外科医 アンチエイジングに目覚める!?

目指そう サクセスフル・エイジング !

抗糖化 で 減らせAGEs 

炭水化物も要注意    

12月出版予定の専門書籍

2010-09-29 01:08:45 | AGEs

今年の12月頃に出版される予定の


「糖化」に関する書籍があります。




総勢26名が分担執筆しているのですが、


 加齢に伴う骨へのAGEsの蓄積と骨折リスク


という第6章なら、


執筆は、あの先生が最適任者とすぐ判ります。



そう、AGEsと骨粗鬆症の研究ではよく知られた方ですから。

(このブログでも紹介しましたね。)



その他の章も、執筆者はそれぞれの分野の著名な方々です。




ところが、


まったくもって 分不相応 ながら、


筆者も先週末に、著者初校を返送しました。



5月に執筆の依頼を受けた時は、まさに仰天でした。


読者対象が主として、医療関係者・企業・大学・研究機関のため


その価格にも仰天でしたが・・・・・。





その書籍名(仮題)と内容は以下のとおり。


糖化による疾患と抗糖化食品・素材』(仮題)

発行予定:2010年12月頃 

体裁:B5判 約250頁

価格:65,000円+消費税



予定目次


序編 総論

 第1章 加齢関連疾患におけるAGEsの意義
     -生活習慣における抗糖化の重要性―
   

 第2章 糖尿病における糖化反応の位置づけ

 第3章 アンチエイジングを目指したAGE阻害剤の開発           


第1編 糖化による疾患

 第4章 糖化と糖尿病

 第5章 アルツハイマー病におけるesRAGEの役割

 第6章 加齢に伴う骨へのAGEsの蓄積と骨折リスク

 第7章 動脈硬化における、糖化が及ぼす脂質代謝への影響

 第8章 腎疾患におけるアンチエイジングのパラダイムシフトとAGEの役割

 第9章 加齢黄斑変性症の発症における蛋白糖化最終産物

 第10章 糖化と皮膚の老化

 第11章 脂質グリケーション産物のLC-UV/MSとLC-MS/MS分析

 第12章 AGE受容体RAGEの役割


第2編 抗糖化素材と応用

 第13章 抗糖化素材
  1.アルギニン
  2.アミノグアニジン
  3.α-リポ酸
  4.ビタミン
  5.サポニン
  6.天然物質

 第14章 抗糖化食品素材と応用
  1.カモミール
  2.ドクダミ
  3.西洋サンザシ
  4.ヤマブドウ
  5.アセロラ
  6.西洋オオバコ
  7.オリーブ
  8.茶
  9.ハーブ

