脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

プロフェッショナリズムの差 ~神戸VS名古屋~

2007年09月23日 | 脚で語るJリーグ


 すこぶる猛暑日が続く今日は神戸へ。J126節の神戸VS名古屋のゲームを観戦。会場は神戸ユニバー記念陸上競技場。
 
 阪神高速は3号神戸線が渋滞が恒例のため、5号湾岸線を使うのが神戸方面へは常套手段であり、山麓バイパスと西神戸有料道を併用すればホムスタとそんなに車のアクセスにおいて利便性は変わらない。未だ個人的に神戸はユニバーが良く似合うと思うのだが、ここを一杯にすることができないのは悲しいかな東高西低際立つ日本サッカーファン事情を物語る。まあ余談はここまでにして、肝心のゲームは予想外の展開を迎えることとなった。

 5連敗で勢いのない神戸は前節千葉に惨敗を喫し、地元で名古屋を迎え撃つことなになったのだが、その名古屋は前節ホームで格上の鹿島に快勝した勢いそのままで好調さをキープしてくるかと思えた。
 しかしながら、キックオフから試合は神戸がよく繋ぎポゼッションを握る。名古屋は藤田がベンチスタート。大森、米山、阿部の3バックに山口を中盤の底に配置する3-1-4-2といえるような布陣。流動性に欠け、チーム全体が重い様子。前線の玉田と杉本はほとんどボールに触れず、縦への意識も希薄で全く攻め込める雰囲気がない。中盤で自在にボールを散らすボッティに手を焼き、無駄なファウルを繰り返す展開。とてもじゃないが同じカテゴリーで戦い、名古屋の方が順位が上とは思えなかった。厳しい言い方をするとプロのサッカーではない。神戸相手に37分までシュートがゼロだったこの不甲斐無い名古屋にとってはその後の展開は当然でもあった。
 神戸はJ2福岡から途中加入の古賀が初先発。開始早々から効果的なクロスを放つなどチームへのフィットは問題ないようだ。出場停止が明けたボッティと田中でコンビを組む中盤は息が合い、また古賀の加入でFWとしてようやく勝負できる大久保が序盤から元気で、レアンドロとの連携も悪くないところを見せていた。
 開始早々の5分に神戸はCKからゴール前の混戦を栗原が決め、立ち上がりからこのゲームの方向を決定づけた。失点後の名古屋は何も変わらず、リズムを変えようという選手が出てこない。バックラインでボールを回すことだけは一流なようだ。
 大久保にはゴールの匂いが序盤からしていた。何しろボッティから彼にチャンスボールが供給され、このゲームの主役は彼になるだろうと早くから予感していた。38分にはその大久保が名古屋DF陣の裏に抜け出し、難なくシュートを決める。名古屋は中盤からのプレスがあまりにイージーで危機管理能力がない。DF陣は崩壊の一途を辿る他なかった。

 後半から名古屋はさすがにゲームメイカー藤田とバランサーとして渡邉を投入。これで幾分か名古屋のサッカーはマシになったかと思えた。藤田がよく動き、その惜しみないコーチングに前半怠惰だった選手の動きは活発になった。しかし、神戸サイドとしてはこれぐらいのことは読めていた。しばらく耐えるだけ。2-0とリードは掴んでいたものの、さらに神戸は攻撃を加速させる積極性をこの日は発揮する。69分にレアンドロに代わり近藤祐が投入されると、早速右サイドから仕掛ける。中にはDFに囲まれながらもドンピシャのタイミングで大久保が近藤祐のクロスを合わせた。これまで溜まりに溜まっていたサポーターの欝憤を晴らす鮮やかなゴールまでの展開。ユニバーのボルテージは最高潮に達する。本職のFWで勝負させればこの男は強い。自らその強さを誇示するには十分な大久保らしいゴールであった。
 もう乗りに乗った神戸を止めることはできない名古屋はその後もオウンゴールを2発献上する不甲斐無さで、後半途中から名古屋サポは応援をボイコット。試合後に拍手を送る者は誰もいなかった。それもそのはず。名古屋にとっては5連敗中の相手に今季最悪の醜態を演じ、5失点もさることながら1点も取れなかっただけでなく90分通してほぼノーチャンス。名古屋から駆けつけたサポーターに合わせる顔は無い。ほぼ来季のフェルフォーセン続投はないだろうと感じさせてくれた。

 まだ暑さの厳しい中、それを忘れさせる神戸のパフォーマンスは間違いなく名古屋の不出来にも助長されたといえる。しかしながら、まだ今季の日程が残る中で残留争いとも優勝争いとも縁のない中位チームのモチベーションの持ち方には本当のプロフェッショナリズムが現れるといえよう。その点では今日の名古屋はプロとして失格である。

 ガンバサポの人間としてゴール裏で対峙するとそんなことはないのだが、今日の試合前にも唄われた恒例の神戸賛歌は非常に統制のとれた雰囲気で良く聞こえていた。
 どうだろうか?名古屋にもこういった賛歌が今必要だと思うのだが。