外科医 アンチエイジングに目覚める!?

目指そう サクセスフル・エイジング !

抗糖化 で 減らせAGEs 

炭水化物も要注意    

コロナ重症化の鍵は「ネアンデルタール人」からの遺伝子

2020-10-21 08:55:24 | Medical Papers 紹介
コロナ重症化の鍵は「ネアンデルタール人」からの遺伝子

英科学誌『Nature』に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化リスクとなるゲノム配列がネアンデルタール人由来であるとの論文が掲載された(Nature 2020年9月30日オンライン版)。この領域は第3染色体短腕の一領域であり、ケモカイン受容体の遺伝子を多く含む。今回の報告は、世界の各集団間で重症化率に差が見られることの原因の一部を説明する可能性がある。

文献はこちら→https://www.nature.com/articles/s41586-020-2818-3_reference.pdf

炭水化物の多量摂取は死亡リスクの上昇と関係

2017-09-07 11:37:14 | Medical Papers 紹介
2017年8月29日のThe Lancet オンラインに発表された論文。

Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease
and mortality in 18 countries from five continents (PURE)
: a prospective cohort study

      ↑
    クリックでThe Lancetのサマリーへ飛びます


PURE = The Prospective Urban Rural Epidemiology study

Interpretation
High carbohydrate intake was associated with higher risk of total mortality, whereas total fat and individual types of fat were related to lower total mortality. Total fat and types of fat were not associated with cardiovascular disease, myocardial infarction, or cardiovascular disease mortality, whereas saturated fat had an inverse association with stroke. Global dietary guidelines should be reconsidered in light of these findings. 


この前向きコホート研究は、5大陸18カ国の心血管疾患のない35~70歳の
135000人以上を対象に行われた。
研究結果は欧州心臓病学会(ESC)の総会で発表され、同時に『 The Lancet 』
にも発表された。

検証済み食物頻度アンケートを用いて研究対象者の食事の摂取量を記録し、
対象者は栄養素(炭水化物、脂肪、タンパク質)によるエネルギー摂取量の割合(%)
に基づいて、栄養素摂取の五分位に分類された。

研究の結果、

1.炭水化物摂取量がより多いことは全死亡リスクがより高いことと関係する。

2.炭水化物の摂取量が最も多い人は、摂取量が最も少ない人と比べて、
比例的にリスクが28%高かった。
ただし、心血管疾患リスクまたは心血管疾患による死亡については、
差は観察されなかった。

3.逆に、総脂肪と各種脂肪の摂取は全死亡リスクがより低いことと関係する。

4.飽和脂肪摂取量がより多いことは脳卒中のリスクがより低いことと関係する。

5.脂肪ではなく炭水化物が死亡リスクの上昇と関係しているという
  PURE研究の結果に鑑みて、世界の食事ガイドラインの修正を
  再検討するべきである。

低炭水化物ダイエットで心血管危険因子が改善

2014-09-30 00:40:32 | Medical Papers 紹介
 低炭水化物ダイエットは低脂肪ダイエットよりも、体重減少と心血管危険因子の改善効果が有意に高いことが、ランダム化比較試験(RCT)の結果として示された。米国Tulane大学のLydia A. Bazzano氏らが、Annals of Internal Medicine誌2014年9月2日号に報告した。

 低炭水化物ダイエットは減量法としてよく知られているが、心血管系に対する影響は十分に研究されていなかった。そこで著者らは、ルイジアナ州のTulane大学医療センターで、心血管疾患と糖尿病には罹患していないと自己申告している、BMIが30~45で、22~75歳の男女148人(平均年齢46.8歳、88%が女性)を登録。

 1日の炭水化物の摂取量を40g未満とする低炭水化物ダイエット群(75人)、または1日の摂取熱量に占める脂肪の割合を30%未満、飽和脂肪比率を7%未満とし、熱量の55%は炭水化物から摂取する低脂肪ダイエット群(73人)のいずれかに割り付けた。いずれも、摂取熱量の目標値は設定しなかった。

 試験期間中は両群に対して、食事に関するカウンセリング(当初1カ月は週1回の個別セッションを、それ以降はグループセッションを定期的に実施)を行った。また、ベースラインで、1週間のサンプルメニューやレシピ、炭水化物、脂質、たんぱく質の摂取量の計算法などを掲載したハンドブックを提供。さらに、1日当たり1食分の置き換えダイエット用食品(バーまたはシェイク)を継続的に支給した。試験期間中は身体活動量を変えないよう依頼した。

 体重、心血管危険因子、食事の内容に関する情報をベースラインと3カ月後、6カ月後、12カ月後に収集した。

 ベースラインでは、両群の食事内容に差はなかった。介入を完了したのは、低脂肪ダイエット群の60人(82.2%)、低炭水化物ダイエット群の59人(78.7%)だった。試験期間中に両群が摂取した総熱量と身体活動量には有意差はなかった。

 12カ月時点の体重減少は、低炭水化物ダイエット群の方が有意に大きかった。ベースラインからの変化量は、低炭水化物ダイエット群が-5.3kg(95%信頼区間 -6.8から-3.8)、低脂肪ダイエット群は-1.8kg(-3.3から-0.3)で、両群の差は-3.5kg(-5.6から-1.4、P=0.002)だった。同様に、体脂肪率の変化は-1.2%(-2.0から-0.4)、0.3%(-0.5から1.0)で、両群の差は-1.5%(-2.6から-0.4)だった。腹囲の変化量には有意差は見られなかった。

 総コレステロール/HLD-C比の変化量の差は-0.44(-0.71から-0.16、P=0.002)、トリグリセリド値の変化量の差は-14.1mg/dL(-27.4から-0.8、P=0.038)、HDL-C値の変化量の差は7.0mg/dL(3.0-11.0、P<0.001)で、全て低炭水化物ダイエット群において有意に改善していた。なお、LDL-C値の変化量には有意差は見られなかった。

