歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

『ディドー』で好きな場面

2008年02月16日 | 音楽について
■『ディドー』でいちばん好きなところは第2幕の後半の森の場面。シンプルで優美なリトルネロからはじまって、まづベリンダがソロで、次いで合唱が"Thanks to these lonesome vales"って歌っていくところはこたえられない。17世紀バロックにおけるもっとも美しい音楽の一つだとすら思います。こういう静謐な美を感じさせる曲は、リュリには書けないね。

■この森の場面は楽譜が一部失われていて、この場がエネアスのアリアで突然終わってそのあとすぐ第3幕の船の場面になるのは、楽譜を見ながら聴いているとたしかに変です。エネアスのアリアのあとに少なくともこの場を締めくくるリトルネロがないと。現にたいていの指揮者はここに何らかの曲を持っていて欠落を埋めています。ただし、いっさい補訂の手を入れずに現在残っている楽譜だけを録音しているピノックのCDを、楽譜は見ずに音だけ聴いてると、さほどの違和感もないんですよ。かえって新鮮な感じさえする。

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