あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

映画「北のカナリアたち」を見て

2012-11-11 17:38:18 | インポート

楽しみにしていた映画でしたが、期待通りの感動を味わうことができました。原作とは設定が異なり、オリジナルな映画に仕上がっている印象がありました。

登場する子役たちの演技と歌が、とても心に残りました。特に「あの青い空のように」の歌は、私自身大好きで、子どもたちともよく歌っていたので、とてもなつかしく心に響いてきました。エンディングの場面でも、島のお花畑の中を 6人の子どもと先生が 「あの青い空のように」を歌いながら歩いている様子が映し出されていました。20年前の先生と子どもたちの心の絆が、20年経っても変わらずにあることを 伝えようとしているかのように…… 。

20年前のある出来事によって、吉永小百合さんの演じる先生は 6人の子どもたちと別れ、島の分校を去ることになります。そこでいったい何があり、子どもたちの心にどんな影を与えたのか、20年後に先生は自らの宿題を果たすかのように、一人一人の教え子を訪ねます。子どもたちは、20年前の自分と向き合い、先生と語り合う中で、背負っている心の傷を言葉にします。同時に先生自身も、教師として 妻として 一人の女性として 背負ってきたもの(宿題)に 向かい合うことになります。そうして振り返ることを通して、子どもたちも先生も少しずつ心が癒されていきます。

殺人犯として追われることになった教え子の一人に 先生は宿題を与えていました。その宿題を果たすために、その子も含めた6人の子どもたちが分校の校舎に集まり、先生の指揮で 「歌をわすれたカナリア」を歌う 山場の場面があります。涙なしではいられない場面でした。

森山未来さんの演じるその殺人犯の教え子に与えられた宿題は、その歌をカナリアの気持ちになってどう歌うかといった課題でした。先生は、彼が歌うことで、決して歌をわすれないという気持ちを表現させたかったのかもしれません。

罪を犯した彼が、自分は生きていていいのかと 先生に語る場面がありました。生きていいのよと抱きながら語る先生の言葉が、心に残ります。先生自身にも、罪を背負って生き続けてきた側面があったのですから、彼の心の痛みは誰よりも深く理解できるものだったのでしょう。

人間の心の中にある正と負の部分。原作の中に込められていた人間であるが故に生きていて背負うものの重さを感じさせる 映画でもありました。

しかし、そのドロドロとした重さが まるで 透き通って 消えていくような 映画でもありました。

6人の子どもと先生との 時を超えた 新たな絆が、心を打つせいでしょうか。

エンディングの「あの青い空のように」の歌詞にある 「…… すみきった 心になるように 」、生きて背負う苦しみや悲しみは、やがては 青く澄んだ空の内に 溶け込んでいくものなのかもしれません。

人と人との心の結びつきや絆について、生きるということの意味や大切さについて、感動と共に深く考えさせられた映画でした。 機会がありましたら、是非 ご覧ください。