 両群ともに血圧と血糖値の変化は有意ではなかったが、C反応性蛋白(CRP)値は、低炭水化物ダイエット群で低下が大きく、両群の変化量の差は-15.2nmol/L(-27.6から-1.9)だった。

 フラミンガム・リスクスコアの変化は、低炭水化物ダイエット群で-1.0%(-1.6から-0.5)と有意な低下を示したが、低脂肪ダイエット群では0.4%(-0.2から0.9)で、両群の変化量の差は-1.4%(-2.1から-0.6、P
<0.001)と有意だった。

 試験期間中に重症有害事象の報告はなく、便秘、疲労、口渇、多尿、下痢、胸焼け、悪心などの有害事象の発生率に差はなかった。ただし、頭痛は低脂肪ダイエット群に多く認められ、3カ月時点では低炭水化物ダイエット群との発生率の差は有意だった(P=0.030)。

 低炭水化物ダイエットは、体重減少と心血管危険因子の改善において、低脂肪ダイエットより有効だった。「減量に加え心血管危険因子の改善も望む人々には、低炭水化物ダイエットが適している」と著者らは述べている。

 原題は「Effects of Low-Carbohydrate and Low-Fat Diets: A Randomized Trial」、概要は、 Ann Intern Med誌のWebサイトで閲覧できる。

エストロゲン高値が心臓突然死リスクに関連

2013-05-30 21:42:49 | Medical Papers 紹介

5月10日金曜(HealthDay News)

性ホルモン・エストロゲンの高値が、男性でも女性でも
心臓突然死リスクの上昇に関連すると新たな研究が示唆。

心臓突然死とは、突然、予想もせずに心臓が
心拍を停める(突然心停止)ことで起こる。
米国では毎年35万人以上が心臓突然死を起こしていると推計される。

オレゴン州ポートランド市において、心臓突然死で亡くなった人(心臓突然死群)と
冠動脈疾患はあるが生存している人(非心臓突然死群)のデータを研究者が調べた。

死亡時あるい医師の診察時に採取された血液の生化学データからは、
両者間に一般的な心疾患のリスク因子――糖尿病、肥満、高血圧、
脂質異常症には差がなかった。


しかし、心臓突然死群の男性ではテストステロン濃度は非心臓突然死群に比べて
有意に低下しており、女性の心臓突然死群ではテストステロン濃度のわずかな
上昇が認められた。これらの結果は、本日コロラド州デンバーで開かれた
米国不整脈学会2013年次集会で発表された。

また、心臓突然死群では男女とも、非心臓突然死群に比べエストロゲン濃度が有意に高く、
テストステロン/エストロゲン(T/E)比が低くなっていることもわかった。
しかしながら、これはエストロゲン高値と心臓突然死との因果関係を認めたものではない。

これらの知見は、急性心停止および心臓突然死を起こすリスクの高い患者の識別に役立つと
米シーダーズ・サイナイ心臓研究所(ロサンゼルス)不整脈センター長
兼ゲノム心臓学准所長のSumeet Chugh医師は報告した。


Estrogen Levels Tied to Risk for Sudden Cardiac Death in Study
Tests reveal higher concentration of the sex hormone in women and men

http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=676015


FRIDAY, May 10 (HealthDay News) -- Higher levels of the hormone estrogen are associated with an increased risk of sudden cardiac death in men and women, a new study suggests.

Sudden cardiac death can occur when the heart suddenly and unexpectedly stops beating (sudden cardiac arrest). Each year in the United States, more than 350,000 people die of sudden cardiac death.

Researchers examined data from people in Portland, Ore., who suffered sudden cardiac death or had coronary artery disease. Tests of plasma taken at the time of death or during a doctor's visit indicated that both groups had a similar proportion of common heart risk factors such as diabetes, obesity, high blood pressure and high cholesterol.

But levels of testosterone were much lower among men and slightly higher among women in the sudden cardiac death group compared to those with coronary artery disease, according to the study, which is scheduled for presentation Friday at the annual meeting of the Heart Rhythm Society in Denver.

The researchers also found that estrogen levels were much higher and the testosterone-to-estrogen ratio was lower in both men and women who suffered sudden cardiac death. This did not, however, prove a cause-and-effect link between higher estrogen levels and sudden cardiac death.

The findings could help identify patients at risk for sudden cardiac arrest and death, Dr. Sumeet Chugh, associate director for genomic cardiology and director of the Heart Rhythm Center at the Cedars Sinai Heart Institute in Los Angeles, said in a Heart Rhythm Society news release.

Studies presented at meetings are considered preliminary until published in a peer-reviewed medical journal.


