ドルフィンベルベット

高齢馬のケアと徒然日記

『チヨ子』

2011年09月22日 20時27分10秒 | 読書日記
宮部みゆき氏の短編集で、いきなり文庫本になった本です
1999年から2010年までに書かれた著者自薦のミステリー&ファンタジー作品。

浅田次郎さんと同じで、文字を追いかけていくとどんどん吸い込まれて行ってしまいます
宮部みゆきさんの小説に出てくる人間は、本当にどこにでもいるような人達で、そんなフツーな人が持つ様々な感情が赤裸々に表現されているような気がします。

『チヨ子』は、アルバイト先で古いうさぎの着ぐるみに入ることになり、その中から見ると周囲の人々がぬいぐるみやオモチャに見えるという不思議な物語。
それらはその人たちが小さい頃に大切にしていたもの。
自分が何かを愛し、そして愛された証なのでした。

残念なことに、子どもの頃にそういう大切なものがない人はそのままの姿で映ります。
着ぐるみの姿で鏡を見た主人公は、その中に昔大切にしていたぬいぐるみを見ます。

小さい頃は大切にしたけれど、いつの間にか忘れ去られてしまった大切なもの。

主人公がそのぬいぐるみを思い出し、実家に電話をすると、捨てずに置いてありました。
そういうものを母親は捨てないものなんですね。

読みながら、私も大切にしていた大好きだったぬいぐるみを思い出しました。
幼稚園の時に戸塚のスーパーダイエーで買ってもらったあのパンダのぬいぐるみです

結婚した時に、もうぬいぐるみは「全部処分していいよ」と言って出て行きました。
これまでにも何度も「人形とかぬいぐるみ処分していいんでしょう?」と母にも聞かれていたし、現に殆どの人形は目にすることがありませんでした。

でも、この小説を読んで、無性にパンダに会いたくなりました
もしかして…と思って探してみたら、ありました。
箪笥の引き出しに入っていました。もう一つ、別のお人形と一緒に。
そのお人形の方は、母が私に似ていると言っていたものでした。
母も捨てられなかったのかもしれません。

それらを見つけたら、なぜか泣いてしまいました 
理由はよくわかりません。

私も年をとったのですね。

スッカリ汚れきったぬいぐるみを見て、旦那が笑いながら「洗ってやれよ~」と言いました
洗ってきれいになったら、パンダとお人形をお披露目します 

なんて、本の話からだいぶそれました
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『6時間後に君は死ぬ』

2011年09月20日 12時55分48秒 | 読書日記
またまた高野和明氏の小説です
2008年にドラマ化されたそうです。
先日の『K・Nの悲劇』に続き、ブックオフで購入しました

他人の“非日常的な出来事”が見えるという青年、山葉圭司。
彼の周りで起こる事象の短編集です。

彼にビジョンを見られた人はその通りの運命を辿ります。

その「運命」は避けられないのでしょうか?
避けられたとしても、それも「運命」で片付けられてしまいます。。。

ただ、1つの救いは、1つでも現実がビジョンと異なると、運命も変わる可能性があるということ。
決して最後まであきらめてはいけないのです。

最初と最後はハラハラドキドキですが、ほのぼのとする物語もあり、とっても面白かったです 




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『K・Nの悲劇』

2011年09月15日 12時54分39秒 | 読書日記

『13階段』で江戸川乱歩賞を受賞した高野和明氏のミステリー小説

「妊娠」、「人工妊娠中絶」、「不妊」、という重~い題材が詰まっていますが、ストーリーはとても面白くて一気読みしてしまいました。
女性の母性の強さと恐ろしさを思い知らされるような小説で、是非とも、男性には読んでもらいたいと思いました

日本における人工中絶件数は約28.9万(2005年のデータ)だそうです。小説ではもっと多かったような・・・。
とにかくこんなに多いものとは知らない人も沢山いるのではないでしょうか。
そして犬猫の殺処分数は約31万(2007年のデータ)。

ペットを安易に捨てる人間は一番の悪だけれど、保護という立場では去勢や避妊も致し方ない、と言われていますが、著者曰く、「本当に去勢が必要なのは人間だ」と。

病気や犯罪の被害に遭うなどの事情を除いて、命を粗末に扱って欲しくないというメッセージだと思います 

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『薄妃の恋』

2011年09月08日 19時44分07秒 | 読書日記
可愛らしい少女(の姿をした)仙人『僕僕先生』(仁木英之著)の第2弾です

5年ぶりに再開した僕僕先生と王弁が再び旅に出て、そこで様々なトラブルに遭遇します
相変わらず僕僕先生と王弁の掛け合いが面白くて、通勤電車の中で何度も「ぷっ」と噴出してしまいました

この世のものでない人?たちもたくさん登場して、読み進めているうちに、何となく『しゃばけ』を思い出しました
でもしゃばけよりもウィットに飛んでいる気がします。

中国が舞台なのに、そこに出てくるお坊さんが何故か関西弁だったり
王弁の若さゆえの欲求であったり

でも、本当に大切なことは何か、も常に考えさせてくれます

本当にほのぼのしながら心の底から楽しめる小説です 
次のシリーズの文庫化が待ち遠しいです 
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『風の中のマリア』

2011年09月03日 19時15分44秒 | 読書日記
ダミ子姉さんに借りた『永遠の0(ゼロ)』の百田尚樹氏の小説です

主人公マリアは、ヴェスパ・マンダリニア=オオスズメバチの勇敢な戦士(ワーカー)です。
彼女の一生を通して、オオスズメバチの生態が手に取るように、まるで自分の目で見たようにわかる小説です

「ふんふん、なるほど」と知識を得ながら、冒険小説のようにドキドキ・ワクワクしながら一気に読みました
同時に「生きること」の意味を考えさせられました

また、ワーカーたちの栄養となる「甘露」の文字を見るたびに、馬に乗る時にいつも飲んでいる“ヴァーム”を思い出しました
飲んでも劇的に元気にならないところをみると、やっぱり蜂にしか効果がないのかな?なんて思ったりもしました

「これは面白い」と思える小説に、久々に遭遇した感じです 
コメント (2)
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