あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

講演会「弱さを絆に」

2013-01-24 19:15:22 | インポート

先日、「仙台いのちの電話」主催の公開講演会に出かけてきました。講師は、北海道浦河町にある「ベテルの家」の設立に関わり、統合失調症など心の病に苦しむ人たちと活動を共にしてきた 向谷地(むかいやち) 生良(いくよし) さんです。浦河赤十字病院のソーシャルワーカーであり、現在は北海道医療大学教授でもある方です。

壇上には、向谷地さんの他に、心の病を克服した女性と現在心の病を抱えている3名(女性1名、男性2名)も登壇し、この4名との対話を中心とした講演内容でした。

「ベテルの家」では、心の病を持った人々が一緒に生活を共にしながら、自分の病と正面から 向き合い その中で分かったこと・気づいたこと・対処の方法等を 相互に伝え合い 学び合う中で 自分の力で 病を克服していくという活動に 取り組んでいます。

病と自分が向き合うための方法として 実践されているのが、当事者研究という取り組みです。これまで、心の病は専門家の治療や援助によって回復するという考え方が当たり前のこととされてきました。この考え方に対し、当事者研究という取り組みでは、病にかかっている当事者自身が専門家や家族に自分の抱えている苦労や困難を丸投げせず、自ら病と向き合い対処の仕方や解決の方法を仲間や専門家の援助を受けながら模索し、生活実践につなげていくという活動です。具体的には、次のような段階を踏みながら取り組んでいるようです。

①日常生活上の出来事、困りごとを素材にしてテーマを考える   ②どんな苦労があったかプロフィールにしてまとめる ③それに対して自分で病名をつける ④図などをもとに 出来事や苦労が起きるパターンやしくみ・意味を考える ⑤困った時の自分の助け方・苦労の解消策を考え、必要によって場面をつくり練習する ⑥生活の場面で「実験」して効果を確かめる ⑥研究成果の公開と共有

講演を聞きながら感じたのは、現在病を抱えている方の明るさでした。対人恐怖症や他人との間に心の壁をつくってしまう自分のことを 客観的にユーモアを交えて語る姿に、驚きさえ感じました。

心は健康で強くなければならない。無力感にとらわれていては前に進めない。こういった常識的な考え方にとらわれてしまうと、ますます自分を防御するために心を閉じてしまうという反作用が生じるのかもしれません。自分の弱さを認め、そんな自分を肯定する。無力な自分を意識すること自体が、前向きになっている証拠なのかもしれません。当事者研究では、自分の弱さをみんなの前で公開します。弱さを抱え苦労していることが、人をなぐさめ励ます力に変わり、さらには 人と人とをつなげ、謙虚にさせ、新しい可能性を生み出す という考えに基づいているからです。

自分の弱さを認め 公開し お互いに あるがままの思いを伝え合うことで、仲間と一緒に弱さを共有し、そこから解決策を見出していくという方向性を感じました。

肩を張らず 弱い自分を 受け入れ 認めるところから 本当の心が見えてくるのかもしれません。自分の心と どう 向き合い どう 上手につきあっていくか、それは 人間としての 永遠の課題なのかもしれません。

毎年、べてるの家が主催して 当事者研究についての発表会や 幻覚・妄想の発表会が 開催されているそうです。今年は、8月末に北海道・浦河町で開催されるとのこと(昨年は、福島で開催されたそうです)。 北海道旅行を兼ねて 是非出かけてみようかなとも 思っています。

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