ドルフィンベルベット

高齢馬のケアと徒然日記

『きのうの神様』

2017年07月15日 07時46分26秒 | 読書日記
同僚A子さんから借りた本。
『ゆれる』、『永い言い訳』と同じ西川美和氏が医療(おもに僻地医療)をテーマにした短編小説集です。
こちらも映画になった『ディア・ドクター』も収録されています。

さまざまな勤務地、勤務形態で働く医師の心情、患者さんと家族、医療従事者の想い、などなど。
医療現場で繰り返される人の命や人生をテーマにしたドラマは、誰にとっても身近なもので、色々と身につまされるものが多かったです。

それでも時々ぷっと吹き出してしまうような描写も多くて、テーマは重かったりもしますが、悲愴感で終わることもありません。

『ディア・ドクター』では、外科医の父親が脳梗塞で倒れ、ICUで人工呼吸器にのっている彼の傍らで、大人になってから疎遠になっていた兄弟があることで笑い合い、看護師さんに注意されるシーンがあります。
数年前に祖母のお通夜で久しぶりに姉と会い、携帯のメアドを交換しながらおしゃべりをしていて、会場の女性に思いっきり睨みつけられたことを思い出して、クスっとなりました。

同氏の小説がもっと読んでみたいです。
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『活版印刷三日月堂』

2017年07月04日 12時48分52秒 | 読書日記
ほしお さなえ氏の小説。
舞台は埼玉県の川越。

主が亡くなり一度は閉店した活版印刷の三日月堂。
そこに若い孫娘が一人戻り、再び機械を稼働することに。

活版印刷、そして、孫娘(弓子さん)を通して、人々の心のわだかまりが解けていく。
そんなあたたかい短編で構成されています。
心に残ったのは、人は死んで星になることはないけれど、その星をその人だと思えば、そうなるのだということ。
お星さまになるという夢は、かなうかもしれません(笑)

活版印刷…、というと松本清張を思い出します。
子供のころにそんな写真を見たからかな?

デジタルの時代に文字を拾って、組んで、インキ(インクではなく)を使って、押す。
そうして印刷された文字を、実際に見てみたいと思いました。


さて、久しぶりに1冊の本を読み終えました。
この前に、何か月も読み続けていた本があります。
『水鏡推理』シリーズの1冊ですが、内容が難しいのとリズムが合わないのとで、どうにもこうにも読み進まず、半分ほど読んでギブしました。
小説にも、相性があるのだと思います。
コメント (2)
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