学アカデミー紀要(PNAS)の論文では、

飲食品中のAGEs摂取は糖尿病性腎症の危険因子とのことです。

原題 Orally absorbed reactive glycation products (glycotoxins)
   : An environmental risk factor in diabetic nephropathy
   PNAS June 10, 1997 vol. 94 no. 12 6474-6479



最後になってしまいました。

蓄積しているAGEを除去できるような薬は?とのご質問ですが、

残念ながら現時点では存在しません。


今可能なことは、蓄積を予防することに尽きます。


現時点でのAGEs蓄積に対する対抗策は、

 1.高血糖を防ぐこと・食後高血糖を防ぐこと。

 2.AGEsを含む飲食品の摂取を控えること。

 3.AGEsの生成抑制に有効な食品を摂取すること。

この3点しかないと思われます。



さくらさんは、すでに糖質制限を実行されていますから

「食」が決め手だと身を以って証明されておられます。

その方向が大正解です。

どうぞ今後ともその歩みをお続けください。