「ポンピドー・センター所蔵作品展 シャガール ロシア・アヴァンギャルドとの出会い」に行ってきました。
会場の中に入るとひとはたくさんいるのですが見られないほどは混雑して
ませんでした。
☆「収穫」マルク・シャガール
頭の上に乗せたカゴ。その中には取れたフルーツか何かと思いきや。。。
なんじゃこれ。画面上方へと広がる謎の青いオーラ。収穫物の放つエネル
ギー。でも、決して不気味ではなく清々しい。
☆「収穫物を運ぶ女たち」ナターリヤ・ゴンチャローワ
またまた収穫物。こちらはざっくりした線でシンプルな描写です。シャ
ガールとはまるで違いますがこの絵もよいです。
☆「ロシアとロバとその他のものに」マルク・シャガール
チラシ等でお目にかかってたビジュアル。絵のバックのグリーンのボード
がとても映えていたと思います。
画面左の牡牛の目がすごい強烈。解説に牡牛とあったが乳を吸っていると
思しき小牛とひとの子供?からすると雌牛?でも角はある。あまり現実と
の整合を考えてはいけないようですね。
画面右上のすっ飛んでる首はなんなんでしょうね。
☆「帽子をかぶった婦人」ナターリヤ・ゴンチャローワ
構成が重層的。テキストや音符、それに顔のパーツなどが渦巻くかのよう
にごっちゃになっている。でも、一枚の絵として上手くまとまっている。
☆「緑色の恋人たち」マルク・シャガール
意外にもシンプルに男女のアップで余計な要素が描かれていない。画面の
しっとりとしたトーンがいつも思い浮べるシャガールでないのがポイン
ト。でも、これもいいのですよ。
☆「墓地」マルク・シャガール
タイトルの通りでお墓がたくさん描かれています。が、すごくおかしい。
どの墓も地面があっちゃこっちゃ向いちゃってる。しかも立体としての
パースとかもおかしい。
空の描写はシャガールっぽい。まるで死者の魂がオーラを被った放ってい
るかのよう。ちょっとオーロラチックにも見える。
ジャン・プーニーのコンポジションは立体でモノトーン。これは似たよう
なのが三点ありました。
カジミール・マレービチに基づく、というのはデータをもとに再制作した
建築模型みたいのでした。
そして、会場の奥には黄色いゲートが。
シャガールの手がけた、歌劇「魔笛」の舞台美術のコーナーです。
衣装デザインのスケッチなのにラメの布とか貼られててすごく自由なので
す。ほんと楽しんでスケッチを描いていたんだなあと想像しちゃいます。
☆「魔笛」マルク・シャガール
というわけでこちらが「魔笛」のイメージボード。
ものすごくエネルギーが出まくってましたよ。
☆「彼女を巡って」マルク・シャガール
もともとは「サーカスの人々」という絵だったものの左半分を切って、改作したもの。
画面左に見えるシャガール=画家の顔がひっくり帰ってるのが気になります。
ふと思ったこと。
シャガールの作品って「記憶」と「意識」と「理想」の心の風景なのだなあって。
こういうのってなかなか描ける画家がいないように思います。
過去の作品の引用もあるということをさっ引いても、やはり横尾忠則くらいではないかなあと。こういう魂から欲してる会がを描けるのは。
☆「虹」マルク・シャガール
この表現が一番びびっときました。
虹といえば誰しも7色で描くでしょう?
でも、このシャガールの虹はなんと白!
しかも、3重にに連なる描写ったら。
よく見るとスペクトラムのカラフルな色彩も微妙に入ってる。
でも、全体は赤いトーンの印象なのでパッと見た時にはこのことに気付かないのです。
☆「イカルスの墜落」マルク・シャガール
これ、色がなんともキレいでした。
シャガールというとどうしても画面がごちゃごちゃしてて濃い色が乗ってるという感じなのですが、これはとても澄んでいました。
落ちるイカロスはシャガール自身という解説はたぶん当たってますよね。
墜落するその先は自らの故郷。
心配してるひとも居れば、彼が高みからまたこの地へと期間することに喜ぶひともいる。
おかえりなさい、シャガール。疲れたでしょう。
そんな風に声をかけたくなりますね~。
見終わって思ったのはやっぱりさすがだなあと。
見所いっぱい、満足のいくないようでした。
10/11まで。