低いビタミンD血中濃度は死亡リスクに関連あり

2011-11-30 11:32:58 | Medical Papers 紹介
血中ビタミンDの濃度が低い場合にサプリメントで補給すると、

低いままで放置の場合に比べ、いろんな原因での死亡リスクが半減したという

大規模な研究が公表された。


1万人以上の患者のデータ分析から70%がビタミンD不足で、

彼らは種々の心臓病に罹るリスクが有意に高いこと

カンサス大学の研究者らは見出した。


また、ビタミンD不足は「死ぬ可能性」を2.64倍にするが、

サプリメントで補うとリスクは60%まで低下。


「心臓病とビタミンDには関係があると予想していました。

 けれど、これほど凄いとは驚きでした。

 いやぁ、予想以上に奥が深いですよ、これは。」

とは、カンサス大学病院医療センターの心臓病学教授

Dr. James L. Vacekの言葉。


ビタミンD不足はさまざまな疾患に関連してきたが、

その反対-つまりサプリメントが結果を好転させる-

ということはあまり実証されてこなかった。


Dr.Vacekのチームはカンサス大学病院で血清ビタミンD濃度を調べた

10899人のデータを再検討したところ、

多くの専門家良好な健康状態に必要と考える30ng/ml以下しかない人が

70%以上を占めることが判明した。


患者の病歴や服用薬やその他の因子を考慮したうえで、

ビタミンD不足の人は、不足のない人と比べると

 2倍以上、糖尿病になりやすく

 1.4倍、高血圧になりやすく

 1.3倍、心筋症-心臓の筋肉の病気-になりやすい

ということが判明した。


全体として、ビタミンDが不足している人は足りている人と比べると

さまざまな原因で「死ぬ可能性」が2.64倍も高いことがわかりました。

しかも、ビタミンDをサプリメントで補った人達は、

そうしなかった人達に比べると、さまざまな原因で「死ぬ可能性」は

60%低くなっていたことがわかりました。

ただし、ビタミンD補給の効果が最も高かったのは

検査の時点でビタミンDが不足していた人達でした。


もちろん、これらの効果はビタミンDだけが原因かは不明です。

つまり、他の因子たとえば病気そのものが

健康状態の違いとビタミンD濃度の違いに影響するかも知れません。


しかし、これまでに行われた研究が示してきたのは、

多くの米国人がビタミンD不足だということでした。

最新の米国民健康栄養調査では成人の25~57%がビタミンD不足で、

他の研究では70%が不足しているといいます。


これほども多くの人々にビタミンDが不足している原因は

我々の身体ではビタミンDの約90%が日光から作られ

食物からは約10%だけしか得られないからだとDr.Vacekは言います。

すでにご存知のとおり、皮膚を日光に当てることでビタミンDが作られます。


ある種の食品、たとえば脂に富む魚や卵や強化牛乳はビタミンDの供給源です。

暖かい季節の毎日最低20分の全身日光浴が、充分量のビタミンD生成には

必要だけれど、ほとんどの人は十分戸外にいないねぇ、とDr.Vacek。


北米とカナダでは、たとえ長時間肌を曝せるほどの気温であっても

冬の間は日差しが強くないと、専門家は言います。


「もし血液中のビタミンDが十分なら、

 ビタミンDは寿命を長くする魔法の薬ではないですよ。

 あくまで、不足している人は補給するのがいいのです。

 サプリメントによる補充療法をして2~3ヵ月後に

 血液検査で濃度が上がってきたことを調べるのは有意義です。

 一般的には、1000~2000IUを毎日摂取するのがお勧めです。」

とDr.Vacek。


ちなみに1000~2000IU は 25~50μgになります。


この研究は米国心臓病学会誌に発表されています。

Abstractはクリックでどうぞ。
         ↓
The American Journal of Cardiology, online November 7, 2011.

Vitamin D Deficiency and Supplementation and Relation to Cardiovascular Health.



わが国では、どうなのでしょうねぇ。


平成21年度の国民健康栄養調査によると

20歳以上の1日あたりの摂取量は

女性7.3μg、男性8.5μgだと公表されています。

これは2010年版「日本人の食事摂取基準」では

ビタミンD目安量(男性18~29歳)が5.5μgなのからすると

そこそこ摂取できていることになるのでしょうか。
 
 平成21年度国民健康栄養調査
 第1章食生活・運動に関する状況
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000xtwq-img/2r9852000000xu2r.pdf




でも、ほんとは一度くらいは血中25-ヒドロキシビタミンD濃度を

測定してみるのが望ましいのかも知れませんね。

もちろん、その際は、くれぐれも自費でお願いします


そして、美容のために一方的に紫外線を悪者呼ばわりする風潮にも

再考が必要ではないかと思われるのです。



あなたの精子はあなたの食事次第

2011-11-29 17:16:47 | Medical Papers 紹介
人工授精に関していえば、

栄養の行き届いた精子は幸せな精子で、

男性が何を食べたり飲んだりしたかが、

不妊治療中の妊娠成功に関わっているとの研究結果が出た。


Fertility and Sterility, online November 10, 2011に掲載の

Food intake and social habits in male patients and its relationship to intracytoplasmic sperm injection outcomes

