ドルフィンベルベット

高齢馬のケアと徒然日記

『引き出しの中のラブレター』

2014年05月28日 13時24分14秒 | 読書日記
『引き出しの中のラブレター』(新堂冬樹著)

『終わらざる夏』のあとで、少し気持ちを休ませたいな、と思い手にした小説
見るからに心が和みそうなタイトルです

恋人、夫、妻、子供、親、友人、同僚…に、皆さんは普段から想いを余すことなく伝えていますか?
そう聞かれて「はい」と答える人はそう多くないと思います。

なんでも言い合える仲でも、ちょっと恥ずかしくて伝えられない感謝の言葉とか、愛の言葉とか、謝罪の言葉とか、心の「引き出し」に仕舞い込んでいるものが必ずあるのではないかと思います。

物語では、ラジオパーソナリティーの主人公が、最後まで理解し合うことができなかった亡父からの手紙をきっかけに、「想いを伝える」ことの大切さに気づき、その手段としての「手紙」の効果を再認識します。

ラブレター…、そういえば昔、旦那から貰ったことがあります
でも、私は今まで一度もそれらしき手紙を書いたことがありません。
今、旦那に渡したらきっと泣くでしょうね

両親に対する感謝の気持ちも、結婚式の花束贈呈のときに形容詞的にちょこっと司会に読んでもらった程度です
自分の言葉では伝えられそうにありません。
いつか、きちんと手紙を書こうと思います。
…って、親の場合は早くしないといけませんね

なかなか勇気のいることですが、頑張ってみようと思いました 
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『終わらざる夏』

2014年05月27日 12時46分12秒 | 読書日記
『終わらざる夏』(浅田次郎著)

読み終えて暫く経ちますが、なかなか記事にできませんでした。
第二次世界大戦で日本が降伏した後の千島列島東端にある占守島での戦いをもとに書かれた小説です。

終戦(降伏)を見据えた日本軍は、当初米国との交渉を予測して、出版社に勤める45歳の片岡直哉を通訳要因として占守島に送りこみます。
本人も後々気づいてはいきますが、しかし、敵は米国ではなく、ロシア(ロスケと小説の軍人さんは言っていました)でした。

ロシアは戦後処理に有利になるように少しでも多くの領土を取りたかったようです。
しかし、占守島には関東軍の精鋭が、本土に戻る船がなく取り残されていました。
ロシアの攻撃に対し、日本軍は優勢に戦いますが、21日に大本営からの停戦命令により降伏、そしてシベリアへ抑留されます。

降伏した相手にさらに攻撃を加えるのは「ヒケフモノ」です。
それも、満州のように、終戦まえから続けられた止むに止まれぬ戦いではなく、降伏した後に始められた戦いがあったことに、本当に驚き、憤りを感じました。

救われたのはやっぱり浅田次郎さんの人物描写です。
主人公をはじめ、民間人の召集に係わる地方の戸籍係、学童疎開の子供たち、疎開先の訓導(先生)、さらに軍人までもが一様に「戦争をしてはいけない」ことを何度も訴えていました。
これは作者のメッセージだとは思いますが、でも、その通りだと思いました。

万が一にも…という私(恐らくは読者みんなの)の期待もむなしく、片岡直哉は言葉の通じないロシアの負傷兵によって殺害されてしまいます。

戦争は国と国がするもの。
でも、それぞれの国民は戦争なんて望んではいません。
小説ではロシア人兵士の思い(手紙)も書かれています。
国を憎んでも、その国の人を憎んではいけないのだな、とつくづく思いました。

日本が同じ過ちを繰り返さないことを祈ります。
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