千葉市美術館で開催中のMASKS-仮の面(かりのおもて)を見てきました。
もともと面というとわたしが思い浮かべるのは東京国立博物館の法隆寺宝物館にある伎楽面なのです。
昔、学生だった頃、法隆寺宝物館(いまの建物に立て替える前)は湿度コントロールの関係で毎週木曜日しか開館してなかったのです。
大学を休んで見に行った覚えがあります。
そのときに初めて見た伎楽面は現在も展示されてはいるものの年に3回、1ヶ月づつしか展示されていないとのこと。
(ちょうど現在は8/22まで展示中!)
(関連記事:魅惑の伎楽面(法隆寺宝物館第3室))
ちょっと話がずれちゃいました。
というわけで面には非常に興味がありました。内容は想像以上。
ついこの間まで若冲作品で溢れていた会場はまったく別の空気を帯びていました。
面は洋の東西を問わず、かなりの点数が出ています。
一番しっくりくるのは日本の面でしたが海外のもかなり面白かったです。
見ていて発見したこと。面て技術があって精工に作られたものばかりがいいなと感じるわけではないこと。
今回、自分敵に一番いいなと思ったのは奄美地方の奉納面のグループ(15~19、92)。
※番号はリストによる。
一目見てこれは技術のある職人とかでなくってふつうのおじさんとかが祈りを込めて作ったんだろうなあと。
素朴で見ててほっこりするんですよね。
作りはおおざっぱだけど、この適当に彫られた目口鼻のバランスのぽかーんと抜けた様はなかなかによいのです。
おそらく職人さんが依頼を受けてだとどうしても使用する(飾ったり、祭りの儀式で使ったり)ひとの願う想いが薄くなってしまうのではないかと思いました。
この奄美の面の対極にあるのが翁面(26)でしょう。
これは作りもさることながら現存する最古の翁面とのこと。
なんともよい面構え。この凹凸のある作りは職人さんでないと無理ですね。
あと、気になったものを列記。
乙御面(狂言面)(48)
こっけいな醜女。顔の凹凸がはんぱなくって異様。おでこボン!ほっぺボン!舌ぺロリ。なるほど、これがおかめの源流のようです。
仮面(63)
マリの仮面でハイエナモチーフ。結社のマスクだそう。この結社がらみの賢が何点かあったがどうも我々にはなじみのない風習ですね。ピンとこない。
このマスクを被ってひとを裁いたのだそう。
雪豹の仮面(85)
ブータンのもの。こおまで立体のだともう仮面という域を超えています。むき出した目、牙が葉苦慮p区ある表情を生み出しています。
仮面(100)
宇宙人!なんだろう、これは。
頭上面”バンソニイ”(104)
でっかい!ひとの身長以上の高さ。緩やかなカーブがなんとも美しい。
にしてもこれ、頭上に乗っけるって相当な負担だと思うのですが。。。
二の舞面(129-1、129-2、129-3)
顔のゆがみ、左右非対称っぷりがものすごい。ひょっとこエクストリーム!
オニ(王)の面
なんとブロンズ。今回の展示で金属の面てこれだけじゃないかな?
とてもよく出来ている。造形は立派だけどかぶるものだけに空気穴が口とほほの辺りに小さくたくさん空けられている。
小面(能面)(143)
最後にこういうのがあるとほっとします。
スタンダードな能面はシンプルでよいです。見た角度で表情が変わるように作られているという部分が単に飾るだけの面とは一線を画していますね。
もし100年後にもう一度このタイトルでやるとしたらぜひ加えてもらいたい仮面があります。
ウルトラマン、仮面ライダーといった特撮ヒーローのマスク。それにひこにゃん、せんとくんといったゆるキャラの着ぐるみ。
今はありふれたものでも時間が経てばきっとこういう展示にはまるようになると思うですがいかがでしょう。
来週8/15まで。