歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

「一所懸命」

2005年07月16日 | 気になることば
昨日の『錦繍』の引用だが、もうひとつ「一所懸命」ということばにも目がとまる。わたしは違和感ないのだが、世間には、「一所懸命」という言葉は死語だ、と思っている人もいるらしいのである。

わたしの疑問はこういうことだ。つまり、『錦繍』に見られるような「一所懸命」の語例は、古来の「一所懸命」の語形をそのまま保存したものなのだろうか。あるいは、いったん「一生懸命」に転訛した後に、口語におけるその省略形として「いっしょ懸命」が復活したものなのか。

わたし自身は、書き言葉としては「一所懸命」「一生懸命」どちらも使いそうである。しかし話し言葉としては、ほぼ100パーセントに近く、「いっしょ懸命」と言っていると思う。

ホールマン『Fairest Isle』

2005年07月16日 | CD バロック
FAIREST ISLE; A NEW NATIONAL SONGBOOK
Bott, Cornwell, The Parley of Instruments, Psalmody
Peter Holman
CDA67115

1999年録音。62分47秒。Hyperion。「ザ・イングリッシュ・オルフェウス」という、つまり一般的にはマイナーなイギリス音楽のシリーズの第47巻である。

「ルール・ブリタニア」の音源がほしくて物色していたところ、時代楽器で演奏したこのCDを見つけ、Amazonかどこかで試聴してみて悪くないと思ったので購入した。全16トラック、ボットとコーンウェルをメインに置いたさまざまな編成で楽しませてくれる。

パーセル『アーサー王』の名アリア「美しい島(Fairest isle)」は1691年だが、あとはほとんど18世紀に書かれた曲。わたしは「ルール・ブリタニア」と「美しい島」しか知らなかったが、民謡調のメロディーを持つなじみやすい曲ばかりで、実に心地よい。ヘンデルと同時代のイギリス音楽の雰囲気をつかむにもかっこうの1枚と言えるのではないだろうか。

演奏はいかにもハイペリオンらしい品のいいもので、このCDの場合は成功と言ってよい。「ルール・ブリタニア」はプロムスなどではメゾ・ソプラノがソロを取るが、ここではボットとコーンウェルが代りばんこに出てきて歌い、合唱をみちびいている。プロムスの、ナショナリズムむんむんの大合唱とは違うが、すっきりとしたこのCDの演奏のほうがわたしは好きだ。