血清AGEsは心血管疾患や総死亡率の独立したリスク因子である可能性

2010-09-23 16:54:15 | AGEs
スウェーデンのストックホルムで9月20~24日まで開催されている

第46回欧州糖尿病学会(EASD2010)で、


1993年~2006年の平均12年間の追跡研究の結果、


1型糖尿病においては


血清AGEs(終末糖化産物)が


血管イベントの発生や総死亡率の


独立した危険因子である可能性
が示されたと


オランダのマーストリヒト大学メディカル・センターの

J.W.M. Nin氏が報告しました。




内容は以下のとおりです。


 糖と蛋白質が反応して生成される物質である

 終末糖化産物(AGEs;advanced glycation endproducts)は、

 活性酸素を産生することにより糖尿病の合併症を引き起こす

 可能性があるとされている。


 J.W.M. Nin氏らは、AGEsが、

 病態生理学的に高血糖と血管合併症の進行を

 結び付ける要素であるかを明らかにするために、

 1型糖尿病の患者を対象に、
 
 血清AGEsと心血管疾患(CVD)および総死亡率との関係を調べた。


 対象は、CVDの経験がない1型の糖尿病腎症の患者169人と、

 1型の糖尿病で正常アルブミン尿の患者170人

 (うち男性205人、平均年齢41±10歳)で、前向きに観察した。


 AGEsのスコアは、

 Nε-(カルボキシメチル)リジン(CEL)、

 Nε-(カルボキシエチル)リジン(CML)、

 ペントシジンのそれぞれのzスコアの平均値とした。


 追跡期間中央値は12.3年であった。

 AGEsと心血管疾患および

 AGEsと総死亡率の関係はコックス回帰分析した。


 追跡期間中、82人(24.2%)が死亡し、

 85人(25.1%)にCVDが発生した。


 また、3人は追跡できなくなった。


 心血管疾患は12.3年の観察期間中26人/1000人/年。

 総死亡は12.6年の観察期間中21人/1000人/年だった。


 CVDを発症した患者と発症しなかった患者では、

 年齢、糖尿病の罹病年数、腎障害の有無、HbA1c、

 コレステロール、平均血圧などに有意差はなかった。


 そこでデータについて、年齢やHbA1c、平均血圧、喫煙習慣、

 総コレステロール、腎機能など、

 従来から指摘されているCVDリスク因子について補正を行った。


 その結果、心血管疾患の罹患率および死亡率と総死亡率は、

 従来から言われているCVDリスク因子とは無関係に、

 AGEsのベースラインレベルが高いほど増加した。


 AGEsスコアが1SD増えるごとに、

 それぞれハザード比(HR)は1.30(95%信頼区間1.02~1.65)、

 1.29(95%信頼区間1.01~1.65)だった。


 ハザード比は、推定糸球体濾過率(eGFR)、

 軽度の炎症、動脈壁の硬化で調整しても、

 それぞれ1.16(95%信頼区間0.89~1.51)、

 1.19(95%信頼区間0.90~1.57)だった。


 AGEsが高い患者では、

 AGEsの値はベースラインのeGFRと逆相関しており

 eGFRが低く腎機能が悪い人ほど、

 AGEsは高かった(標準化回帰係数=-0.29、95%信頼区間:-0.38~-0.20)。



 このことから、J.W.M. Nin氏は、

 「血清AGEs値が高いことは、

  年齢やHbA1c、平均血圧、喫煙習慣、

  総コレステロール、腎機能などとは

  独立したCVDのリスク因子である可能性がある。

  また、腎機能や血管内皮の障害、炎症、血圧とも

  完全に独立したリスク因子と考えられる」

 と考察した。




京都の秋 音楽祭 開幕

2010-09-13 23:33:34 | ひとりごと 音楽

京都の秋 音楽祭 が始まりました。


今年は第14回だとのこと。











昨日、京都コンサートホールでは

門川京都市長の開会宣言に引き続き

京都市交響楽団による

オープニング記念演奏会が開催されました。











まずは、ソリストに野原みどりさんを迎えての

チャイコフスキーのピアノ協奏曲。




ホルンが力強く、問題なく序奏主題を吹き鳴らし

雄大な曲が始まりました。


ピアノの和音が上昇音型を叩き出し

弦がユニゾンで主題を奏でる頃には

ロシアの広大かつ土臭いイメージが

充分に湧き上がってくるのでした。



音響的に優れた大きなホールでの

生演奏でこそ味わえる満足感。

フル・オーケストラが力強く奏でる音量が

まったく喧しくないのです。


これほどの音量を、家でスピーカーを鳴らすなら

喧しくてトンでもありません。



陶酔感に少しばかり水が差されたのは、

ホルンが違和感のある音を出した時でした。



そもそも、名前が知れたオーケストラの場合、

弦楽器の演奏レベルには、

(煩い事を言わない限り)

大差がないように思われます。



しかし、問題は、金管楽器。


そのなかでも特に、

ホルンは重要なポイントだと感じます。


吹きにくい楽器であることは

重々承知しているのですが、

整った音が出されなかった場合には

「う~む、残念・・・・・」

と思わざるを得ません。



幸いなことに、昨日の京響の場合には、

その時が一番調子が悪かったのでした。



20分の休憩の後の2曲目は、ドヴォルザーク。



交響曲第9番「新世界より」がつとに有名ですが、

今回演奏されたのは、交響曲第8番。


こちらも演奏される頻度の高い曲ですが、

案外ファンが多いかも知れませんね。


斯く云う筆者も、

「新世界より」しか聴かずにいた三十数年前、

ワルター指揮・コロンビア交響楽団のLPで

初めて聴いてからファンになったひとりです。



まぁ、しかし、なんだかんだ言っても

チャイコのPコンとドボの8番が聴けて

なんと御代が、1000円ポッキリ



いやぁ、京都って ほんと 素敵なところです。





AGEs(ペントシジン)と骨折リスク

2010-09-09 22:58:09 | 骨粗鬆症と糖化
糖尿病と骨粗鬆症の間には、

NHKのためしてガッテン や
 新型骨粗鬆症 ためしてガッテン についにAGEs登場!

たけしの家庭の医学で取り上げられたように、
  あなたの知らない血糖値の罠!
 あなたの知らない血糖値の罠! にペントシジン登場!

