グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

農産物。売れると踏んだら 増産×増産。

2013-12-26 15:28:07 | Weblog
農産物。売れると踏んだら 増産×増産。

6月の記事ですが、よろしかったら。

 ↓

農業における産地間競争の話 の続編です。

右肩上がりに売上げが伸びていく商品があれば、官学民の協力のもと
に 産地の総力を挙げた生産量を伸ばすための努力が重ねられます。

たとえば、宮崎県の地鶏のケースがあります。

2000年度には43000羽程度だったはずの生産量は、03年度
に136000羽、2006年に250000羽、そして2012年
度にはも460000羽出荷されるという実績が残されました。10
年ちょっとで10倍以上の生産が実現された
ことになります。

それだけではすみません。

これから 2015年度にかけての生産計画ですが、宮崎県によると
今後は 70万羽!の出荷を達成することを目標として、着々と〔
産を達成するための
〕準備がすすめられているといいます。

・・・こうなると黙って見過ごすわけにはいかないのが、宮崎以外の
九州各県です。

まずは大分県が「おおいた冠地どり」、長崎県が「つしま地どり」、
鹿児島県が「さつま地鶏」、そして福岡県が「はかた地どり」という
ふうに、まずは各県独自の“地鶏”の品種を開発して、宮崎県を猛追
しようとしています〔ちなみに12年度の出荷量の順位は宮崎43万
羽、福岡40万羽、鹿児島13万羽の順
〕。

なかでも力が入っているのは福岡県。福岡県畜産課の発表によれば、
5年後の2018年までには、はかた地どりの生産量を60万羽に
増産する
」という計画が公表されています。

・・・こうなると産地間競争というよりも産地間生産戦争とでも表現
したほうがよさそうな状況でしょう?

しかしこれが農業界。

ひとつの商品が売れると踏んだら、そして自分のいる地方でもその商
品の生産がより有利に展開することが可能であると判断できたら、
産に増産が重ねられていくことが常な世界
であるのです。

といったわけで今回は、

  各県独自の品種の設定
  各県における、その品種の増産強化 

という手段を使って、地どりの生産をめぐって九州の各県の間で展開
されている産地間競争の一例をお伝えしてみました。

・・・農業関係者のひとりとしてはですね、「九州の地どりの生産量が
増えていったとしても、地どりの販売価格がいままでのように安定し
つづけてていく」ことを願わずにはおられません。


◎ はんたいに消費量が減少することで、結果的に採算割れを起こす
  状況が続いていくようになれば、弱い産地から生産量が減少して
  いくことになります。「売れないとなったら、いずれは減産」という
  のも、またひとつの農業のすがたなのです。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染