読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

わが身を振り返れば確かにそう言いたくなりますよね、「人のセックスを笑うな」(2008年)

2009-07-03 03:38:58 | 映画;邦画
監督:井口奈己
原作:山崎ナオコーラ
脚本:本調有香
音楽:HAKASE-SUN
撮影:鈴木昭彦
出演:(みるめ)松山ケンイチ、(ユリ)永作博美、(えんちゃん)蒼井優、(堂本)忍成(おしなり)修吾、(山田先生)温水洋一、(猪熊さん)あがた森魚、(じいちゃん)桂春團治

~美術学校に通う19歳のみるめ(松山ケンイチ)は、39歳のリトグラフの非常勤講師ユリ(永作博美)と恋に落ちる。友人の堂本(忍成修吾)に問いただされ、みるめは彼女との仲をうれしそうに告白するが、いつもつるんでいる仲間のえんちゃん(蒼井優)の顔は曇ったままだ。だが、実はユリが既婚者であることが分かり、みるめは混乱する。(シネマトゥデイ)~

まず本作を観て思ったことは、次の三点。
・男女関係で女性が年上の場合の20歳の年齢差は微妙である。
・男女関係で女性教師と男性生徒に逆転するとむしろ微笑ましくもある。
・男女の間に友情はやはり、生まれにくい。

そしてこの「人のセックスを笑うな」という衝撃的なタイトルの意味を考えてしまいますね。どのような解説がなされているのかネットで検索すると、YAHOO知恵袋にluna_sabakuさんの同様の質問に対し、kuukai2200さんが次のように答えていて、ナルホドなと思いました。

~タイトルについて。原作本文より。『もし神様がベッドを覗くことがあって、誰かがありきたりな動作で自分たちに酔っているのを見たとしても、きっと真剣にやっていることだろうから、笑わないでやって欲しい。』「セックス」を「恋愛」に言葉を置き換えると分かり易いのでは?恋愛してる人って、時にありきたりで格好悪いことしてるけど、本人達は一生懸命なんだ、ってことじゃないかな。~

作家ご本人の弁が探せなかったので、真相はいかに、というところですが、少なくともこのタイトルは、多くの人の頭の中に溶けない塊となって鎮座し続けることになるという意味で成功しているのではないでしょうか。

そして、この原作者のペンネーム「ナオコーラ」。私はこのセンス、好きです。しかし、彼女のことはおろか、本作が2004年の第41回文藝賞を受賞し、翌年の第132回芥川龍之介賞の候補作になったことすら知りませんでした。

<山崎ナオコーラ - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E5%B4%8E%E3%83%8A%E3%82%AA%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%A9

<作家の読書道: 第90回:山崎ナオコーラさん | WEB本の雑誌>
http://www.webdoku.jp/rensai/sakka/michi090_yamazaki/


次に本作の監督、井口奈己さん。この記事を書くまで、井口さんが女性であるとは思いませんでした。女性であることがわかって改めて、本作に描かれる諸々のシーンがそういえば女性らしい演出だったなと思うという始末です。全編を通じて悪く言えば締まりのない、よく言えばリアリティを感じる作品です。それもそのはず、彼女の作品は長回しにより生まれる“だらだら感”が特徴になっているんだそうです。

<井口奈己 - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%95%E5%8F%A3%E5%A5%88%E5%B7%B1


役者陣については、邦画の場合、ここで語るべきことはなく、出演者の写真とリンク先のみ記します。


<松山ケンイチ - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E5%B1%B1%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%82%A4%E3%83%81


<永作博美 - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B8%E4%BD%9C%E5%8D%9A%E7%BE%8E


<忍成修吾 - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%8D%E6%88%90%E4%BF%AE%E5%90%BE


<温水洋一 - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%A9%E6%B0%B4%E6%B4%8B%E4%B8%80


そして、私たちの世代には懐かしいフォークシンガー。エンドロールでその名を見るまでは猪熊さんが彼だったとは気づきませんでした。

<あがた森魚 - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%82%E3%81%8C%E3%81%9F%E6%A3%AE%E9%AD%9A


蒼井優さんについては、下記の作品で取り上げました。
<映画には原作殺しという作品もある、「海猫」(2004年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/36d9393f30a185a3ad4b2eeb2cb8370b


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お久しぶりです (8 1/2)
2009-07-08 20:31:03
こちらにもblogを持っておられたとは、ビックリしました。

この映画の記事を自分のblogに書いた時、コメントを頂いた多くの方が「タイトルだけで見ない」と仰られていました・・・
ワタクシも、一瞬は引いてしまったのですが、映画は全く別物で、今では熱烈な支持者の一人になっております。

「ナオコーラ」も「人のセックスを笑うな」もユニークなネーミングですね。
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