という研究。


果物と穀類を多く食べ、赤身肉とアルコールとコーヒーを少なくするのが

妊娠しやすい食事法だとのこと。

これまでは不妊の女性が、太りすぎか痩せすぎかとか、

喫煙するか飲酒するかが調べられてきたが、

不妊治療中の相手男性のことは調べられていなかった。


「健康的なライフスタイルを取り入れ、健康に悪いものは排除するように

 語ってきたけれど、女性が出来るだけ健康になるようにってことが

 強調されてきたと思うわ」

カリフォルニア州パロ・アルトのスタンフォード大学医療センターの

不妊治療専門家のリン・ウェストファル医師はそう語る。


彼女はこの研究に参加していなかったが、

「男女ともに悪い食事や生活習慣を可能な限り

 取り除くことが重要だと、新たな研究結果は強調しているわ。」

と、意見を述べた。


この研究では、1ヶ所の医療機関で卵細胞質内精子注入法(ICSI)を受けた

250人の男性が対象である。

果物や野菜、豆類、穀物類、肉、魚などさまざまな食事の摂取、飲酒量、

喫煙について質問が行われた。

と同時に精液が採取され、精子の健康度と濃度の分析および

各カップルでの人工授精の進行具合の経過が記録された。


治療を受けた約3/4の卵は受精し、研究期間中に4割弱の女性が妊娠した。

配偶者の妊娠のし易さでは、酒飲みで粗食の男性は受精前線ではパッとしなかった。


「太り過ぎ」と「飲酒」は、低い精子の濃度と運動能力=泳ぎ方に関連していた。

「喫煙」は運動能力にだけ関連していた。

「アルコール」と「コーヒー」はどちらも「受精のしにくさ」に関係していた。

「赤身肉」を多く食べる男性では、「胚移植率」と「妊娠率」が有意に低かった。


これに対して、小麦・オート麦・大麦などの穀物を多く食べることは

より良い精子濃度と運動能力に関係しており、

果物も精子の移動速度と敏捷性の促進に関係していた。


「卵細胞質内精子注入法(ICSI)という高度生殖医療を行っている時でさえ

 生活習慣の因子がこれほど有意に現われるとはメッチャ興味深いことやわぁ!」

と、ウェストファル先生はおっしゃった。

「これは、みんながこれまで考えていた以上のことやわぁ~。」

とも語った。


この研究の所見は、ある種のビタミンやミネラルやアミノ酸は

精液の質を良好に維持し、一方、

多量のアルコールや形成肉の含有されるある種のホルモンは

精子に有害であろうというこれまでの考えと一致するものだ

と、サンパウロの妊娠支援受胎センターのエドソン・ボルゲス・ジュニア医師と

同僚らは言っている。


ウェストファル先生は、熱いお風呂に長く入っているというような男性の行動も

不妊治療の妨げになると指摘した。さらに彼女が言うには、精子を良くしようと

男性が食事や生活習慣を変えたとしても、功を奏するまでには数ヶ月かかるだろう、

-だから、不妊治療前の数日間だけお利口にしても意味ないじゃん、とのこと。


エドソン・ボルゲス・ジュニア医師と同僚らは言うてまっせぇ。

不妊治療に臨むカップルは、男性も女性もともに知るべきだ、

自分たちの食事と生活習慣が、妊娠成功のチャンスに影響するのだということを。


てなわけで、

You are what you eat ならぬ Your sperm are what you eat でしたぁ。


「食」ってほんとに、

  大切ですねぇ、


   さよなら さよなら 

             さよなら (もちろん淀川さんです)


Abstractは以下をクリックでどうぞ。
      ↓
Food intake and social habits in male patients and its relationship to intracytoplasmic sperm injection outcomes



カロリー制限で減量成功するかは遺伝子発現で決まるそうな

2011-11-25 21:02:14 | Medical Papers 紹介
カロリー・リストリクション(カロリス=CR)というのは

現在、もっとも確実に健康長寿を実現できる方法です。


それは、栄養素の不足なくカロリーを30%制限した食事により

霊長類でも効果的であることが、2009年にScienceに発表された

アカゲザルの20年にわたる研究からも明らかにされました。
             ↓
 霊長類カロリー制限『Science』誌の掲載論文 アンチエイジング・ミニ講座 4


今回紹介するのは、カロリー制限食(低カロリー食)で、

減量が維持できる人とリバウンドしてしまう人の違いを調べたもの。


The American Journal of Clinical Nutrition 10/26web版 の

A distinct adipose tissue gene expression response to caloric restriction
predicts 6-mo weight maintenance in obese subjects.

カロリスによって明らかに発現した脂肪組織遺伝子が

肥満者の6ヶ月後の減量維持を予測する


という研究。


背景:減量が心血管疾患と糖尿病に関係するリスクを減らすのは

   わかっているが、減量を維持するには困難が伴う。


目的:この研究では、低カロリー食で発現する皮下脂肪組織遺伝子が

   減量でリバウンドする人としない人を区別し予測できるかを評価する。


計画:40名の白人女性に8週間の低カロリー食期間と、

   それに引き続く6ヶ月間の体重維持期間を設けた。

   参加者は2つの期間中における体重変化に従い、

   体重増加が10%以内の減量維持群と

   体重増加50~100%のリバウンド群に分けられた。

   身体測定値と各種血液データと皮下脂肪組織遺伝子発現が

   低カロリー食の前後で測定された。摂取量は食生活記録から推定した。


結果:研究開始時と低カロリー食期間終了時において、

   減量維持群とリバウンド群で体重と空腹時血中インシュリン値に差はなかった。

   低カロリー食は、両群で体重といくつかの血液データに有意な減少をもたらした。

   減量維持群では低カロリー食期間後のOGTTに対するインスリン分泌が有意に

   減少したが、リバウンド群では変化は認められなかった。

   減量維持群とリバウンド群とでは、

   脂肪酸代謝とクエン酸回路と酸化的リン酸化

   およびアポトーシス(細胞自死)を制御する遺伝子に

   低カロリー食により異なる調節が行われることが

   皮下脂肪組織遺伝子発現の分散分析でわかった。

結論:低カロリー食で起こるインスリン分泌と皮下脂肪組織遺伝子発現の変化から

   短期間の減量維持がうまくいくか予測できるものと示唆される。



これより1年前に発表された別の研究(800kcal/日を8週間)によれば、

ミトコンドリア・エネルギーの遺伝子発現、つまり

ミトコンドリアにおける酸化的リン酸化が活発化することが

体重減少の継続する群において認められるとのこと。


なお、アポトーシス(細胞自死)には、

ミトコンドリアによる制御と細胞表面受容体による制御の2経路があります。


まぁ、このような遺伝子発現レベルでの話が、

カロリスで健康長寿ということの根っこの部分なんでしょうね。


Abstract は 以下をクリックです。
        ↓
A distinct adipose tissue gene expression response to caloric restriction predicts 6-mo weight maintenance in obese subjects.



