読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

痛みが傷みになるとき、それは悼みと変わる、「蛇にピアス」(2008年)

2009-06-30 07:24:56 | 映画;邦画
~蛇のように割れた舌を持つ男アマ(高良健吾)と出会った19歳のルイ(吉高由里子)は、自分とはまったく違う世界に住む彼と付き合いつつ、アマの紹介で知り合った彫り師シバ(ARATA)とも関係を持ち始める。ルイはピアスを開け、背中に入れ墨を彫り身体改造の痛みと快楽に身を委ねる日々を送るが、どこか満たされぬ思いを抱えていた。(シネマトゥデイ)~

監督:蜷川幸雄
原作:金原ひとみ
脚本:宮脇卓也、蜷川幸雄
音楽:茂野雅道
出演:吉高由里子、高良健吾、ARATA、あびる優、ソニン、市川亀治郎、小栗旬、唐沢寿明、藤原竜也

昨日取り上げた「容疑者Xの献身」と同じく、観ようかどうしようか長らく迷ったのが本作です。理由は前者とは違ったもので、単に痛そうだったから。TSUTAYAさんの棚でどうしようか悩んでいたのですが、蜷川幸雄さんがメガフォンを取っていることを知って、思い切って手に取りました。で、見終わって、その痛みについて大変考えさせられる作品でした。

若い人の中で舌にピアスをした人の映像を私も見たことがありますが、あの人たちは、スプリット・タン(tongue splitting; forked tongue)にするためにやっているんですか。舌先を左右に切り裂くなんてどこから生まれた発想なのでしょうか。こういうのを「身体改造」というらしいですね。

~身体改造;(痛みが伴うなどの激しい手法を用いて)身体に人工的かつ永続的な変化を加える行為。入れ墨、ピアッシング、割礼、纏足(てんそく)、スカリフィケーション、スプリット-タン、インプラントなどの総称。宗教儀礼、芸術、自己表現などとして行われる。ボディー-モディフィケーション。身体変工(へんこう)。

<身体改造 - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BA%AB%E4%BD%93%E6%94%B9%E9%80%A0

そういえば、古くから行われてきたものでしたね。唇に円盤を入れ変形させたり、鼻に穴を開けてリングを入れたり、首長族もいますね。「19歳、痛みだけがリアルなら 痛みすら、私の一部になればいい。」という本作のキャッチコピーが示す、リアルと何かということを考えます。生きているということが死んでいるというパラドックス。この社会がすべてフィクションであるという感覚。私はコミュニケーションの問題だとしか頭に浮かびません。面と向っての会話、対話が薄らいでいることが、リアリティを感じさせない要因ではないかと。

<ボディペインティングというアートとエロス>
http://blog.livedoor.jp/asongotoh/archives/51345627.html


原作者の金原さん。芥川賞作家となって、その後話題はあまり聞きませんが、今度彼女の小説を読んでみようと思います。

<金原ひとみ – Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E5%8E%9F%E3%81%B2%E3%81%A8%E3%81%BF

私に本作を観るきっかけを作ってくれた監督。いつかは蜷川さんの芝居を観てみたいと思っています。

<蜷川幸雄 – Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%9C%B7%E5%B7%9D%E5%B9%B8%E9%9B%84


役者陣は、写真とリンク先だけの記載で失礼します。


<吉高由里子 – Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E9%AB%98%E7%94%B1%E9%87%8C%E5%AD%90


<高良健吾 – Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E8%89%AF%E5%81%A5%E5%90%BE


<ARATA – Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/ARATA


CHARAさんが歌う本作の主題歌「きえる」について、下記の記事で取り上げました。

<CHARAと「蛇にピアス」とインナーチャイルド>
http://blogs.yahoo.co.jp/asongotoh/57945964.html


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