○「更衣美人図」喜多川歌麿
冒頭のチラシのビジュアル。
フラットに非ず。少し情報から見下ろすかのようなアングル。
これでもかと渦巻いた裾が奥行きと空間を形作る土台になっています。
歌麿の肉筆ってどこかしら濁ったかのような感じがあるんですよね。
くすんでいない当時の姿を見てみたいなあと思いました。
○「柳下納涼美人図」西村祐信
縁側に腰掛け、胸をはだける美人。
なるほど、胸を自然と出してるたりもビーナスってフレーズはぴったりです。
ひとつ挟んで隣に展示された、「納涼美人図」とは左右逆のポーズ。細部は違うけれど、これはペアで見れてよかったです。
○「蛍狩美人図」
双幅。各々に美人が描かれています。
団扇の絵柄の紋が実はキーになってて、平家物語の合戦する武将同士になってる。
なるほど、二人とも必死な様の理由はこういうところにもあると。
向かって左の女性が足を突っ込んでる水のあたりの割れたかのような描写が面白い。
○「見返り美人図」長陽堂安知
彩色されてるのですが、着物を描く線がところどころ筆を走らせたままの黒い線になっていてアクセントになっています。
やりすぎるとうざくなりそうなところぎりぎりのところでセーブしてる。
○「月下歩行美人図」葛飾北斎
袖に描かれた藤がなんともキレイ。
あと、バランスの小さな頭と周辺との対比のバランスが見事。
顔はいまひとつなのですが、トータルで見ると好印象。さすがの北斎です。
○「遊楽人物図貼付屏風」菱川師宣
六曲一隻。こういうのみるとなんとも皆、豊かに暮らしてたのだなあと思う。
面白いなと思ったのはどれも人物がシンプルに描かれていてお人形っぽいなあと。
○「四季美人図」上村松園
これ、最強ですね。
ひとつひとつのディティールは正直、そこまでってことはないのですが4枚そろうと趣きって意味で最強コンボ。
春から冬まで行くにつれ、それぞれに登場する女性の頭の位置が山のようなカーブを描くバランスやよろし。
秋のおねえさんの顔が立原あゆみちっくに見えたのは気のせいかしらん。
○「少女」菊池契月
残念ながら契月のこの「少女」、「朝爽」、「友禅の少女」はあさって8/22まで。
これは見られてよかった!!
契月の描く女性の目が尋常ではない。
世俗に生きる人の目ではないのです。
おそらく彼なりの理想の女性の意識を形にしたようなもので、この「少女」も年齢を超越したかの如き、面立ち。
解説によれば「肉体の輪郭を朱線で描く方法は仏画から」とあったがおそらくそういう技法レベルを超えたところに何かあるのだと思います。
もっと、契月の作品が見てみたいなあと思いました。
○「通り雨」伊東深水
エロい!かなり意識的にそうしていますよね。
見える首筋とかなんともいえません。
でも、それが洗練されたところにいってなくてどことなく垢抜けていないのです。
そこがなんとも味ですね。
前期展示は8/22まで。8/24からは後期展示がスタート。
9/12まで。