脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

【AOQLO企画】2009年ベストマッチ

2010年02月02日 | 脚で語るガンバ大阪
 AOQLO PEOPLEオフ企画、次は2009年ベストマッチ。このエントリーに関しては、唯一のタイトルである天皇杯決勝戦が挙がることは予想されるが、個人的には昨季の天皇杯はJ2勢と2度、そして大学勢と2度当たるなど組み合わせで恵まれた感が個人的には否めない。本エントリーでは、その試合の拮抗度や印象、両チームの実力、歴史的背景を考慮して第21節・万博で行われた浦和戦を是非推挙したい。

 

 実はG大阪がJリーグ開幕以来、16年に渡る通算戦績で最も拮抗した戦いを演じているチームのひとつが浦和である。2009年シーズンを終えてその通算対戦戦績はG大阪の15勝7分16敗(同様に柏、清水、広島とも非常に拮抗した対戦戦績である)。「ナショナルダービー」と称された昨今では、Jリーグ屈指の名カードして注目を浴びている。
 昨季の1度目の対決は埼玉スタジアムで0-0と引き分けに終わる。無論、両チームがリーグタイトルを争う盟主として激しくぶつかるのは想像に難くない。しかし、2度目の対戦となった万博での試合は、昨季のG大阪にとってその意味は大きかったように思う。

 ちょうどお盆の8月15日、満員の万博で迎えたこの試合。G大阪は泥沼の連敗トンネルを抜け出し、タイトル奪取への挽回に燃える時期であり、対する浦和はリーグ戦3連勝の後の3連敗で、軌道修正を図るべくライバルに挑んでくるという構図であった。試合は近年そのライバルとして火花を散らす両チームにとって予想通りの拮抗した展開を見せる。

 

 この試合は浦和GK・都築の前になかなかゴールを割れず、対して相手に押し込まれる展開もあり、非常にジリジリした試合だったが、個人的にはこの試合の勝利が後に退団するレアンドロ離脱の後遺症を最小限に抑えるための処方箋になったような気もする。
 87分にここまで3試合得点のなかったレアンドロに見切りをつけ、播戸を投入するG大阪。実は西野監督は、この浦和戦までのリーグ戦で得点を奪えていない状況下においてレアンドロを諦めることはなかった(12節の浦和戦で負傷による前半での交代あり)。最後の最後まで彼の決定力にすがってもおかしくない状況(実際彼の得点力は凄まじかったが)でのこの判断に結果論だが、昨季のG大阪の最初の分岐点を感じる。

 試合はその播戸が劇的な決勝点をロスタイムに叩き込み、万博を熱狂の渦へと導いた。最初のシュートがギリギリでクリアされたのにも諦めずボールに食らいつき、冷静にシュートを決めた。相手が浦和ということ以前に、この2シーズン苦しんでいた播戸に神様がチャンスを与えたような奇跡的な場面は、09年元旦の天皇杯決勝を思わせる感動的な場面だった。

 
 

 実力が拮抗したチーム、特に鹿島や浦和を迎えての万博での試合は、非常に印象に残る試合が多い。個人的には、万博で行われた00年シーズン1stステージ第14節・鹿島戦(●1-2)と05年シーズン第25節の鹿島戦(△3-3)に並ぶ強烈な印象を与えてくれた試合だと思う。そしてこの2試合と違って、勝利をしっかり収めることができたこの浦和戦をベストゲームとして天皇杯連覇の布石となったと考えたい。

【AOQLO企画】2009年ベストゴール

2010年02月01日 | 脚で語るガンバ大阪
 2月に入ったので、AOQLO PEOPLEのオフ企画である2009年シーズンMVP、ベストマッチ、ベストゴールをそろそろ。まずは、G大阪の2009年シーズンベストゴール。

 今季から新設されたこのベストゴール。なかなか選出が難しい。アーティスティックなゴールか、劇的なゴール、または試合運びの中で重要な1点となったゴールか。個人的にはやはりアーティスティックなゴールを持ってきたいところ。
 昨季のG大阪はシーズンを二分した際に前半戦はレアンドロ、チョジェジン。後半戦はルーカス、ペドロとコンスタントに在籍外国人選手が得点を量産している。その中でもシーズン通して遠藤の得点力は凄まじかったが。本エントリーでは、あえてチョジェジンを推したい。4節の万博で行われた広島戦、25分に見せた超絶なロングシュートだ。

 0-0で迎えた25分、G大阪が自陣からゆっくりパスを回し、右サイドライン際で橋本、寺田、レアンドロがパスをやり取りした後にハーフライン付近の遠藤へ。遠藤は前線のチョへ一気にパスを送る。その際に相手選手の遠藤に対するアプローチが甘く、おまけにチョに対してもほぼノープレッシャー。ストヤノフがアプローチに行くかと思いきや、中途半端な形でプレッシャーを止めてしまった。そんなことも相まってチョは悠々とターン。確実に狙えるとの公算があったのだろう。左足を一閃。鮮やかなシュートラインを描いたボールは相手GKの横っ跳びを尻目にゴールへ収まった。

 

 彼がまだ先発起用され、その好調さを発揮していた頃の得点で、開幕戦に続く2点目だったこともあり、印象深い。どちらかというとターゲットマンとして空中戦にその長所を発揮し、ポストプレーから相棒の得点をお膳立てするタイプのFW。シーズン前はどういう形でG大阪にフィットするのかという疑心暗鬼な部分も多かったことから、個人的にもスッキリした記憶がある。何しろ見ていて爽快そのものだ。しかしながら、シーズン通してこの活躍が彼から見られなかったのは何とも残念なところだが。

 おそらく、現在のG大阪においてはチーム一、二を争うイケメンプレイヤー。特に晴天の練習場でフォーカスに収まる彼の写真映えは群を抜いている。彼の残留を喜ぶ黄色い声援も多いのでは。それは別の要素として置いておくにしてもこの得点を昨季のベストゴールに推したい。不完全燃焼に終わった彼の真意が問われる2010年シーズンになろう。