チーズはコレステロールを低下させる という研究

2011-11-22 11:32:08 | Medical Papers 紹介
コレステロールに関しては動物性脂肪が良くないと

従来から言われ続けてきました。


動物性脂肪の摂取をできるだけ避けて

コレステロール値を下げましょう、と推奨されてきたんだけれど、

チーズは健康に悪くない可能性を示す研究結果が

コペンハーゲン大学の研究者らによって公表されました。


The American Journal of Clinical Nutrition

10月26日号オンライン版に掲載された次の論文がそれ。


Cheese intake in large amounts lowers LDL-cholesterol concentrations

compared with butter intake of equal fat content




被験者は49名で、1日当たり脂肪から摂取するカロリーの

13%に相当するチーズもしくはバター(いずれも牛乳から加工)を、

6週間にわたり摂取した。


最初の6週間の摂取期間が終了すると、

ウォッシュアウト期間として14日間、通常食を摂取したのち

引き続き6週間は、先にチーズを摂取した者はバターを、

先にバターを摂取した者はチーズに切り替えて摂取を行った。


この結果、

総脂質量も飽和脂肪酸も少ない通常食の期間中と比べても、

チーズ摂取期間にLDLコレステロールや総コレステロール値の

上昇は認められなかった。


しかし、バター摂取期間には、同じ被験者のLDLコレステロールが

平均約7%上昇した。


チーズ摂取期間の被験者のHDLコレステロール値は、

バター摂取期間よりもやや低下したが、

通常の食事期間と比べると低下していなかった。


血糖値はチーズ摂取期間のほうがバター摂取期間より高かった。



このようなチーズの作用機序としては

チーズに含まれるカルシウムによって消化管から排泄される

脂肪の量が増加することが明らかになっている。


この研究でも、チーズ摂取期間に便中の脂肪量がやや増加したが、

その量は統計学的に有意なものではなかった。


他の機序としては、


 1.チーズに含まれる大量の蛋白質

 2.チーズの発酵過程


が考えられ、

いずれもバターと比べた場合、

チーズの消化過程に影響を及ぼしている可能性がある。


なお、この研究はデンマーク酪農研究基金とデンマーク酪農評議会の

支援を受け行われたものです。


Abstractは、↓ をクリックでどうぞ。

Cheese intake in large amounts lowers LDL-cholesterol concentrations
compared with butter intake of equal fat content




減塩 で ホンマにええんか? 最近のコクラン・レビューから

2011-11-18 15:49:51 | Medical Papers 紹介
かつて日本は胃ガン大国でした。

その胃ガンが減少したのは、ガン検診のお陰ではなく

1960年代の「冷蔵庫の普及」であったことは

消化器病に携わるモノなら知らぬモノのない事実です。


「冷蔵庫」のお陰で「塩漬け」で保存しなくてもよくなった。

「冷蔵庫」が日本の胃ガン発生を減少させた影の立役者だ。


確かに、四半世紀以上前の学生時代に、講義でも聴いた話です。

それは、取りも直さず、「塩」の取り過ぎを戒めるものでもありました。


さて、「塩」は高血圧の原因としても問題視されてきました。

高血圧の人に対しては、

 「塩分の取り過ぎはダメですよ!」

と、言わない医者はいないのが現状です。


そんな状況で、今もし、

 「あなたが減塩食を心がけても、それが必ずしも

  あなたの健康上によい影響を与えるとは限らないかもしれない」

などと書いたら、


 「コイツは、とんでもないヤブ医者に違いない!」

と、憤慨されるでしょうか?



ちょっと話は変わりますが、

先日水曜日の、NHK「ためしてガッテン」では溜飲が下がりました。


「脅威の回復!腰の痛み」と題した番組の放送で伝えられたのは

「腰痛の85%が原因不明」という事実であり、

腰痛の主犯と考えられていた椎間板ヘルニアの原因率は5%で

犯人ではない!? という一般の方にはビックリの内容でした。


今年夏までご縁のあった整形外科の専門病院でも

筆者が同じことをナースらに話すと

 「ほんまかぁ?」

 「そんなアホなこと、あるはずがない!」

と、思いっ切り疑いの眼を向けられたものでした。

いちばん近いところの職業人でさえ、そんなものなのでした。


腰痛は、『ストレス』が大きな原因


それが、先日、全国に放送されたというわけです。



さて、「塩」の話に戻りましょう。


まず「コクラン・レビュー」のご紹介。

これは、EBM(Evidence-based medicine)の実践を目的として、

エビデンスの整理/管理を、国際的/組織的に行っているプロジェクトです。

このコクラン共同計画により作成されたシステマティック・レビューは、

あるテーマについて収集した個々の臨床試験文献を、総括的に評価したもの。

方法論が厳密に定義/確立されているので、信頼性の高さで定評があります。



その「コクラン・レヴュー」に11月9日に発表されたのが


『一般集団が減塩食を心がけても、

 全体として健康上よい影響を与えるとは限らないかもしれない』


と、

過去に行われた167件の研究を統合して得られたデータからの報告でした。


簡単に内容を紹介しますと、

 減塩は、正常血圧または高血圧の人々の血圧を低下させるが、

 ある程度の副作用を引き起こす恐れがあること。

 具体的には、ナトリウムの低減は、

 正常血圧の人の血圧を1%、高血圧の人の血圧を3.5%低下させるものの、

 同時に、レニン、アルドステロン、アドレナリン、ノルアドレナリンの

 血漿濃度の有意な上昇に加え、

 コレステロールの2.5%の上昇と

 トリグリセリド(中性脂肪)の7%の上昇に関連していた。

というものです。


このほかにも

7月に英国で発表された、これとは別のコクランライブラリーレビューは、

ナトリウム摂取量を若干減らしても心臓病や早期死のリスクを

減らすとのエビデンスを見出せなかったといいますし、

5月に発表されたベルギーの別の研究では、

塩分を多く摂取した人の方が、摂取量が少ない人に比べて、

高血圧症にかかりにくいようであり、

心疾患による死亡が統計的に少ないようであるとの結果でした。


どうやら、塩分摂取量が減るとホルモンや脂質が増加し、

それが長期間持続すると有害なものになりかねないこともあるようです。

それには、RAAシステム(レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系)

が関わっているようです。

さらに、以前より減塩がインスリン抵抗性を増大させるということも

報告されていることではあります。
 ↓
 Moderate dietary salt restriction increases vascular and systemic insulin resistance.


減塩で高血圧になる人々の存在は、昔から知られていました。
 ↓
 Heterogeneity of blood pressure response to dietary sodium restriction in normotensive adults.


