平和の歌・核兵器絶滅へと戦った英雄の歌

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短編  大百牛車

2016年04月06日 | Weblog

短編小説

       大百牛車

                 作 中道 進

 (賢二 よし、9と8の連単を5千円買って5,000円の配当金で25万円か、逆転だ、これで借金もいくらか返せるな)賢二は京王閣競輪に行き狙っていたレースを買った。競輪は9車並びで3と2の連単と複勝がある。連勝車券だと9と8は、6と6のぞろ目である。連単は、各枠の一人一人の番号となる。賢二が買う6と6は当たれば配当金が良い。当たる率は低い。しかし、配当金が魅力で買ったのだった。その日は後半3レースをやったが全部負けてしまった。

3万円を持っていたが賢二の財布には3千円しか残っていなかった。

 競輪場の近くの駅付近でコンビニから買ってきた酒をあおった。

賢二の頭には高利貸の顔が浮かんだ。(賢二 畜生、逆転とはいかなかったか、金貸しの取り立て屋か、まいったな)賢二は酒をのみ現実の厳しさを忘れようと酒にたよった。そして、酔った勢いで通行人に喧嘩を売った。その通行人が、なまいきだといいかがりをつけて殴り掛かった。

 あとは決まったコースで、近所の方が騒ぎで110番しパトカーがきて賢二は御用となった。

 賢二の勤め先の建設会社の親方が引き取りに来た。そして、その会社はのちに解雇となり賢二は先行きが真っ黒となった。

仕事が解雇となった賢二には追い打ちをかけるように高利貸から携帯電話での取り立てがきた。(高利貸社員 賢二さん、だいぶたまりました。これ以上は貸すことができません。いくらかでもお返して下さい)(賢二 待ってください。仕事が決まり次第返します)賢二の頭は借財、仕事とのことといっぱいになり真っ暗となり、就職探しにも行く気がなくなった。そのまま行けば、堕落の世界へ入っていくのか。そのなれば親、兄弟にも迷惑がかかる。どうすればいいのだと頭を抱えた。賢二の携帯にベルが鳴り、賢二は携帯に耳を向けた。(船岡 賢二さん、元気ですか、あの話どうですか、金銀の大百牛車ですよ。誰しも乗れますよ。それに乗れば、価値のある生活ができます)(賢二 船岡さん、その車は誰しも乗れるのですか、借財を背負っている人ものれるのですか)(船岡 はははは、もちろんですよ。ここだけの話ですが、以前、私は金欠病で悩みの世界でした。しかし、今は、違います。リッチですよ。ははははは)

 

                    終了