平和の歌・核兵器絶滅へと戦った英雄の歌

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短編  続 青年の思い

2015年12月05日 | Weblog

短編小説   11月の続編

 青年の思い 作 中道 進

 新井の言い分だと、昔は、正義があったが、今は、正義はないという。新井の過去の経験からこう述べているのだろう。サラーリーマン生活の時、酒が好きとはいえ一生懸命働いたが、上役の慢で会社を首になった新井であるから当然の主張であった。

 (吉井 真面目に生きている人はどうなんですか、世の中が悪人ばかりではどうなるんですか)(新井 馬鹿を見るよ。真面目にやっていたって馬鹿をみるんだ! ソクラテスだって、権力に弾圧された。君は、仏法が得意みたいだが、釈迦の伝えを広めた正法者だって首を切られたんだよ)

 (吉井 ソクラテスには、弟子のプラトンが師の正義を証明した。仏法は、正法者には難があることは釈迦が予言している。故に、鎌倉時代に、日蓮大聖人の弟子で正法を広めた農民が権力に脅された後に殺され殉死されている) 

(新井 ごまかされるな。嘘に世の中が染まっている。その例として、僧侶は布施させて芸者かいだ、建物だって御殿だよ。お金持ちに入り込み偽説法をしお金を取るんだからひどいもんだよ)

二人の話は、世の中に正義があると、一方は正義はないと言い争いである。読者はどう思うだろうか、世の中に正義はあるのだろうか。

 真面目に働いて、少々のミスをして、それを因となして退職させる。こういうことは社会にある。しかし、真面目な人、一生懸命に働いている人いつかは良い結果が出ると私は思う。

 (新井 酒だ、酒を飲みにいくぞ)(吉井 新井さん、体を考えてください。人生の苦難を乗り越えましょう。仏様は、善の行為をすることによって悪業が切れて宿業転換できるといわれます)(新井 うるせい。とっとと、どこかへいってしまいな)(吉井 私はあきらめません。あなたが立ち直るのを信じています)

 まあまあ、吉井はどういうつもり、堕落した男を助けるというの。新井は酒の中毒だ。あきらめてしまえばいいのに。しかし、吉井はねばり強く対話で救おうとしている。青年の力だ、青年の思いだ、すごい、青年があって世の中は明るい。プロ野球も世界的な経済学者も弁護士も、サラリーマンもそれぞれ青年時に必死で闘ったのだろう。まさしく、青年の思いはすごいものがある。終了。