今の仕事に就くず~っと以前・・・
東京でグラフィックデザインの仕事をしていた時代がございます。
ある時、某出版社から面白い依頼がありました。
フランスの絵本を翻訳して出版予定だが
原書の文字が味のある手書きである。
手書きのフランス語の雰囲気をそのまま損なわずに
日本文字にしてくれないだろうか・・・という内容です。
当時、絵本のタイトル文字などを何点か手がけてましたので
またいつものような軽い仕事だろうとお引き受けしました。
ところが、出版社から
この絵本製作のメンバーを聞かされて驚いたのです。
まず、翻訳は谷川俊太郎。
詩人であり翻訳家であり脚本家のあの谷川俊太郎です。
次に装丁が平野甲賀。特徴のあるロゴ使いで
一目見れば誰もが「あ~」とご存知の装丁作家です。
そこからこの2人の大御所との仕事が始まりました。
中野のデニーズで谷川俊太郎氏と打ち合わせをし
成城のご自宅で平野甲賀氏と打ち合わせる・・・。
厳しい2人の芸術家と仕事をご一緒したこの経験は
私の人生の中の大切な宝物になりました。
加えて言えば、原書は「プチ・ニコラ」シリーズで有名な
ジャン・ジャック・サンペ。
(この方にお会いする機会にはまだ恵まれてません。)
シンプルな線と淡い色彩が特徴の
フランスを代表するイラストレーターです。
残念ながらこの出版社はその後廃業され
もうこの絵本は手に入らなくなってしまいました。
時々、この本を手にして思います。
この仕事。きっと神様が私にくださった
人生のつかの間の夢だったんだろうな・・・と。
お話の内容は「男の友情」 大人の絵本ですね
原書もひっかいたような手書きのペン字です