脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

奈良から全国へ、4年目の挑戦

2011年04月06日 | 脚で語る奈良クラブ
 前日、述べた関西リーグのDiv1に昇格して2年目、チームスタートから4年目のシーズンに挑もうとしている奈良クラブ。目標はもちろんリーグ制覇、全国地域リーグ決勝大会への出場だ。吉田悟新監督を迎えて新たにクラブは4月から午前練習へ移行。精力的な練習試合では、社会人、大学、JFL勢を相手に、8戦負けなしとある程度の手応えを見出しているといえる。「5年でJ参入」という高い目標が掲げられた今季はその重要な1年目。非常に厳しいリーグをいかに戦っていけるだろうか。新戦力を中心にチェック。

 今季の新戦力は6名。J2徳島から加入したGK日野を中心に期待できる選手たちが新たな選手人生の舞台に奈良を選んでくれた。
 GKの日野は既に説明不要の経歴。2001年から2006年までG大阪に在籍し、Jリーグ優勝を経験。岐阜のJFL昇格にも貢献し、Jからこのカテゴリーまでを知り尽くした男の存在は、現状のチームにとってこれ以上ないプラス要素。練習試合では2度のPKストップを見せてくれるなど、早くもその能力の高さを披露している。しかし、彼しか現状で登録されているGkがいないのは大きな不安要素。いち早いバックアップ陣の補強が急務となっている。

 
 G大阪、岐阜、徳島と渡り歩いた日野の加入は大きい。
 PKストップに絶対の自信を見せるその安定感を既に発揮。

 これまで新人王、ベストイレブン、アシスト王と個人タイトルを毎年獲得していた畑中の電撃退団は新たなスタートを切るチームにとって痛手だった。しかし、8年ぶりに奈良へ帰還した吉田の存在がこれをしっかり払拭してくれそう。スピードに長けた突破力とサイドからの鋭利なクロスは新たな得点時のツールとなっている。

 
 かつてJでもプレーした吉田が新たなサイドアタッカー。
 アシスト王を十分狙える存在感。

 前線には頼りになる2人の「辻村」が加入。かつて阪南大クラブ在籍時に関西リーグDiv2で得点王とベストイレブンを獲得した兄の剛史と、関西学生2部リーグの大阪商大で活躍していたレフティーである弟の隆史。背丈もほとんど一緒のこの2人が運動量豊富に前線を駆け回ってくれる。

 
 FC大阪から加入の辻村剛史。
 関西リーグでは阪南大クラブやアインでも活躍。

 
 プレスキッカーとしても器量を見せる辻村隆史。
 是非とも兄弟で得点レースを期待。

 この2人に加えてもう1人、徳島セカンドでプレーしていた黒田が加わっている。まだ合流して間もないが十分戦力として活躍してくれるはず。主戦場はボランチになるか。守備面では駒澤大から谷山が加入。空中戦に強く、練習試合ではその存在感を披露。派手さはないが既存の選手とのコミュニケーションも問題なさそうで、将来的に守備面のリーダーとして期待したい選手だ。

 
 黒田も小柄ながら中央にサイドに神出鬼没。
 中盤のレギュラー争いは熾烈を極める。

 
 谷山は駒澤大でG大阪の金ともチームメイトだった。
 カテゴリーは違えど、谷山もここで奮闘を期待。

 退団選手が11名(未発表選手2名)ということを考えれば、差し引きでも決して選手層は厚くない。確かに戦力的にスリム化したが、ここは現状のチームにおいて最も憂うべき点だ。むしろ上を目指すならば、積極的にシーズン中でもセレクションを実施していくべきだと思う。
 とにかく開幕までもう間近。毎週毎に進化の見えるチームに今季は期待したい。