望子のただいま稽古チュッ!

稽古、公演、プライベート
・・・オバサン役者、木村望子の日々。

進歩・・・してるよね?

2015-11-13 22:44:18 | 演劇・舞台・小劇場

ずいぶん前になるけど、
新聞に、イラストレーターの益田ミリさんの、
こんなエッセイが載っていた。

習って5年目のピアノが、
なかなか進歩しないのだという。


  どうしてできないんだろう。
  自分に呆れる日もある。
  けれど、もともと私は何にもできなかったのである。
  何にもできないまま、生まれてきたのである。
  パソコンのキーボードだって、最初は指1本で打っていたじゃないか。
  ピアノレッスンの日の私は謙虚である。


うんうんうん。
ピアノならずとも、この気持ちは良くわかる。

頑張ってるのになぁ。
どうしてうまくならないんだろうなぁ。

その最たるものが、
私にとっては、やっぱり芝居。

いや、私だけじゃない。
ほとんどの役者が思ってるんじゃないかな。



去年の秋。
稽古中の若い友人からロングメールが来た。

1人だけ集中的にダメ出しをされて
辛くて、稽古場に行くのが嫌で仕方がない。

道歩いてて、
車でも突っ込んでくれないかと思う・・・と。


 あ~~~~、

  わかるよ~~~~。


ほんっとにキツイ現場で、
イジメのような集中攻撃を受けるって、
そんなに珍しいことじゃない。

冷静になれば、
「おい、演出家。お前が悪い!」
みたいなことが多いんだけど、

その中にいると、それが見えなくって、
どうしていいのか、わからなくなってしまう。


私も稽古の道すがら、

事故に遭って、
動けないほどのケガをして、降板できたら、

・・・と何度思ったことか。


自分から飛び込まなかったのは、
不可抗力じゃないと逃げたことになるから。

散々、痛めつけられている分だけ、
意地も強固になってくるのだ(笑)



でも最近やっと、
このエッセイのような発想ができるようになった、かな?


私も、彼女あてに、超ロンメを送ってみた。
(1年以上前だから、もう時効だよね)

   *   *   *

あなたが養成所に入ったのは6年前だったよね。

6年前、どんなこと考えてた?
芝居の稽古場に通っている、今の自分の姿、想像できた?

台本を持って、稽古のために稽古場に通う。
・・・それって、憧れだったでしょ。

そんな憧れの自分に、今なってるんじゃないの?

だったら、それだけ、
苦労や悩みが出てきても当たり前なんじゃない?

   *   *   *

ま、偉そうに(相手は若いしね)、
こんな話をして、

ありがたいことに素直な子で、
こんな話で立ち直ってくれて、

こっちの方が感激しちゃったけど、

なんか、私自身、いろいろ考えてしまった。


トシをとってきて、

あ~、昔はもっと動けたのにぃ、とか、

もっと早く覚えられたのにぃ、とか。


気がつけば、
けっこうな愚痴オバサンと化しているけど、

まぁ、それはそれとして、
今の自分を認めてやらないとね。


今みたいな「年齢ゆえの味」は、
昔は出せなかったはずだぞ~。

      ・・・なーんちゃって。はは。





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