どうやら、すべての人が「塩」で高血圧になるのではないようです。

今や、

「高血圧対策には減塩」というのは

「米は主食だから食べなければ」とか

「腰痛の原因は椎間板ヘルニア」と思い込むのと同じ

都市伝説なのかも知れないのですよ。 


Abstractは以下をクリックで、どうぞ。
    ↓
 Effects of Low-Sodium Diet vs. High-Sodium Diet on Blood Pressure, Renin, Aldosterone, Catecholamines, Cholesterol, and Triglyceride (Cochrane Review) 



炭酸飲料の学校内販売禁止でも青少年の摂取量は減らない

2011-11-15 12:15:33 | Medical Papers 紹介
11月7日にARCHIVES OF PEDIATRICS & ADOLESCENT MEDICINE の

Online版に公開されたのが以下のもの。

 Banning All Sugar-Sweetened Beverages in Middle Schools

 Reduction of In-School Access and Purchasing but Not Overall Consumption


 すなわち、

中学校での加糖飲料販売禁止は校内での入手・購入は減ったが、全消費量は減らない


米国では増加する青少年の2型糖尿病対策として、

学校内での加糖飲料水あるいは炭酸飲料の販売を州法で禁止している州が増えた。

この研究では、40州の公立学校の6900名が調査対象となった。


各々の州により飲料に対する扱いは異なっている。

 校内での加糖飲料をすべて完全に禁止している州、

 炭酸飲料の販売のみを禁止している州、

 そして、加糖飲料規制を設けていない州

が調査の対象となった。


この調査は、学校内での飲料水販売を制限する州の方針が

校内で子供らが加糖飲料水を入手したり購入したりにどう影響するか

また校内・校外での消費量減少に関係するかどうか調べたもの。


8年生(13~14歳)を対象とした結果、調査前の1週間のあいだに

校内で加糖飲料水を入手・購入したと回答した割合は

炭酸飲料水だけを禁止した州ではそれぞれ66.6%と28.9%で

なにも禁止していない州の66.6%と26.0%と変わりがなかった。


学校内で、スポーツ飲料や100%果汁ではないジュースを含め

すべての加糖飲料販売を禁止した州においては、

そうした飲料を校内で購入したと報告する生徒はほとんどいなかった。

しかしながら、せっかくの州の政策にもかかわらず、

8年生(13~14歳)の約85%は先週砂糖飲料を1回以上摂取したと答えており、

1/4~1/3の生徒は毎日摂取していると答えた。


また、禁止や制限を設けていない州では、

5年生(10~11歳)と8年生(13~14歳)の間で

飲料の購入が増加しており、州によっては2倍超になっていた。



加糖飲料水に対する課税や増税、小児への宣伝の制限、

ソフトドリンクに反対するメディアのキャンペーンは、

学校での禁止を家庭に浸透させ、肥満率の抑制に取り組む際に

有効である可能性がある、

とHarvard School of Public Health(ボストン)のDr. Malikはいう。


また、

「家庭での摂取量は、依然小児や青少年の摂取量の大半を占める。

 学校は常に政策の標的になるが、家庭環境に対処するのは難しい。

 カロリーだけで栄養価のないこうした飲料を小児は大量に摂取し、

 スナック菓子などの摂取量を減らすわけでもない。

 加糖飲料の摂取は、米国の小児の過剰摂取の一因となっている。」
 
とのコメントは

Columbia University's Mailman School of Public Health(ニューヨーク)で

加糖飲料の摂取を調査しているDr. Y. Claire Wangのもの。



このようにアメリカでは、早期からの対策が真剣に議論されていますが、

わが国ではどうなのでしょうか?

飲料水にしてもお菓子にしても、ハンバーガーにしても

現状は、販売会社のやりたい放題でしょ?


はっきりいって、広告費をばら撒いてくれるお得意様に対し

「飲んではいけない加糖飲料水!」

なんてキャンペーンをメディアが行うことはありえない話。


TVの健康番組を熱心に観ていながら、

合い間のCMを観て「体に悪いモノ」を買いたくなったりしてませんか?


健康な人生は 自己責任ですよ。


Abstract は こちらをクリックでどうぞ。
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 Banning All Sugar-Sweetened Beverages in Middle Schools
 Reduction of In-School Access and Purchasing but Not Overall Consumption




マフィンがOGTTの代わりになるという研究 が示すのは

2011-11-11 13:02:33 | Medical Papers 紹介
北米更年期学会雑誌 Menopause Web版9月に掲載された研究。

The "muffin test"-an alternative to the oral glucose tolerance test

for detecting impaired glucose tolerance
.

すなわち

OGTTの代わりにマフィンを食べさせて耐糖能異常検査


米国ニューヨーク州のアルバート・アインシュタイン医科大の研究者らが行った。


 目的:耐糖能異常の検査として「マフィン-テスト」の有効性を

    OGTTと比較。

 方法:これは単独の学術機関で行われた横断的研究。

    参加者はKEEPS Trial

    Kronos Early Estrogen Prevention Study(早期エストロゲン補充研究)Trial

    に参加した、閉経後3年以内の42~58歳の女性73人。

    絶食10時間後の採血のあとマフィンと飲み物が与えられ、

    2時間後の血糖値を評価。

    また12名がOGTTを、10名が混合食品摂取による代謝試験を受けた。

    結果の評価は、耐糖能異常の割合と各種検査後の2時間血糖値でなされた。

 結果:多変量線形回帰分析により、2時間血糖値と空腹時血糖値には

    直線的相関関係があり、過体重の参加者でこの関連性が強かった。

    2時間血糖値はOGTTとマフィン-テストで同程度、

    混合食品摂取では少し高かった。

 結論:73名中8名(11%)で耐糖能異常があった。

    空腹時血糖だけでは耐糖能異常者8名中5名(63%)を見逃したかもしれない。

    マフィン-テストはOGTTと比べて100%の感度と特異性を示した。

    この小規模な研究は、より大規模な研究で確認する必要がある。



さて、

ご承知のとおりOGTTは75gのブドウ糖液を飲み、

その後の血糖値を測定する検査だが、

飲んだ後に気分が悪くなる方も少なくないようだ。

この研究では、地元のパン屋製のチョコレートチップ味、

トウモロコシ味、ブルーベリー味など、

様々な味のマフィンのうち1個が参加者に与えられている。

市販のマフィンを用いるほうが、実際の食生活に近いことは言うまでもない。

    
そして、その結果たるや、

OGTTと同様に耐糖能異常が判明したということは、

マフィン=炭水化物でできた食べ物 というものは

確実に血糖値を上昇させるということである。

げに恐ろしきは、炭水化物≒糖質 というお話。


Abstractはこちらをクリック
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The "muffin test"-an alternative to the oral glucose tolerance test for detecting impaired glucose tolerance
   
