歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

マンロウ『デュファイ/ミサ・ス・ラ・ファセ・パル』

2008年08月03日 | CD 中世・ルネサンス
Dufay
Se la face ay pale
The Early Music Consort of London
David Munrow
TOCE-6194

1974年録音。42分09秒。EMI。マンロウで一枚選べと言われたら、これ。今から30年以上も前の録音ですよ。それなのに今聴いても古くささを感じさせないってのはなんなんですかね。とにかくチャールズ・ブレットとマーティン・ヒルの最初の一声を聴いただけで、もうマンロウならではの世界に引き込まれてしまいます。

さいしょにシャンソン"Se la face ay pale"が2声とビオール、リュート、ハープで。それからオルガンで。さらに管楽器による合奏で。そしてそのあと、メインの『ミサ・ス・ラ・ファセ・パル』。ミサでは器楽をやや多めに取り入れて、かなり華やかなスタイルをとってます。オリジナルのシャンソンの雰囲気を濃厚にたたえ、メリハリのきいた、聴きばえのするミサ演奏です。

マンロウの演奏はどの録音の場合でもいつもみずみずしい。曲に対する悪馴れがいっさいない。指揮者のマンロウがそれぞれの曲に対していつも新鮮な気持ちで臨んでいて、それが他のプレイヤーにも伝わり、さらに聴き手にも伝わるんだと思う。なかでもこの『ス・ラ・ファセ・パル』は最高ですね。

わたしの持ってる国内盤にはメンバー表が載ってないんですが、別資料によりますと、歌手は、James Bowman、Charles Brett、Martyn Hill、Rogers Covey-Crump、Paul Elliott、Ian Thompson、Geoffrey Shaw、Maurice Bevanだそうです。この録音のころといえば、プロ・カンツィオーネ・アンティカもすでに活動していました。ここでもメンバー重なってますけど、同じポリフォニーのミサでも、プロカンとははっきり芸風違いますね。70年代のプロカンのミサを今取り出して聴こうとはなかなか思いませんが、このロンドン古楽コンソートの『ミサ・ス・ラ・ファセ・パル』は名曲の名演としてこれからも聴き継がれると思います。