第89回全国高校サッカー選手権奈良大会は決勝を迎え、橿原公苑陸上競技場で初の決勝進出となる香芝高校と3年連続の選手権出場を目指す一条高校が対戦。試合は1-0で香芝が勝利し、初の選手権出場と同時に平成12年第79回大会における耳成(現:畝傍)以来、奈良育英、一条の2強態勢を打ち破る快挙を達成。全国の舞台へ挑むこととなった。
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初の決勝進出は奈良育英を破って。
0-0からPK戦を制しての決勝進出となった香芝。
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ここで勝てば3年連続の選手権出場。
奈良育英に代わって県内最強を誇示したい一条。
お互いの大応援団の歓声を背に受けて、前半から試合は一条ペース。これに準決勝の奈良育英戦で発揮した守備力を香芝が見せつける。一条はこの大会ここまでほとんどの得点を挙げている点取り屋のFW喜寅、そして司令塔の奥を中心に攻撃を仕掛ける。香芝のDF陣はセンターの藤岡成と高砂の2人が3年間不動のコンビで組織的な守備の中心になっており、2回戦の生駒戦以来337分間無失点。前線こそ3トップだが、きっちりと高い位置から個々に一条のポゼッションに噛みついていった。
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攻め込んでもなかなか決定機を得られない一条。
オレンジの壁・香芝の守備陣が立ちはだかる。
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香芝の最後尾にはGK山本(3年)が鎮座。
全く焦ることなくゴールを守る。
一条は攻めども攻めどもゴールが遠い。時にダイレクトパスを織り交ぜ、またCKなどのセットプレーから香芝ゴールを目指す。15分には右サイドから突破し、FW喜寅がシュートを放つも至近距離で香芝GK山本がファインセーブ。香芝は一条の攻勢になかなか攻撃に転じられないが、「まずは守ってワンチャンス」ということであれば、一条をほぼ完璧に防いでいたといえる。
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一条のエース・FW喜寅(3年)。
視野が広く、ワンタッチプレーも得意な選手。
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香芝の濱武(2年)と一条の藤下(3年)がマッチアップ。
両チームともこの2人のサイドバックの動きが目立った。
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「ワンチャンスさえあれば俺が」
といわんばかりに前線に張る香芝FW藤野。
なかなか攻撃が実を結ばない一条だったが、そこは6年連続でこの県大会決勝を戦っている強豪。決して焦らず、じっくりボールを繋ぐ。対して香芝は最終ラインからのロングフィードを軸に藤野、浅野、山野の3トップが一条の最終ラインとGKの間のスペースを狙った。31分にはスルーパスに藤野が走り込んでシュートを放ったが惜しくもゴールならず。32分には香芝が山野に代えて森田を投入して早めに前線の新陳代謝を促す。33分には一条が喜寅のチャンスメイクから右サイドからの折り返しをファーでMF板谷がヘディングシュート。ゴール前でMF奥が合わせようとしたがわずかに合わない。拮抗する試合は、両チーム共に先制点を奪えず、前半は0-0で折り返すこととなる。1点を争う戦いが予想された。
後半に入ると、香芝は前半のうちに投入した森田を下げて1年生のFW吉本を入れてくる強気の采配。後半の立ち上がりには同じ1年生のMF藤岡雅の中距離の直接FKを蹴らせるなど、思い切りの良さが目立つ。すると、44分に一条陣内でボールを奪った香芝は、一気に一条の守備ラインの裏を狙って浅野に預けようとする。ここは一条のDFが何とかタッチラインに逃げるが、ここから香芝はワンチャンスをモノにする。最初のスローインで再び浅野に預けると、相手DFに囲まれながらも浅野は粘って再び香芝ボールのスローインをゲット。これをDF北相模がインすると、浅野が受けて背負っていた2人のマーカーの間を抜けてエリア左から中央へ。ここに詰めていた吉本が直接右足で決める。待望の先制点は香芝。主将・浅野の粘りが生み出した貴重な1発だった。
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貴重な先制点を生み出したのは浅野、吉本のライン。
歓喜の抱擁を背にアシストの主将・浅野は気合の咆哮。
一瞬の隙を突かれた一条。前半の戦いぶりを見ればまだ彼らにも好機はあった。前半あまり見られなかったロングボールも使ってここから再び立て直す一条。前半以上に守備面で集中力を増す香芝。見逃せない展開が続く。
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一条のプレスキッカー、司令塔として引っ張る奥(3年)。
後半は彼から幾度かチャンスを作るが…
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香芝はGK山本が最後まで集中を切らさない。
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残り時間はアディショナルタイム3分。
香芝はボールキープで時間を消化したい。
1点をリードした香芝だったが、一条は喜寅、奥、京都ユース出身の中野を中心に果敢に攻め続ける。これを守護神山本中心に凌ぎ続けた香芝、目の前までタイムアップが迫った試合は既にアディショナルタイム3分を提示していた。とにかく早く終わって欲しいと言わんばかりのスタンドの関係者の浮足立つ声にならない声援。一条陣内でマイボールになればコーナー付近でキープして時間を使う香芝。そのまま80分間を戦い抜き、遂に初の全国選手権出場の切符を掴んだ。
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そして、遂に80分のタイムアップ。
香芝、悲願の選手権出場決定!
