平和の歌・核兵器絶滅へと戦った英雄の歌

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連続小説  青春の登竜門 5欲望と正常

2013年03月12日 | Weblog
連載小説  青春の登竜門  中道 進
      
       5話   欲望と正常
          1 誘い
 道田は学生で生活費を稼ぐために喫茶店でアルバイトをしていた。渋谷の繁華街の裏で常連客も多かった。その常連の前谷がカンター
にすわりコヒーを注文した。(道田 前谷さん相変わらず急がしそうですね)(前谷、どうだ、景気は、お金あるのか、うちに来いよ。倍は払うよ。お金さえあれば、遊べるよ。ははは)人間は欲があるから働ける。家が買いたい。良い暮らしをしたいとの思いは誰しも同じである。道田は、その晩は前谷の話に胸がわくわくして眠れなかった。給料が倍は、魅力あるな。遊びか。ぜんぜんしていないな。若いうちに遊んでいるべきだな。今のバイト代は時間800円、1日4時間のはたらき、実家は父が商売失敗し仕送りは、ストップされてしまったのだった。
          2 甘い話
 翌日、前谷が喫茶店に来た。道田に話をする。(前谷 昨晩はキャバレーに行った。美人がいるよ。酒はうまかったよ。屋台酒とは違う。はははは)
道田は心が揺れ動いた。キャバレー。いいね、行きたいね。しかし、お金がなかった。道田は、また、前谷から仕事の話があったら飛びつく予定だった。(前谷、おい、この前の仕事の話はやるのか)(道田 やらせてください)(よし決まった、土曜日に俺の事務所に来い)やれやれ、道田は悪の誘いに乗ってしまった。前谷仕事は法律違反の競馬の飲み屋をしていた。ゆえに、捕まったら牢獄であるから道田の前途は暗闇になる。
 道田の仕事はマンション電話で競馬の飲み屋の受付だった。お客が申し込んだ馬券を帳簿に書くのである。この日は忙しかった。前谷の懐はあたたかく道田には日当プラスの何枚の万札がもらえたのだった。これは前谷の魂胆で仲間に縛る作戦であった。道田はその晩キャバレーなどで遊んだ。
          3 堕落
 欲望に弱いのも人間である。しかし、目的、希望、ロマンがしっかりあれば、人間は無限の力がある故に堕落の欲望には勝てる。魔は心のすきを狙うものである。心は落葉が池に流れるように移りやすい。魔の誘いに乗りやすい。
 道田はおもわぬ大金が入り遊び喜び有頂天になった。そして次の日曜日も喜んで前谷の事務所に行った。この日も忙しかった。そして、夜の宴会を描いていた。だが、メンレースの時に負けたお客の腹いせの通報で警察が事務所に踏み込みこまれ道田、他の仲間も逮捕されてしまった。そして、拘留され家族はもちろん、学校などにも知られてしまった。わずかのお金で前途が台無しとなったばかりか、家族の絆にもひびが入ってしまった。目先の利益に目がくらんでしまったのだろうか。もったいないものである。5話終了