脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

山口を目指す戦い<3> -奈良クラブ VS FC大阪-

2010年07月26日 | 脚で語る奈良クラブ
 全社関西大会は1回戦2日目を迎え、長居第2陸上競技場では奈良クラブ(関西1部)とFC大阪(大阪府1部)が対戦。2-1でFC大阪が勝利する波乱の展開で、8月1日に橿原で行われる代表決定戦に進出を決めた。

 

 波乱でもなんでもない。必然の展開だったのだろう。前半から試合のペースはFC大阪にあった。10分に左サイドからMF池松がクロス気味のボールを上げると、GK村松の判断ミスを誘いゴールイン。これが先制点となる。28分にはかつてアイン食品でプレーしていた辻村が追加点を奪ってリードは2点に広がった。
 奈良クラブは、キックオフ直後に畑中が相手を牽制するかのようなシュートを見舞うが、それ以降のシュートチャンスが訪れない。セカンドボールの競り合いでことごとく相手に負け、パスも思うように繋がらない。いざ攻撃態勢に切り替わっても相手の守備ラインで簡単にオフサイドを取られる展開が続いた。

 

 0-2で迎えた後半に奈良クラブはFW嶋とMF石田と投入する。先週のリーグ戦(阪南大クラブ戦)ではここで矢部という選択肢だった。その際には矢部の効果的なパスの配給と得点で2得点を生み出し逆転(試合は結果的に2-2の引き分け)。悪しき習慣となりつつある前半の緩慢な戦いぶりを払拭できた。しかしながら今週の練習時に矢部は負傷。チームに更なるダイナミズムを生み出す選択肢はこの2人に託された。
 後半キックオフ直後にMF畑中が気迫の得点で一糸報い、明らかにチームのムードは上がった。少しずつサイドから相手を崩していく場面が増えてくる。しかし、このFC大阪を相手に2点を追うのは難しかった。75分にDF浜岡が軽率なファウルで2枚目の警告をもらい退場処分に。40分ハーフのこの大会、もう時間はほとんどない。ここでほぼ万事休すという状況だった。

 

 この大会にかける意気込みも含めて、FC大阪は強かった。この試合から両チームにおける2カテゴリーの格差は全く感じられなかった。昨季の府県決勝大会でこのチームが関西リーグ昇格を逃したことがにわかに信じられない。アルテリーヴォ和歌山から玉置兄弟が加入したり、多少チーム構成の変更はあっただろうが、すぐにでも関西リーグで戦っていけそうだ。オフィシャルサイトを見る限り、プロ契約でも選手を募っているようで、その資本力は侮れない。来週の代表決定戦で関学クラブを相手にどんな戦いを見せるのだろう。
 むしろ、奈良クラブがこのまま戦い続けるだけでは、これらのチームにすぐ追いつかれるだろう。関西2部ではアミティエSC京都や関学クラブが1年目から好調な戦いを見せている。上を目指していくには1年1年が勝負だという危機感を改めて実感する機会になった。