あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

天声人語を読んで

2016-02-23 07:15:20 | 日記
アリの世界には、働かない働きアリが集団の中に 常に2・3割存在するそうです。
しかも 勤勉なアリだけの集団と働かないアリの混じった集団を比較した実験によると、後者の集団の方が、長く生き延びたそうです。
勤勉なアリたちは、一斉に働くものの一斉に疲れて動けなくなり、片時も手を離せない卵の世話などができなくなり、壊滅してしまうのだそうです。
一方、ふだんサボっているアリは、仲間が休むと代わりに働き、卵の世話をするそうで その力もあって、後者の集団の方が長く生き延びることになるとのこと。

無用な存在とみられているアリが、いざとなった時に有用となって活躍する。
物語の世界のような胸のすく話です。

有用か無用かといった効率的な視点のみで、物事をとらえる 人間社会の狭小な側面を照らし出してくれる事例のような気がしてなりません。

天声人語は、次のように結ばれています。
「昆虫に限らず、人間の組織を含め、短期的効率を求めすぎると大きなダメージを受けることがある」。何事も長い目で、と。

いざとなった時に、働かないアリが働きだすのはなぜでしょうか。
私は、その集団がその存在を認め、居場所を確保してくれているからなのだと思います。
だからこそ、その集団の一員として困ったときに動きだし働いてくれるのだと思うのです。
仲間として受け入れられているからこそ、仲間として行動できるのではないのでしょうか。

人間社会においても、組織や集団においても、そこにいる誰もがそこでの存在が認めれ、受け入れられ、居場所が見出せる場であれば、誰もがいざとなった時に行動できる。

ひとりひとりが かけがえのない存在として認められる 心地よい人間社会でありたいものだと 強く思います。

レオ・レオニの絵本「フレデリック」に登場するフレデリックも働かないネズミでした。
仲間の野ネズミたちが、冬の準備のために食べ物やワラを集めていても、昼も夜も働いていても、フレデリックはべつでした。
なかまの野ネズミたちが、「フレデリック、どうしてきみは はたらかないの」と聞くと、フレデリックはこう答えます。
「こうみえたって はたらいているよ。寒くて暗い冬のために、おひさまの光を集めているんだ。」
フレデリックは、光のほかに言葉や色も集めていたのです。
やがて冷たい冬がやってきます。
初めのうちは、食べ物も話題も十分あったのですが、時がたつにつれ、食べ物もなくなりかけ、話題もつき、こごえるような寒さにふるえるようになります。
その時にみんなは思い出します。フレデリックが集めていたもののことを。
そこでフレデリックは語り出します。
おひさまの光や色や言葉を、みんなの心に見えるように感じられるように……。
野ネズミたちはまほうにかかったように あたたかく幸せな気持ちになります。

野ネズミたちと同じようにフレデリックも働いていたのです。
その働き方がちがっていただけなのですね。
目に見える働きや効率だけで物事をとらえていくと、かんじんなものまで見落としてしまうのかもしれません。

コメント
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