            

毎日の水分摂取量少ないのは高血糖症発症のリスクに

2011-11-04 06:36:13 | Medical Papers 紹介
Diabetes Care の10月12日号オンライン版に掲載された研究。

Low Water Intake and Risk for New-Onset Hyperglycemia

この研究は、毎日の水の摂取量がコップに2~3杯未満だと、

高血糖症を発症しやすくなる可能性があることを示している。


具体的には、毎日の水の摂取量が500ml程度の人は、

より多く水を摂取する人に比べ、時間が経つにつれ、

血糖値が糖尿病寸前状態にまで上昇する可能性が高くなる。


それに関わるのは、飲水により分泌量が変化するバゾプレッシンだという。

(バゾプレッシン=抗利尿ホルモン(ADH)。尿崩症のホルモンとして有名。)



対象者は、血糖値が正常であった30~65歳のフランス人成人3615名。

このうちおよそ19%が、1日の水の摂取量が500ml未満と回答した。


その後9年間で、565人の被験者が高血糖症、202人が2型糖尿病を発症。


水の摂取量によってリスクを調べると、

1日に500ml以上の水を摂取した場合には、

高血糖症を発症する確率が28%低下することが分かり、

水分摂取量と血糖値の間には相関関係があることが明らかとなった。


なお、甘味飲料やアルコールの摂取量、研究開始時の被験者らの体重、

自己申告による運動量やその他の健康因子などで補正を行っても、

水の摂取の少なさと高血糖との関連は維持された。


さて、メカニズムとして考えられるのは次のようなこと。

脱水状態で分泌が亢進し、腎臓の水分ろ過を抑制するバソプレッシン。

しかし、血中のバソプレッシン濃度が上昇すると、

肝臓の受容体に働きかけ、肝臓にブドウ糖を産生・放出させるということ。


 Abstractはこちらをクリックで
       ↓
 Low Water Intake and Risk for New-Onset Hyperglycemia 


そもそも、不感蒸泄というものがあるのです。

これは、発汗以外の、皮膚と呼気から失われる水分のこと。

気温常温で安静時、健康成人の不感蒸泄は1日約900ml。

意識しなくとも、皮膚から600ml、吐く息に300mlです。


1日500ml以下の水分摂取では、やはりマズイってことですよね。



アジア系アメリカ人の糖尿病有病率は白人より高い

2011-10-25 12:08:27 | Medical Papers 紹介
アジア人のほうが欧米人に比べて糖尿病になりやすいこと

当ブログでも以前

敵を知り、己を知れば、百戦危うからず 3 ←クリックでどうぞ。

にて掲載しました。


これに関連した研究が、Diabetes Care2月号にありました。

        ↓    
               
Trends in the Prevalence of Type 2 Diabetes in Asians Versus Whites

Results from the United States National Health Interview Survey, 1997–2008


 Diabetes Care February 2011 vol. 34 no. 2 353-357


要 約

目的:アジア系アメリカ人と非ヒスパニック系白人(以下白人と表記)における

    2型糖尿病有病率と関係する状況の傾向を調べる。

方法:1997~2008年の米国国民健康聞き取り調査データを分析し、

    18歳以上の成人230,503名をサンプルとした。

    このうち、アジア系アメリカ人は11,056名、

    白人は219,447名である。

結果:年齢と性別で補正した2型糖尿病有病率は、全期間をとおして

   アジア系アメリカ人のほうが白人より高く

   (4.3-8.2% VS. 3.8-6.0%)、

   どちらの集団においても統計的に有意な有病率の上昇傾向を認めた。    

   BMIも両集団で増加していたが、年齢と性別で補正すると

   アジア系アメリカ人のBMIは一貫して白人より低かった。

   完全補正ロジスティック回帰モデルによれば、

   アジア系アメリカ人は白人に比べて、

   30-50%糖尿病になりやすい状態である。

   その上、2型糖尿病になる確率が最も高いのはインド人で、

   次いで、フィリピン人、その他のアジア人、中国人の順であった。

結論:白人に比べてアジア系アメリカ人は、明らかに低いBMIにもかかわらず、

   2型糖尿病になるリスクが有意に高い。   

   アジア系アメリカ人の最適な糖尿病予防策を調整するためには

   さらなる調査は当然だ。



さて、この研究の対象である12年間に、

糖尿病と診断されたアジア系アメリカ人は4%超から8%に増加した。

白人では、その有病率は4%弱から6%に増大した。

しかし、2006年~2008年における肥満の割合は、

白人25%に対しアジア人では17%だった。


これらは、アジア人であること自体が糖尿病のリスク因子であること

を示したこれまでの研究と一致している。

すなわち、遺伝的脆弱性と生活様式が複合したものである、

と、この研究では指摘している。


アジア人の方が白人や黒人よりも体重が少ない傾向にあるにもかかわらず、

腹部臓器周辺の脂肪の比率がより高値だと複数の研究が明らかにしている。

特に内臓脂肪は、2型糖尿病リスクと関連している。


「アジア人の方が不健康な食べ物や、それに関連する

 体重増加の影響を受けやすいかもしれない」と

本研究に参加したJohns Hopkins UniversityのDr. Hsin-Chieh Yehは語る。


研究者らは、アジア人の糖尿病リスクが増大していることを承知しているが、

 一般の多くはおそらくこのことに気付いていない
」とも述べている。




Abstractは以下をクリックでどうぞ

        ↓

Trends in the Prevalence of Type 2 Diabetes in Asians Versus Whites
Results from the United States National Health Interview Survey, 1997–2008




喫煙は閉経の早期化と関連

2011-10-24 15:24:51 | Medical Papers 紹介
先週、夜診を左腰背部痛で受診した26歳女性。

仕事の関係で、毎晩ワイン1ボトル程度を飲むという。

休肝日は、日曜だけとか。


予断を持って、先に検査を指示。


ところが、

検尿やら血液検査の結果、尿路結石も膵炎も否定的。

肝機能もまったく正常。


結局、痛みの部分を触れてみると、

左の傍脊柱筋の緊張があきらかだった。


腰帯点も築賓も、患側に著明に圧痛を認めた。

なので、芍薬甘草湯とミオナールなんぞを処方。


 「じゃぁ、お薬出しますから」

というと、

「それから・・・」 と、まだ何かあるらしい。


「禁煙したいんだけど・・・・・。」


 「どのくらい吸ってるの?」

「1箱くらい。」

 「1mgの?」

「6mgのマルボロー。」



最近は、他の外来でも禁煙希望者をしばしば認める。

舘 ひろしさんのCMの効果なのだろう。


けれど、自分の経験からすると、

要点は 禁煙へのモチベーション がどこにあるか?

