脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

勝ち点7差の群雄割拠

2007年06月19日 | 脚で語るJリーグ


 首位をひた走るガンバのこともリーガのこともさて置き、今夜は徒然なるままにここまでのJ前半戦を勝手に独自の視野で振り返るとしてみる。
 ガンバ以外を見れば、ここ近年のごとく浦和を中心として上位チームの勝ち点状況は団子状態であるわけだが、何しろ15節終了時点で2位浦和と12位神戸までの勝ち点差がわずか7というのが、それぞれのチームの不安定さと拮抗したリーグの実力を如実に物語っている。
 ガンバが5月イマイチ波に乗り切れなかったということがあったが(それでもリーグは負けていない!)、それでも圧倒的に安定した力を発揮しているだけに、いざ他のチームの現状をを見てみるとその不安定さが気にかかる。

 まずは浦和。昨季の王者はその宿命ともいえる過酷なスケジュールに耐えているが、正直ホームで勝てなくなったことが最大の誤算だ。いや、誤算でもない。あくまで必然的にこのリズムはやってきたのだろう。過酷なスケジュールに並んで、その浦和に負のリズムを生み出したのは、堅守速攻でもポゼッションでもない今季の浦和が実に曖昧で煮え切らないサッカーをしていることに起因される。
 度重なるシステム変更で、チームのファンデーションが構築されなかったことも要因として挙げられるだろうが、何よりもDF登録の選手が6人しかいないチームで4バックを構成したり、今年のオジェックはチームを見極めるのに時間がかかり過ぎた感が否めない。ここにきて田中達也が復帰し、相馬も左サイドに定着したことで徐々に運動量の多いポゼッションサッカーが見えてきた感もあるが、A3でズルズルにやられたのがつい数日前だということを忘れてはいけない。何しろあんなテスト布陣著しい戦い方をアジアで堂々とするのだから、中国と韓国の3チームも舐められたものだ。特に初戦の山東戦で敷いた4バックは到底リーグ戦にフィードバックできたものではない。
 田中達也の重要性が前節FC東京戦で明確に見えた浦和が、安定したチームになる可能性は十分ある。だがしかし、15節を迎えたこの時期にでは遅すぎるのが正直なところであり、それほど選手層が厚くない浦和はこれからACL決勝トーナメントを迎えるわけだ。苦しむのはこれから。この時期になって選手の見極めができてからでは少しばかりか首位ガンバとの勝ち点差10(実質は7)以上に総合力に差があるのは明確だ。

 柏と川崎が調子を崩してきた。負けが込んでいる訳ではないがどうも勝てていない。柏のこの展開は十分予想の範疇内で、J2から昇格して1年目で一気に勝ち続けたリバウンドがトータルにチームとして噴出してきた印象だ。このチームもフランサと李や菅沼あたりに仕事をさせなければ正直怖くない。何よりもフランサがかなり研究されてきて、序盤戦ほどチームに貢献できていない。前がかりになる選手が比較的多い柏が一気にカウンターで崩されるシーンが増えてきている。研究されてきた柏が今後勝ち続けるには、組織だったプレーにもう一度回帰して、堅実に相手を陥れるサッカーをしなければならないだろう。
 川崎も過密日程に苦しみながら、中盤の元気の無さが前線にも蔓延してきた印象を受ける。自慢の3バックと中盤の底(特に谷口)の疲れか、どうもこれまで見せてきたダイナミズムが見えない。マギヌンとジュニーニョが抜けてしまえば得点も奪えない。代役の大橋もコンスタントに活躍できず、このままではACLも苦しい決勝トーナメントになるのではないだろうか。川崎は更なるブラッシュアップを求められている。

 マルシオ・リシャルデスが大活躍する新潟の復調は怖いと感じる。中盤の構成力がアップし、何よりも失点を食らっても動じることなく自分たちのリズムで得点を奪いにいくサッカーが備わってきた。千葉がボランチに抜擢され、本間と共に形成する中盤の底は混乱を招く前に攻守をリカバリーし、新潟の生命線にもなっている。引いたチーム、カウンターを主としたチームにはよりその戦い方が功を奏している印象だ。逆に攻撃的に来られるとそこまで強固でない守備に破綻をきたす紙一重のチームでもあるともいえる。エジミウソンがノッてくれば更に良くなるだろう。

 まだ、リーグは中盤に差し掛かったところ。何よりもアジアカップの中断後にそれぞれのチームがどう課題点を修正してくるかも興味深いところであり、ガンバを追走するチームとしてどこが名乗りを挙げてくるか。
 意外と浦和だけじゃないかもしれない。いや、浦和以外で占められる可能性も十分にあり得る。

 まさに群雄割拠の「勝ち点7差」である。楽しみだ。


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