見過ごしにできない関係があります。



骨粗鬆症治療の座談会をまとめた最近のパンフレットでも

糖尿病との関係が重要と書いてあったので紹介します。



海外のデータから示される1型糖尿病と2型糖尿病での

骨密度・骨折危険度は、次の図のようになります。







まず骨密度ですが、

脊椎骨と大腿骨近位部(頚部・転子間部など)において

1型糖尿病では減少し、

2型糖尿病では増加しています。


骨折の危険度は、

1型糖尿病では大腿骨近位部骨折の危険度は大幅に増加し、

2型糖尿病でも1.38倍に増加と報告されています。



骨密度の低下する1型糖尿病で

骨折の危険度が増加するのは分りやすいのですが、


骨密度が増加している2型糖尿病でも

骨折の危険性が増加するというのがクセモノです。




次に、2型糖尿病と骨折危険度に関する大規模試験である

Rotterdam Study(2005年)の結果の図を示します。







この大規模試験によると、2型糖尿病患者では

腰椎あるいは大腿骨近位部の骨密度が高いにもかかわらず、

近位部骨折の危険度が1.33倍高い
と報告されています。



これより前の研究ですと、

2型糖尿病患者657例を含む9654例のコホート解析で、

2型糖尿病では大腿骨近位部骨折の危険度が

1.82倍高くなるという報告
(2001年)もあります。



骨密度が高くても、骨折の危険度は高いとは困ったことです。


わが国においても島根大学医学部のYamamotoらが、

閉経後女性で2型糖尿病の有無によって

椎体骨折の危険度と骨密度との関係を外来患者で検討したところ、

2型糖尿病患者の椎体骨折は骨密度では予測困難である

と報告しています(2009年)。

       ↓





その一方でYamamotoらは、

血清中もしくは尿中ペントシジン増加が、

閉経後2型糖尿病女性の椎体骨折の危険因子であることが

示唆される
と報告しています(2008年)。

        ↓









ペントシジンがAGEsのひとつであることは、

ここを読まれている皆さんにはすでにお馴染みのことですね。



関連する以前の記事は以下のとおり。


 骨密度が高くても骨折しやすい理由
         ↓
 AGEsと骨質劣化について


 ペントシジンの生成抑制について
         ↓
 糖尿病合併症治療薬における抗糖化について



 「腎と骨代謝(2008)」に慈恵医大整形外科の斎藤 充先生が

 ペントシジンに関する記述をされています。
           ↓
骨の材質を反映するマーカーの骨折危険性評価への応用と課題



 島根大学医学部の山内 美香先生が書かれた2ページ目には

 一番最初に掲載した図の解説があります。
           ↓
全身性代謝疾患(含メタボリックシンドローム)における骨折危険性評価の重要性」  





コレステロール値:「高い方が死亡率低い」

2010-09-03 22:51:34 | ひとりごと 医療系

(製薬会社の)バイアスがかからない研究だと、以下のような話になるのです。


そもそもアメリカではLDLが190以上を治療対象としていて、

この190という数値には、きちんとした根拠があるのです。


しかし、日本では以下の記事にもあるように140以上を対象としていて、

しかもその数値の根拠が実はあいまいなのです。


はっきりしているのは140以上とする方が、

治療対象者が増える、つまり内服処方が増えるということ。



コレステロールというのは細胞膜の重要な構成成分だし、

ステロイドホルモンの製造原料でもあるわけで、


とくに以下記事で、

 男性ではLDLコレステロール値が79以下の人より、

 100~159の人の方が死亡率が低く


と書かれているのは、


1)コレステロールがDHEAの製造原料であること。


2)DHEA値が高いほうが長寿であるという最近の抗加齢医学の知見。



と言う2つの事実からも納得される話でしょう。




以下、毎日新聞の記事を貼り付けます。


コレステロール値:「高い方が死亡率低い」 日本脂質栄養学会で研究成果発表 /富山
毎日新聞 9月3日(金)16時47分配信

 ◇きょうから日本脂質栄養学会、ガイドライン策定へ
 動脈硬化の原因の一つとされるコレステロールについて、日本脂質栄養学会(理事長=浜崎智仁・富山大学和漢医薬学総合研究所教授)が「総コレステロール値またはLDL(悪玉)コレステロール値が高い方が総死亡率が低い」とする研究成果をまとめた。3、4日に愛知県犬山市で開かれる第19回日本脂質栄養学会で発表する。【青山郁子】
 日本では狭心症などの持病がない場合、血中のLDLコレステロール値が140ミリグラム以上で高脂血症と診断される。日本動脈硬化学会が07年に定めたもので、厚生労働省や多くの医療現場が基準値として採用している。
 浜崎教授らは、東海大学が神奈川県伊勢原市の老人基本健診受診者(男性8340人、女性1万3591人)を平均7・1年間追跡した調査などを分析。男性ではLDLコレステロール値が79以下の人より、100~159の人の方が死亡率が低く、女性ではどのレベルでもほとんど差がないとの結果を得た。
 また、茨城県などが冠動脈疾患や脳卒中の既往歴のない男女約9万人(40~79歳)を対象に平均10・3年間追跡した調査でも、冠動脈疾患死とコレステロール値との因果関係はみられなかった。
 これを受け脂質栄養学会は昨秋、浜崎教授を委員長に「長寿のためのコレステロールガイドライン策定委員会」を設置。「特別な場合を除き、動脈硬化性疾患予防に(コレステロール値)低下目的の投薬は不適切」などとする内容を盛り込むことを検討している。特に投薬治療を受けている患者の約6割を占める女性は、閉経後に平均値で30~40ミリグラムは上昇するとされ、基準値に男女差がないことも問題視している。
 今後は各方面の意見を聴き、来年度に学会として正式なガイドラインを発表する予定。
 浜崎教授は「日本でコレステロール値を下げる薬の売り上げは年間約2500億円。関連医療費も含めると7500億円を上回る。この中には多額の税金も投入されており、無駄と思われる投薬はなくすべきだ」と話している。