脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

シュールな大会、スルガ銀行チャンピオンシップ

2008年07月29日 | 脚で語るJリーグ
 明日30日に大阪・長居スタジアムで「スルガ銀行チャンピオンシップ2008OSAKA」が開かれる。昨年のJリーグヤマザキナビスコカップの王者G大阪とコパ・スダメリカーナの王者であるアルセナルFC(アルゼンチン)のタイトルマッチだ。

 4月17日に、当ブログでもアルセナルFCの紹介を兼ねて、今大会のぼやけた存在意義を問うべく趣旨のエントリーを書いた。大阪府サッカー協会がチケットをばら巻き出したこの7月辺りから、やはりこの大会の存在意義には個人的にも甚だ懐疑的で、30日にどれだけの方が長居スタジアムに足を運ぶのかと考えるとこれは心配。もう1度この大会の是非を考えてみたい。存在意義というよりも、開催コンセプトも含めた開催地への言及と表現すべきか。

 数少ないメリットとしては、国際試合として良い経験が積めるとは思う。これも一つの“タイトル”として考えるなら勝ちに行くべきであり、ここで若手中心のメンバーで臨んだとしたら、遙々地球の裏側からやって来たアルセナルにも失礼極まりない。せめてもの救いは、リーグ真っ最中のこの時期に土日の試合が組み込まれてないことは選手のコンディションを考えれば助かったと言えるだろう。

 同時にいろいろ考えさせられる側面もある。前回エントリーに書き込んで頂いたコメントを参照にすれば、今回来日するアルセナルFCをイングランド・プレミアリーグのアーセナルと勘違いされている方もおられるようで、この試合の趣旨を良く分かっておられない方もたくさんいらっしゃるようだ。“何でG大阪が長居でアーセナルと対戦するの?”という感じだろうか。アーセナルが来るのならハコは長居でも足りない。万博で今回の対戦を特集したエル・ゴラッソがばら巻かれるのも頷ける。
 要は、“タイトルを懸けた国際試合”という趣旨があまりにも希薄で、プレシーズンマッチ程度の認識しかもたらしていないようだ。4月14日に発表された田嶋幸三日本協会専務理事の記者会見コメントでは、あくまで日本サッカー協会と南米サッカー協会の親善、友好のためだとしか語られておらず、日本の一方的なマッチメイクであったことは否めない。
 そして、コパ・スダメリカーナの関係で日産がメインスポンサーになるかと予想していたが、蓋を開けると「スルガ銀行」がメイン冠スポンサーとなった。これがまた関西では馴染みのないものだから余計「?」が付くわけだ。よほどのG大阪サポーターか南米サッカーフリークしか試合の内容を理解しておらず、実際スタジアムに足を運ぶのもその辺りの客層がメインとなるだろう。告知用のポスターや様々な媒体で特集が組まれているが、これで1万人超えすれば大したものだと言える。もちろん主管である大阪サッカー協会の総動員、松下の総動員は避けられない。

 ただ、それなら会場は万博でも良いわけで、ロイヤルボックスや表彰スペースが無いことよりも、スタンドに閑古鳥が鳴く方が格好はつかないのではないだろうか。表彰台などパンパシの時のようにピッチに仮設の台を組めただろうに。 
「ナビスコカップで優勝したチームの、近隣にある最も世界的なスタジアムでやるということで、この長居スタジアムで今回は行われることになりました。今後も優勝チームの近いスタジアムを使って試合を行っていきたいと思っています。」 (田嶋幸三日本協会専務理事の記者会見コメントより)
つまり、日本協会の面目のために、端から万博の使用が否定されていたのだ。これが首都圏のチームなら国立競技場を使えば万事は済む話。これが関西になると長居スタジアムしかないわけで、そのおかげでC大阪が2度に渡って日本協会に会場変更を求めている経緯もある。
 万博が使用できないのは百歩譲って認めるとすれば、そんなライバルチームとの遺恨を残してまで、関西で行うべきだったのか。完全な中立スタジアムならともかく、長居でG大阪がトロフィーを掲げるのはちょっと・・・という気持ちはおそらく多くの方が抱いているはずだ。皮肉にも過去にG大阪は長居を使用して親善試合の画策を練っていたことがあり、C大阪の猛反対を受けたが、今回のこの大会が、新スタジアム建設の構想を早めたと言えるだろう。

 とにかく開催前日に愚痴っても遅い話で、この大会が4年を待たずにポシャることがないことを祈るばかりだが、それより長居に何人入るのか・・・
 昔ほど南米クラブとのプレシーズンマッチが行われることが少なくなった昨今、対戦カード的には面白いのだが・・・

 今回の大阪開催は、そういう意味でも“奇抜且つ非日常的”な試合。シュールに富んだ大会と言えそうだ。 


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