だと思うのです。

(ちなみに筆者は、

 抗加齢医学会の研修講習会 その5 最終回

にも書きましたが2009年末に突然、煙とオサラバしました)


それまでは、抗糖化サプリを服用しながらも、

そして、アンチエイジングだなんだと言いながらも、

1日5本程度が止められずに、ズルズルしていたのでした。


が、そんなことでは意味ないじゃん!と閃いたとたん

なんともアッケなく、煙と縁を切れたのでした


そこで、この方には

 「一卵性双生児の姉妹がいて、若い頃から片方だけが喫煙。

  その結果、2人が中年になって

  肌状態の圧倒的な違いとなって現れたんです。

  化粧品にお金かけるより、タバコをねぇ・・・。」

という、よく知られた話なんかしてみたのでした。


ところが、今回、

 喫煙は閉経の早期化と関連

なんていう研究があることを知りました。

Menopause:The Journal of The North American Menopause Society

オンライン版
9月に発表の以下の研究がそれ。

Meta-analysis suggests that smoking is associated with

an increased risk of early natural menopause



およその内容は以下のとおり

米国、ポーランド、トルコおよびイランの

女性約6,000人を対象とした研究6件により、

非喫煙者は平均46~51歳で閉経に至るのに対し、

喫煙者では全体的にみて閉経が早く43~50歳であった。


また、50歳もしくは51歳をカットオフ年齢として

女性を「早期」閉経群と「晩期」閉経群に分類した他の5研究では、

対象とした43,000人超において、

早期に閉経期を迎える可能性は、

喫煙者の方が非喫煙者よりも43%高かった。


閉経が早期化すると、

骨粗しょう症、心血管疾患、糖尿病、肥満、アルツハイマー病など

閉経後の健康障害が増加し、そのリスクが高まる可能性のあることは

一般的によく理解されているところです。


「総合的にみて、早期閉経はその後の死亡リスクを

 わずかではあるが増大させるとも考えられている。」

と、研究者の一人、Dr. Dvornykは補足している。


喫煙が閉経の早期化を引き起こす理由の説明としては、

1、喫煙が女性の身体でのエストロゲン産生機序

  もしくはその除去機序に影響する可能性。

2、紙巻きタバコの特定の成分が卵胞を死滅させる。

という2つの説が存在するようだ。



さてさて、もし彼女が次に受診したなら、

今度はこの話を聞かせてあげることにしよう。


Abstractはこちらをクリックで。
      ↓
Meta-analysis suggests that smoking is associated with
an increased risk of early natural menopause



炭水化物からナッツ類への変更は糖尿病コントロールに有用な可能性

2011-10-23 20:20:30 | Medical Papers 紹介
Diabetes Care 8月号に発表されたのが

Nuts as a Replacement for Carbohydrates in the Diabetic Diet.

 Diabetes Care August 2011 34:1706-1711


毎日のマフィンの代わりに1~2握りのナッツを摂取することは、

糖尿病患者の血糖値とコレステロール値のコントロールに

有用と思われることが、新規研究から示唆されている。


要 約

目的:脂肪、特に一価不飽和脂肪酸の摂取は、HDLコレステロールを維持し、

   血糖値を改善するため糖尿病食として受け入れられてきているが、

   はっきりした理由は、まだ明らかとされていない。

   そこで、植物性脂肪源としてナッツを取り合わせて摂取することが

   2型糖尿病患者の血清脂質とHbA1cに与える影響を評価した。

方法:117名の2型糖尿病患者をランダムに3方法に分け、3ヶ月間

   異なる食事法を行った。

   2000Kcalの摂取カロリーのうち475Kcalを、次のようにした。

    A) 1日75gの無塩ミックスナッツ

    B) 全粒小麦粉マフィン

    C) 無塩ミックスナッツと全粒小麦粉マフィン半々

   HbA1cの変化を主要結果とした。

結果:B)と比べるとA)では一価不飽和脂肪酸が相対的に8.7%増加した。

   治療企図解析では、A)だけがHbA1cを有意に0.21%低下させ、

   B)C)では変化は認められなかった。

   またA)はB)と比べると、LDLコレステロールも有意に低下させた。

   C)では半分くらいの低下にとどまり、有意な低下ではなかった。

   apoBとapoB:apoAの比率も、同じ変化を示した。

   ナッツを摂取することは、

   HbA1cとLDLコレステロールの低下に関連していた。

結論:炭水化物の代わりに毎日75gのナッツを食べることは、

   2型糖尿病の血糖コントロールと血清脂質を改善する。



研究に参加したトロント大学のDr.Kendallは、

この変化は小さく、臨床的に有意な血糖コントロール改善と考えるには

「やや不足」であった、と述べています。


ちなみに、コレステロールに関しては、

ナッツ群の平均LDLコレステロール値は、

約97mg/dLから89mg/dLに低下していました。



この研究は、糖質制限食ということではないので、

HbA1cの低下は、この程度でもしょうがないでしょう。

そうではあっても、読書の秋 で 一大事

のHさんのナッツの選択は、間違っていないというわけです。



 Abstractはこちらをクリックでどうぞ
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 Nuts as a Replacement for Carbohydrates in the Diabetic Diet.
 Diabetes Care August 2011 34:1706-1711