脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

何度も同じ相手に負けられない -愛媛VS熊本-

2010年09月28日 | 脚で語るJリーグ
 岡山から一気に瀬戸大橋を通過して高松道、松山道を経て松山へ。同じくJ2第28節、ニンジニアスタジアムで行われる12位・愛媛VS6位・熊本を観戦。ここまで熊本に対する通算戦績で1勝2分3敗、天皇杯を含めた今季の2度の対戦でも連敗している愛媛がホームの意地を見せて2-0と快勝。貴重な3ポイントを宿敵・熊本から奪取した。

 

 オレンジに包まれたホームゴール裏(ニンジニアではメインから向かって右手)には、「同じ相手に何度も負けてたまるか!」という気合いの入った即席横断幕が掲げられていた。愛媛は15節から23節まで9試合勝利に見放されていたが、24節から札幌、岡山、そして四国ダービーのライバル・徳島を相手に3連勝。前節の栃木戦は競り負けたものの調子は上向きのようだ。その勢いで分の悪い熊本を撃破したい。そんな雰囲気は試合前から伝わってきた。

 
 熊本にはもう負けていられない!
 熱く試合前から盛り上がる愛媛ゴール裏。

 
 日曜のナイトゲームながらも熊本サポーターも集結。
 対愛媛3タテを狙う。

 試合は互いに一歩も譲らぬ攻防を前半から展開。熊本がサイドの宇留野、平木を軸に果敢に愛媛陣内に攻め込むと、愛媛は岡山戦から1年10カ月ぶりにカムバックしたGK川北に率いられて守備陣が集中。前線のジョジマールにボールを集めて好機を窺う。前半終了間際には愛媛・MF赤井が直接FKで熊本ゴールを狙うが、GK南のファインセーブに阻まれて前半をスコアレスで折り返した。

 
 熊本は3試合ぶりにカレンを先発起用。
 まだ今季は1得点のみ。ファビオとの連携でゴールを狙う。

 
 かつて京都のJ1昇格に貢献した愛媛・DF三上。
 その経験値をここに還元して3季目。

 
 熊本はファビオにボールを集める。
 ここを小原を中心に愛媛守備陣がケア。

 
 宇留野のドリブル突破は愛媛にとって脅威。
 最近の試合では得点も決めている。

 
 前半終了間際に愛媛はこのチャンス。
 赤井のFKは南のビッグセーブに阻まれた。

 後半に入ると愛媛にスイッチが入る。この熊本戦を四国ダービーのような位置付けで選手たちが認識していたのか、もう負けたくないという気迫を愛媛のプレーから感じる。47分に熊本DFが見せたGKからボールを受けてからの緩慢なボールキープに背後から愛媛・FWジョジマールが猛烈なプレス。ボールを奪い取ると左サイドを駆け上がって折り返した。これをエリア内でフリーになっていた大木が左足で直接ゴールに流し込む。地元を愛する34歳の今季初得点でニンジニアスタジアムのボルテージは上がった。

 
 後半早々に大木の得点で愛媛が先制。
 意外なことに今季初得点。

 
 中盤では田森の献身的なプレスが光った愛媛。
 広島ユース出身、昨季から愛媛に加入した選手。

 
 後半の愛媛の攻撃をサイドから牽引したDF関根。
 運動量豊富な攻撃参加で何度もクロスを見せる。

 
 ジョジマールは歩いている場面が少ない。
 常に攻守にピッチを縦横無尽。頼れるエース。

 
 
 
 67分には関根のシュートがGKに阻まれたところに杉浦が反応。
 巧みなワントラップからDF3人を置き去りにしてシュートを決める。

 この追加点の場面はジョジマールがエリア前で粘ってボールキープしたことで熊本守備陣が完全に釣り出され、右サイドで関根がフリーで豪快にシュートを打つ余裕があった。熊本・GK南はとっさのパンチングで難を逃れるもそのボールの先には杉浦がいた。愛媛は後半のほとんどを熊本陣内で展開。試合を決定づける素晴らしい2点目だった。

 
 熊本はベテラン藤田を投入するも反撃には繋がらない。

 
 数少ない自陣のピンチにもジョジマールが渾身の守備を見せる。
 この神出鬼没ぶりにはビックリ。

 
 主将・赤井は愛媛一筋7シーズン目。
 川北と並んでチームの象徴ともいえる選手。

 
 
 86分にはジョジマールに代わって福田が登場。
 少ない出場時間にも関わらず気迫漲る全開のプレー。
 
 
 ここで勝利すれば一歩中位陣を抜け出せた熊本。
 浦和から加入の堤の奮闘も虚しく…

 
 バルバリッチ監督は何度もピッチに向かって指示を飛ばす。
 選手時代はユーゴ五輪代表としてオシム監督の下でプレーした。

 試合は後半の2得点で熊本を沈黙させた愛媛の完勝。運動量が落ちていく熊本を尻目に見事なパスワークを見せた。これでホーム・ニンスタでは3連勝、続く水戸、岐阜に連勝すれば1ケタ順位も近い。ホームスタジアムの改修問題など今後のクラブの飛躍が問われるJ参戦5年目のシーズン。愛媛のラスト10試合に注目したい。
 対する熊本は4位・千葉、5位・東京Vを追走する意味では痛い1敗。得意の相手に勝負強さを発揮できなかった。次節は福岡との九州勢対決。3連敗だけは避けたいところだ。

 
 数字的にはJ1昇格への可能性もある熊本は痛恨の1敗。
 ここから快進撃はあるのだろうか。

 
 宿敵に勝ってホーム3連勝。
 詰めかけたサポーターは満足の試合だっただろう。


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