ずいぶん前になるけど、
新聞に、イラストレーターの益田ミリさんの、
こんなエッセイが載っていた。
習って5年目のピアノが、
なかなか進歩しないのだという。
どうしてできないんだろう。
自分に呆れる日もある。
けれど、もともと私は何にもできなかったのである。
何にもできないまま、生まれてきたのである。
パソコンのキーボードだって、最初は指1本で打っていたじゃないか。
ピアノレッスンの日の私は謙虚である。
うんうんうん。
ピアノならずとも、この気持ちは良くわかる。
頑張ってるのになぁ。
どうしてうまくならないんだろうなぁ。
その最たるものが、
私にとっては、やっぱり芝居。
いや、私だけじゃない。
ほとんどの役者が思ってるんじゃないかな。
去年の秋。
稽古中の若い友人からロングメールが来た。
1人だけ集中的にダメ出しをされて
辛くて、稽古場に行くのが嫌で仕方がない。
道歩いてて、
車でも突っ込んでくれないかと思う・・・と。
あ~~~~、
わかるよ~~~~。
ほんっとにキツイ現場で、
イジメのような集中攻撃を受けるって、
そんなに珍しいことじゃない。
冷静になれば、
「おい、演出家。お前が悪い!」
みたいなことが多いんだけど、
その中にいると、それが見えなくって、
どうしていいのか、わからなくなってしまう。
私も稽古の道すがら、
事故に遭って、
動けないほどのケガをして、降板できたら、
・・・と何度思ったことか。
自分から飛び込まなかったのは、
不可抗力じゃないと逃げたことになるから。
散々、痛めつけられている分だけ、
意地も強固になってくるのだ(笑)
でも最近やっと、
このエッセイのような発想ができるようになった、かな?
私も、彼女あてに、超ロンメを送ってみた。
(1年以上前だから、もう時効だよね)
* * *
あなたが養成所に入ったのは6年前だったよね。
6年前、どんなこと考えてた?
芝居の稽古場に通っている、今の自分の姿、想像できた?
台本を持って、稽古のために稽古場に通う。
・・・それって、憧れだったでしょ。
そんな憧れの自分に、今なってるんじゃないの?
だったら、それだけ、
苦労や悩みが出てきても当たり前なんじゃない?
* * *
ま、偉そうに(相手は若いしね)、
こんな話をして、
ありがたいことに素直な子で、
こんな話で立ち直ってくれて、
こっちの方が感激しちゃったけど、
なんか、私自身、いろいろ考えてしまった。
トシをとってきて、
あ~、昔はもっと動けたのにぃ、とか、
もっと早く覚えられたのにぃ、とか。
気がつけば、
けっこうな愚痴オバサンと化しているけど、
まぁ、それはそれとして、
今の自分を認めてやらないとね。
今みたいな「年齢ゆえの味」は、
昔は出せなかったはずだぞ~。
・・・なーんちゃって。はは。
ブログランキング参加中
人気ブログランキング
よろしければ、クリックを!