ドルフィンベルベット

高齢馬のケアと徒然日記

『影法師』

2013年12月03日 12時34分01秒 | 読書日記
『影法師』(百田尚樹著)
『永遠のゼロ』、『風の中のマリア』について3作目です 

江戸時代の架空の藩が舞台に男の友情と恋愛を描いた作品で、どこか『永遠のゼロ』と似た雰囲気があります。

藩士の厳しい階級制度や百姓一揆など、国が貧しければその民は一部の特権階級を除いては厳しいものなんだと、なんだか現代に重ね合わせてしみじみしてしまいました。

私は歴史には疎いので、百姓一揆などは言葉はわかりますが、顛末などは知りません。
首謀者は家族もろとも処刑されるとか、そういう覚悟をもって行うものだったのですね。
処刑の場面では思わず涙してしまいました。

また、一揆の直訴を阻止する藩士も、彼らの覚悟が分かっているので、あえて無駄な血は流さず、藩主へのお目通りを黙認し、そして最後に責任者は自害する…。
うーん。なんとも切ない話です。

こういう出来事ばかりを書いてしまいましたが、主人公は武士の中でも上中下の下士から筆頭国家老にまで上り詰めます。
そのところどころに、タイトル通り『影法師』のように彼を守ってくれていた刎頸の友がいました。
途中から、「これはもしや…」と思いましたが、この文庫本には最後になんと「袋とじ!」の結末があり、それを読んで「やっぱりね」と思いました。

友情と恋愛と両方を貫いた「影法師」の切ないお話でした。
コメント (6)
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