今年の参加者数は561人で、なかなか盛況です。
ハプニングは、楽しみにしていた東大寺の管長が急病で講義が中止となり、替わりに法隆寺の大野管長が代講をされるという最悪の展開。
「手紙と書札礼」
奈良国立博物館長の湯山賢一さんの書(手紙)に関するお話は大変有意義でためになりました。
墨をつぐにも決まりがあって、最初の文字はもちろんたっぷり墨が入るわけですが、文章が続いている間は2行目に渡ってもそのまま続け、2行目の途中で墨をついだとしても、3行目の頭では必ず墨をつぐ、ということです。
もしこれを日常でも実行していれば、わかる人にはわかる「教養」となること間違いなし。
1行目と3行目の頭は必ず墨が濃い、というのがポイントです。
「謹上と進上ではどちらがより丁寧な言葉か」
答えは進上です。
身分の高い人が家来に手紙を持たせて、より身分の高い人のところへお招きしたいなどのことを問いました。
そこに謹上と進上を誤って使用していたとすると、手紙を受け取った人は本来なら直接手紙を書いてお返事するのですが、こういう手紙は受け取れない、と突き返す場合があり、または手紙に書かず口頭で返事を伝えるそうです。
宮中の有職故実には非常に厳しい決め事があるということを21ページにわたる資料を基に丁寧にお話くださって、とても内容が濃かったです。
「仁和寺の法師」
講師は 仁和寺五十世門跡 立部祐道 猊下
徒然草の作者、吉田兼好は仁和寺の近くに住んでいたとかで、徒然草にはしばし仁和寺の法師のエピソードが登場します。
○ 石清水八幡宮まで徒歩で行った(片道20km以上、要5時間)のに別の神社を見て勘違いして帰ってしまった法師の話
○ 酔っ払ってふざけて足鼎をかぶったら抜けなくなって悲惨な目にあった法師の話
○ 稚児をからかおうとお弁当を木の根元に埋めて探させた法師の話(そのお弁当は埋めるところを見た別人が掘り出して持っていかれたしまった)などあまりよい例にはなっていないそうで。
こんな話もされました。
青年が山道をドライブしていました。
途中、ぶたが歩いています。
カーブに差し掛かったとき、向こうから女性の運転する車が近づいてきたので、すれ違いざま、豚に気をつけてという意味で男性がカーブで「豚が!」と叫んだら、女性は豚と呼ばれてカッとなって「あほう!」と答えた瞬間、豚にぶつかって崖から落ちてしまったとさ(男性のほうもアホウといわれて頭にきて事故った)。
運命が分かれる例としてあげたのでしょうが、もう一つは「豚が」と叫んだら女性は「あっ、ほうか」と答えて豚をよけたため事故に遭わずにすみ、やがて二人は海に沈む太陽をみながら恋に落ちた(二人が反対の方角へ進んでどうして夕日を見れるのだろう?)。
お坊さんだけあって話は飽きさせずに面白い。