読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

日本裁判員裁判開廷の日と、米国密室劇の金字塔「十二人の怒れる男」(アメリカ/1957年)

2009-08-03 15:38:03 | 映画;洋画
~既に法廷劇の代名詞となって久しい、アメリカ映画史に輝く傑作ドラマ。元々は高い評価を受けたTV作品で、その脚本・演出コンビによる映画版だが、そのいかにもTV向きの密室劇を上手くスクリーンに転化させた手腕は見事の一言。17歳の少年が起こした殺人事件に関する陪審員の討論が始まったが、誰が見ても有罪と思えたその状況下で、ひとりの陪審員が無罪を主張した事から物語は動き始める……。(allcinema ONLINE)~

原題:12 Angry Men
監督:シドニー・ルメット
原作、脚本:レジナルド・ローズ
音楽:ケニヨン・ホプキンス
撮影:ボリス・カウフマン
出演:ヘンリー・フォンダ、マーティン・バルサム、ジョン・フィードラー、リー・J・コッブ、E・G・マーシャル、ジャック・クラグマン、エドワード・ビンズ、ジャック・ウォーデン、ジョセフ・スィーニー、エド・ベグリー、ジョージ・ヴォスコヴェック、ロバート・ウェッバー

これまでリメイク作品としての「十二人の優しい日本人」、ロシア版「12人の怒れる男」を観て、いつかはオリジナルを観たいと思っていましたが、やっと本作を観ました。公開された1957年は私の生まれる一年前にあたりますが、陪審員たちの議論が中心となっているだけに、全く古さを感じさせないんですね。

奇しくも今日は、日本の裁判員裁判が開廷した日ですね。裁判員裁判第1号となるのは東京都足立区の隣人殺害事件。起訴状によると、被告(72)は5月1日正午ごろ、自宅で隣人の整体師(66)と口論になり、ナイフで胸などを数回刺し殺害したとして殺人罪に問われています。

よくはわかりませんが、この事件では被告による殺害事実は間違いなく、その量刑をどのように決めるかについて判断が求められるんだと思います。選任された6人の裁判員のうち、5名が女性ということにちょっと驚きました。

本作の12人はすべて男性。被告の少年がスラム街出身の不良であったことで、はじめから彼に偏見を持つ者、提示された証拠をそのまま事実と思い込む者。11対1から始まる有罪支持の陪審員の表決は、次第に彼らの人格をあらわにさせながら、紆余曲折の展開を繰り広げながら進みます。物事には表と裏があり、角度によって様々な光を放つ鉱石のようでもあります。


<「十二人の優しい日本人」(日本/1991年)と「十二人の怒れる男」(アメリカ/1957年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/8cc7f5251e235e1a236a195e8abd924a


<いかにもロシア的な、「12人の怒れる男」(ロシア/2007年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/92e28cd68f86f14a392d357c435332e2


本作は、1954年9月20日に、CBSの『Studio One』(本作の原作者レジナルド・ローズの陪審員体験に基づいたドラマシリーズ)の一つとして、制作・放送されたものがオリジナルとなるらしいのですが、レジナルド・ローズが34歳のときの作品になるようです。

そして、硬派な社会派監督と言われるシドニー・ルメット監督。本作がデビュー作でこのとき実に33歳なんですね。本作以後、1993年までなんとほぼ毎年作品を製作していることにも驚きます。彼の作品では「オリエント急行殺人事件」(1974)、「狼たちの午後」(1975)、「評決」(1982)、「グロリア」(1999)などを観てきましたが、このブログでは、本作からおよそ20年後の「ネットワーク」を取り上げ、先日2007年の「その土曜日、7時58分」を取り上げたばかりです。。

<「視聴率」に翻弄されるテレビ人間たちの闊歩する魑魅魍魎の世界、「ネットワーク」(米/1976)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/33b620cd1577a9904e02eccf6f2bff3b

<一瞬にして崩壊する家族の「その土曜日、7時58分」(アメリカ/2007年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/e3ebfed897dda93b8590cbb6d922d534

さて、本作の主演ヘンリー・フォンダ。先輩にハンフリー・ボガード(1899-1957)、クラーク・ゲーブル(1901-1960)と後輩にジョン・ウェイン(1907–1979)、ジェームズ・スチュワート(1908-1997)が並ぶアメリカ映画の黄金期に一躍を担った俳優さんですね。

ヘンリー・フォンダ(Henry Fonda、1905年5月16日 - 1982年8月12日)は、「アメリカ合衆国の映画俳優、製作者。俳優のジェーン・フォンダとピーター・フォンダは2番目の妻との間の子。生後6ヶ月で、同じ州のオマハに移る。幼い頃から絵や文学の才能に恵まれ、12歳の時にはニュース映画で映画デビューを果たす」。

「セントラル高校卒業後、新聞記者を目指してミネソタ大学でジャーナリズムを専攻するが卒業はせず、母親の友人であったドロシー・ブランド(マーロン・ブランドの母親)の紹介で20歳の時にでアマチュア劇団オマハ・コミュニティ・プレイハウスに参加、1925年に初舞台を踏む。いくつかの地方巡業の舞台で活躍した後、小売信用会社の事務員として働き始める」。

「しかし、演劇の魅力忘れがたく、ついに仕事を辞めて俳優になることを選び、1928年にサマー・ストック劇団ケープ・プレイハウスをへて、ユニバーシティ・プレイヤーズ・ギルドに参加、そこで将来フォンダの妻となるマーガレット・サラヴァンや、同じく俳優を目指すジェームズ・スチュアートやジョシュア・ローガンと出会うことになる。1929年には『The Game of Life and Death』の通行人役でブロードウェイにデビュー」。

<ヘンリー・フォンダ - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%83%80


以下、12人の陪審員のうち、これまで他の作品で顔なじみのある俳優さんたちを取り上げておきます。

Jack Warden (September 18, 1920 – July 19, 2006) was an Emmy Award-winning, Academy Award-nominated American character actor.

<ジャック・ウォーデン – Wikipedia>
http://en.wikipedia.org/wiki/Jack_Warden


Jacob Joachim "Jack" Klugman (born April 27, 1922) is an American stage, film and television actor, known for his roles in sitcoms, movies, television and on Broadway.

<ジャック・クラグマン – Wikipedia>
http://en.wikipedia.org/wiki/Jack_Klugman


E. G. Marshall (June 18, 1914 – August 24, 1998) was an American actor, best known for his TV roles as the lawyer Lawrence Preston on The Defenders in the 1960s, and as neurosurgeon Dr. David Craig on The Bold Ones: The New Doctors in the 1970s.

<E・G・マーシャル – Wikipedia>
http://en.wikipedia.org/wiki/E._G._Marshall


Robert L. Webber (October 14, 1924 - May 19, 1989) was an American actor who starred as Juror #12 in the 1957 movie 12 Angry Men.

<ロバート・ウェッバー – Wikipedia>
http://en.wikipedia.org/wiki/Robert_Webber


<12人の怒れる男特集>
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Cinema/3769/12sp.html

<12 Angry Men - Wikipedia>
http://en.wikipedia.org/wiki/12_Angry_Men


最新の画像もっと見る

コメントを投稿