脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

明と暗 -京都VS新潟-

2010年08月08日 | 脚で語るJリーグ
 JリーグはJ1第17節が行われ、最下位に沈む京都は7位の新潟と対戦。試合は0-2で新潟が勝利し、破竹の11戦無敗で7日現在暫定で4位に浮上。一方ホームで敗戦の京都はこれでなんと13試合未勝利となってしまった。

 

 現在、Jリーグで最も好調なチームと最も不調なチームの対戦カードとなったこの試合。前節より京都の新監督が秋田豊氏になったことで、ここで対峙する両チームの監督は鹿島の黎明期から黄金期を支えたOB同士ということになった。しかしながら、秋田監督は少し先輩となる黒崎監督から勝利を挙げることはできなかった。
 試合は前半から新潟がペースを掴む。加藤弘、中村太、宮吉と若手を軸に試合に臨んだ京都に素早いパスワークで揺さぶりをかけ続ける。京都も素早いプレスでシュートまで持ち込ませず、ボールを奪うとディエゴを起点にカウンターで速攻を仕掛ける展開となった。新潟はシュートこそ少なかったが、28分に左サイドでチョヨンチョルがボールを受けるとそのままドリブル突破。エリア左から狙い澄ましたシュートがゴールとなり先制点を叩き出した。先日、新生韓国代表に選ばれたサイドアタッカーの本領発揮といった場面だった。

 
 ゴール前に攻め込む宮吉にM.リシャルデスがこの守備。
 京都は再三ゴール前までボールを持ち込むが・・・

 
 新潟の左サイドバック酒井は持ち味を見せた。
 W杯にもサポートメンバーで帯同した将来性豊かな選手。

 
 韓国代表に選ばれた京都DFカクテヒ。
 しかし、同じく代表に選ばれたチョに先制点を献上することに。

 
 チョヨンチョルが先制点を挙げる。
 1人で持ち込んで決めたナイスゴールだった。

 新潟は1タッチないし2タッチで素早くボールを回す。本間、小林のベテランボランチがしっかり底からボールを捌き、ミシェウやチョ、そして司令塔として君臨するM.リシャルデスが前線に攻め込む。シュート場面こそ限られたが、中盤の構成力はなかなかのもの。前半は京都が守備面で苦労を強いられただろう。前半は1-0で新潟がリードのまま折り返すこととなった。

 後半に入って、試合は意外な展開。まず新潟のミシェウが54分に退場処分に。これは非常に不可解な判定だったが、どうやら直前のボールがタッチラインを割ったあたりで何やら京都の選手のユニフォームを掴んだということだろうか。奥谷主審が第4審に確認してレッドカードを提示したが、どうも後味の悪い厳しい判定だった。このミシェウの退場処分で新潟は残り80分余りを10人で戦うことを強いられる。
 しかし、これで京都に流れが傾くかといえばそうではなかった。56分にドゥトラが前線に走りこんでチャンスを掴むがオフサイド。68分には左サイドの中村太からのクロスをディエゴが決めたかと思いきやこれもまたオフサイドとあと一歩でゴールが遠い。1点をリードしている新潟はかなりペースを京都に奪われたが、相手の拙攻にも助けられてリードを失うことはなかった。それどころか78分には左からのCKをM.リシャルデスが蹴ると相手DFのオウンゴールを誘発。完全に軌道がゴールに向かう素晴らしいキックで思いがけない追加点を得ることになる。

 
 
 まさに変幻自在のキックで観客を魅せるM.リシャルデス。
 後半に追加点をそのキックで演出。1人でゲームを決めてしまう。

 
 京都は宮吉を生かし切れない。
 しかしながら宇佐美(G大阪)と並んで国内若手の最高峰。

 
 68分にはディエゴがゴールを決めたかと思いきや・・・
 無情のオフサイドに思わず詰め寄る。

 
 
 M.リシャルデスのキックを捕獲できずオウンゴールに。
 新潟のラッキーな追加点が生まれた。

 結局、試合は2-0で新潟が勝利を収めて、これが西京極での初勝利となった。後半は京都にもチャンスがあったが、追加点を奪ってから守り通した新潟守備陣の前に1点も生み出せなかった。ここまでチームの現状が試合に浮き彫りになるとは。まさに明と暗がそれぞれくっきりと出てしまった。これで11試合無敗。新潟の負けない強さはこの後に控える清水や川崎との試合で真価が問われそうだ。
 一方の京都はこれで丸4カ月間勝利に見放されるという事態に。13試合連続で勝利が無く、そして5試合得点が生まれていない。幸い下位グループは勝点差がまだ離れていないために1勝さえすれば良いきっかけになりそうだが、18日の湘南戦あたりが正念場になりそうだ。

 
 新潟で10年プレーするMF本間。
 彼の冷静なプレーぶりは新潟に欠かせない。

 
 ゴールこそ少ないが矢野の存在は不可欠。
 前線から良くプレッシャーをかけ続ける。