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80分間声援を止めなかった応援席へウイニングラン。
どのチームでも素晴らしい光景。
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1年生を積極起用する強気の采配が光った米原監督。
香芝イレブンによって宙に舞う。
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ここまで4試合で31得点と強さを見せてきた一条。
まさかの悔し涙。
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新人戦、インターハイ予選で共にベスト4の香芝。
その総括としてのこの結果。いざ、国立へ。
冒頭にも述べたように、奈良県高校サッカーの歴史を変えたと言っても過言ではない香芝の快挙。もはや奈良育英、一条の2強時代が終焉を迎えているとも感じさせてくれた。この香芝以外にもここ数年、法隆寺国際や生駒といった公立勢の躍進も目立つ。来年以降の高校サッカーの県内勢力図はどのように変わっていくのか楽しみになってきた。
ただ、奈良県勢は全国選手権では近年躍進といえるような戦績は挙げられていない。香芝は初出場。名声に失うものは何もない。非常に厳しい舞台となるが、冬の全国の舞台で目一杯この堅い守備力を披露して欲しい。
香芝高校の皆さん、おめでとうございます。
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初の決勝進出は奈良育英を破って。
0-0からPK戦を制しての決勝進出となった香芝。
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ここで勝てば3年連続の選手権出場。
奈良育英に代わって県内最強を誇示したい一条。
お互いの大応援団の歓声を背に受けて、前半から試合は一条ペース。これに準決勝の奈良育英戦で発揮した守備力を香芝が見せつける。一条はこの大会ここまでほとんどの得点を挙げている点取り屋のFW喜寅、そして司令塔の奥を中心に攻撃を仕掛ける。香芝のDF陣はセンターの藤岡成と高砂の2人が3年間不動のコンビで組織的な守備の中心になっており、2回戦の生駒戦以来337分間無失点。前線こそ3トップだが、きっちりと高い位置から個々に一条のポゼッションに噛みついていった。
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攻め込んでもなかなか決定機を得られない一条。
オレンジの壁・香芝の守備陣が立ちはだかる。
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香芝の最後尾にはGK山本(3年)が鎮座。
全く焦ることなくゴールを守る。
一条は攻めども攻めどもゴールが遠い。時にダイレクトパスを織り交ぜ、またCKなどのセットプレーから香芝ゴールを目指す。15分には右サイドから突破し、FW喜寅がシュートを放つも至近距離で香芝GK山本がファインセーブ。香芝は一条の攻勢になかなか攻撃に転じられないが、「まずは守ってワンチャンス」ということであれば、一条をほぼ完璧に防いでいたといえる。
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一条のエース・FW喜寅(3年)。
視野が広く、ワンタッチプレーも得意な選手。
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香芝の濱武(2年)と一条の藤下(3年)がマッチアップ。
両チームともこの2人のサイドバックの動きが目立った。
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「ワンチャンスさえあれば俺が」
といわんばかりに前線に張る香芝FW藤野。
なかなか攻撃が実を結ばない一条だったが、そこは6年連続でこの県大会決勝を戦っている強豪。決して焦らず、じっくりボールを繋ぐ。対して香芝は最終ラインからのロングフィードを軸に藤野、浅野、山野の3トップが一条の最終ラインとGKの間のスペースを狙った。31分にはスルーパスに藤野が走り込んでシュートを放ったが惜しくもゴールならず。32分には香芝が山野に代えて森田を投入して早めに前線の新陳代謝を促す。33分には一条が喜寅のチャンスメイクから右サイドからの折り返しをファーでMF板谷がヘディングシュート。ゴール前でMF奥が合わせようとしたがわずかに合わない。拮抗する試合は、両チーム共に先制点を奪えず、前半は0-0で折り返すこととなる。1点を争う戦いが予想された。
