脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

2010年終戦

2010年11月07日 | 脚で語る奈良クラブ
 KSLカップはこの週末に予選のグループリーグが最終節を迎えている。奈良クラブはルネス学園甲賀と対戦。既にKSLカップはここまでグループリーグ2連敗で予選敗退が決定しているが、最終節を1-0で勝利して、今季の全日程を終えた。

 この試合では、期待の若手・19歳の日置がFWで先発出場するなど来季を見据えた選手起用。過去の戦績からすれば、4試合で29得点が飛び交うノーガードの「撃ち合い」が定番だったルネスとの対戦カードだが、この日は拮抗した試合展開。和阪のゲームメイクからサイドを金城、畑中が崩して檜山がフィニッシュを狙うという流れに繋げたいところ。しかしながら、23分に梶村が不用意なファウルを厳しく一発退場と判定されて、前半の中盤から10人の戦いを強いられることとなった。

 
 前半45分のプレーだったが、ゴールを狙った日置。
 積極性のあるプレー。

 奈良クラブと共に1部昇格1年目のシーズンだったルネス。1年生が多いこともあり、リーグでは残念ながら1年での2部降格が決定してしまったが、この日は同じく今季最後の試合とあってファイト溢れる戦いを仕掛けてきた。リーグ戦のように簡単に自分たちのサッカーをさせてもらえない。

 
 ケガから復帰した畑中の存在は大きかったが…
 後半に同じ箇所を痛めて無念の途中交代。

 スコアレスで折り返した前半。何よりもDFを1人欠いて、無失点で切り抜けていることは及第点だった。前述の通り、ルネスとは点の取り合いになる試合が多い。現に今季のリーグ第3節(@奈良フットボールセンター)では冷や冷やもののシーソーゲーム。加えてシーズンを疾走してきたチームの疲れが色濃く見えるこのカップ戦の戦いぶりでは1失点でさえ十分致命傷になる。勝つためには1点を先行して逃げ切るのがベスト。最終戦ともあって何とか勝って終わって欲しいという思いが強かった。

 
 万全な状態で過ごせた訳ではなかったが、
 和阪のプレーは終盤戦で本当に頼りになった。

 53分に右CKから相手のクリアボールをエリア手前で拾った檜山がシュートを決めて奈良クラブが先制。少し試合展開を楽にさせてくれた1点は、今季のチーム得点王によるものだった。この後も追加点を狙うが、ルネスの好守に1点が遠い。しかし、守備面では珍しく(?)無失点で試合を切り抜けた。1-0というスコアは今季を通しても初めてのこと。「ウノ・ゼロ」の美学とは遥かに無縁なチームだが、この勝ち方を最後の試合に見せてくれたことは嬉しい。

 
 貪欲にゴールを狙う姿勢が結果に。
 今季の活躍で檜山は代えの効かないエースに。

 リーグ終盤からなかなかベストメンバーが揃わなかった感がある奈良クラブ。それを象徴するかのようにチームの戦績もシーズン終盤は下降路線を辿ってしまった。限られた練習環境の中でシーズン通しての結果を追いかけるのは非常に難しいことを実感したカップ戦。昨季はラランジャの前(0-3で2回戦敗戦)に1部の壁の高さを実感したことを考えれば、今季は「地域1部、関西で戦うこと」の壁の高さを改めて感じたカップ戦となった。

 
 ルーキーとは思えないプレーでチームを支えた眞野。
 来季は今季以上にチームを引っ張る存在として期待。

 これで奈良クラブの2010年シーズンの戦いは終わった。上を目指していくチームならば、ここで満足してはいけない。他の地域クラブは日に日に強くなっている。それを実感できる関西リーグという土俵で戦えていることはチームにとっては大きな幸せなのかもしれない。来季はもっとチームとして強くなっていくためにもしっかりとした準備を今からしていきたいところだ。