脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

アウェーの悦楽

2007年05月03日 | 脚で語るJリーグ


 来たよ!レッズがアンフィールドで底力を発揮。完全にホームアンフィールドに詰めかけたサポーターが手繰り寄せた勝利だ。

 しかし、ただでさえ夜更かしである筆者の睡眠時間をほとんど奪ってくれる欧州CL。中毒性が高い。ここ数年全て準決勝以上は生で観ているが、睡眠不足を補って余りあるエネルギーとテンションをもたらしてくれる。
 CLの話はもう止そう。それ以上に明日はJが熱い。

 今週号のサッカーダイジェストにて杉山茂樹氏のACL観戦記に大いに共感させられた。
 ”真の地域対立が存在しない日本はアウェーを実感しにくい環境にある”
 大いにその通りである。全国どこに行ってもウェルカムムードが漂う日本国内ではむしろ過激派じみたサポーター同士の小競り合いは少数であり、時として地元の方にとても歓迎されることもしばしばである。この点については日本人であるがゆえに特に否定することもないし、もちろん誰もが危害を恐れることなく平和にサッカーを観戦できる環境は素晴らしいと思う。
 しかしながら、人々の心を大いに虜にしてくれるこのフットボールの文化をより一層体感したいのであれば、アウェーをもっともっと感じるべきだ。裸一貫で敵地に乗り込む気概を各々が持つべきだと思う。自分はここでは外者。相手は敵ばかり。友好ムードなんてクソ喰らえだ。少なくとも私自身はアウェーに参戦する際はこのような気概を大切にしている。

 特に近年、深くそれを感じるのがアウェーの浦和戦だ。とてもじゃないが、会場に向かう列車の中で眉間にしわが寄るのは当然のこと。埼玉スタジアムへ向かう東京メトロの車内は何とも言えない重圧である。見渡す限りの老若男女がこれからしばらくの間自分とは、血を分けた民族同士で起こす紛争の如く対峙するのだ。一般の乗車客かと思えばそのお婆ちゃん、おっさんらが何気に鈴木啓太が表紙を飾る「Number」を読んでいたりする。浦和戦のアウェーはそのサポの絶対的な数の違いが、我々の人間として持つ天性の闘争本能を駆り立てる。

 ちょっかいをかけられれば厄介だと普段着を装うことが試合前からの負けを意味する。決してケンカは良くないが、選手たちはガチンコのケンカと言っても過言ではない激しい闘いをピッチでは強いられているのだ。勝者と敗者。その極めて分かり易い「結果」こそが我々サポを激しく突き動かす原動力。ホームの人間はそこで負けることは許されない。アウェーはホームから何が何でも勝ちをもぎ取る。誰も遠方まで来て負けを望む者はいない。そのサポ個々の気概が平凡な試合を歴史に残る名試合にしていくのである。
 人によっては、この考え方は稚拙で、大人気ないと解釈するかもしれない。しかし事実、このホームとアウェーのサポの対立構図こそがフットボールに歴史と奥深さを加えていくということを私は強く確信している。

 遠くリバプールの地では、アンフィールドに集結したホームのサポの大きな声援を得て、本場レッズが大きな勝利を得た。
 13日、埼玉スタジアムではどうかな。日本屈指のレッズサポにまみれ、秘めたる闘志に着火剤を撒かれながら埼スタに向かうのが今から楽しみでならない。