後半に入ると、香芝は前半のうちに投入した森田を下げて1年生のFW吉本を入れてくる強気の采配。後半の立ち上がりには同じ1年生のMF藤岡雅の中距離の直接FKを蹴らせるなど、思い切りの良さが目立つ。すると、44分に一条陣内でボールを奪った香芝は、一気に一条の守備ラインの裏を狙って浅野に預けようとする。ここは一条のDFが何とかタッチラインに逃げるが、ここから香芝はワンチャンスをモノにする。最初のスローインで再び浅野に預けると、相手DFに囲まれながらも浅野は粘って再び香芝ボールのスローインをゲット。これをDF北相模がインすると、浅野が受けて背負っていた2人のマーカーの間を抜けてエリア左から中央へ。ここに詰めていた吉本が直接右足で決める。待望の先制点は香芝。主将・浅野の粘りが生み出した貴重な1発だった。
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貴重な先制点を生み出したのは浅野、吉本のライン。
歓喜の抱擁を背にアシストの主将・浅野は気合の咆哮。
一瞬の隙を突かれた一条。前半の戦いぶりを見ればまだ彼らにも好機はあった。前半あまり見られなかったロングボールも使ってここから再び立て直す一条。前半以上に守備面で集中力を増す香芝。見逃せない展開が続く。
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一条のプレスキッカー、司令塔として引っ張る奥(3年)。
後半は彼から幾度かチャンスを作るが…
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香芝はGK山本が最後まで集中を切らさない。
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残り時間はアディショナルタイム3分。
香芝はボールキープで時間を消化したい。
1点をリードした香芝だったが、一条は喜寅、奥、京都ユース出身の中野を中心に果敢に攻め続ける。これを守護神山本中心に凌ぎ続けた香芝、目の前までタイムアップが迫った試合は既にアディショナルタイム3分を提示していた。とにかく早く終わって欲しいと言わんばかりのスタンドの関係者の浮足立つ声にならない声援。一条陣内でマイボールになればコーナー付近でキープして時間を使う香芝。そのまま80分間を戦い抜き、遂に初の全国選手権出場の切符を掴んだ。
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そして、遂に80分のタイムアップ。
香芝、悲願の選手権出場決定!
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80分間声援を止めなかった応援席へウイニングラン。
どのチームでも素晴らしい光景。
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1年生を積極起用する強気の采配が光った米原監督。
香芝イレブンによって宙に舞う。
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ここまで4試合で31得点と強さを見せてきた一条。
まさかの悔し涙。
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新人戦、インターハイ予選で共にベスト4の香芝。
その総括としてのこの結果。いざ、国立へ。
冒頭にも述べたように、奈良県高校サッカーの歴史を変えたと言っても過言ではない香芝の快挙。もはや奈良育英、一条の2強時代が終焉を迎えているとも感じさせてくれた。この香芝以外にもここ数年、法隆寺国際や生駒といった公立勢の躍進も目立つ。来年以降の高校サッカーの県内勢力図はどのように変わっていくのか楽しみになってきた。
ただ、奈良県勢は全国選手権では近年躍進といえるような戦績は挙げられていない。香芝は初出場。名声に失うものは何もない。非常に厳しい舞台となるが、冬の全国の舞台で目一杯この堅い守備力を披露して欲しい。
香芝高校の皆さん、おめでとうございます。