脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

バレー以外が問題??

2007年09月30日 | 脚で語るJリーグ


 ロスタイムは4分、それを3分ほど過ぎた頃、バレーの劇的なシュートがネットを揺らすとズブ濡れになっていることも忘れ、スタンドは誰もが狂喜乱舞した。0-0でのゲーム終了が濃厚となり、皆の頭の中には首位浦和との勝ち点勘定が自然と湧き出ていたはずだ。もうダメか・・・ここで勝てないことは優勝に大きくのしかかることが万博に集まった全てのサポーターの共通認識であった。

 前半から、ガンバはポゼッションを握りながらも攻撃が単調になり過ぎていた。この日は乗り切れていない左SB安田に代えて橋本を起用。倉田が中盤の底で明神とコンビを組んだ。二川と遠藤が何度もポジションを変えながら攻撃陣を牽引するが、やはり練習中に膝を痛め、この日のスタメンも危ぶまれていたバレーの動きも重く、思うように大分を崩せない。フィニッシュに持ち込むまで時間がかけさせられ、奪われたボールから大分にカウンターを誘発させる展開であった。
 その大分も現在は残留争いの最中にある。深谷、森重、藤田という新生シャムスカ3バックが必死にガンバの2トップを抑えにかかる。ここ万博ではガンバに相性のいいシャムスカ大分は守り切った後の梅崎、鈴木、高橋を中心としたその素早いカウンターで勝機を見出そうとしていた。

 0-0で迎えた後半最初から、決定的なシュートを放つなど攻撃面では貢献しながらも守備面でどうもフィット感に欠けていた倉田に代え、家長というお馴染みのジョーカーがピッチに現れる。それを予測したか、大分は梅崎をあきらめ上本を投入して守りをさらに固める様子であった。大分はガンバをよく研究してきたなという感じであったが、結果的に彼らのシュートは2本だけと守備面で崩される心配は無かった。DF陣はこの日も山口、シジクレイを中心によく集中していた。やられるならその要因はガンバのミスからというのが最も怖かったところだ。
 結果、後半からコンディションの回復が見られたバレーを大分は捕まえ切れずに劇的なゴールは生まれるのだが、正直冷静に振り返れば、この日のゲームは双方ともに目立った活躍をする選手もなく、殊勲の決勝点を挙げたバレー以外で勝利の立役者を探すのは非常に難しい。逆にチームの問題点も新たに浮き彫りになったというのが本音だろう。

 評価点を付けるなら、加地は及第点には程遠い。前半、自陣で相手を背後に背負いながらの局面で軽い対応が目立った。また、前線に顔を出す機会が少なく、加地にボールが出たとしてもアタッキングサードまで積極的に自分で攻め入る姿勢が見られない。おまけにクロスはフリーのバレーにノープレッシャーで合わせられらないなど目を覆うシーンが見られた。
 倉田はできればもう一列前で勝負させたい。ボランチの位置ながら、縦への意識が強く、自分でフィニッシュに持ち込める選手だ。前半も強振したミドルシュートがあわやという場面もあった。明神とのバランスの攻守の切り替え時に苦しむことが多く見られた。中盤をひし形にして、二川のトップ下、明神のワンボランチ、左右のサイドアタッカーで遠藤、倉田の両翼というのも面白いかもしれない。ただ前で二川と遠藤が目まぐるしくポジションチェンジを繰り返す現状では、その布陣の可能性は低いのだが。
 こうなると頭を抱えるべき問題は橋本の左SBだ。良くもなく悪くもなく、ただやはり右利きの選手だけにゴールの背を向けて右足でファーストタッチした時の前への意識は薄い。また、だからといって決定的なクロスも期待できないので、ただのバランサーに終始してしまっているのが気にかかる。
 家長も自分のリズムが明らかに攻撃に停滞感を生んでいるのが大半で、シンプルさをもっと持ち合わせるべきだ。大分戦では後半45分間プレーしながら、ラスト5分ほどで投入された寺田がチャンスボールを積極的に放り込んだのと実に対照的であった。

 とにかくバレーに救ってもらったといって過言ではない。他力本願はまだ続くが、ピッチの中で勝つためのサッカーをするのは選手。もう少しダイナミズムを兼ね備えて残るゲームを勝ち続けるべきだ。