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アグリコ日記

岩手の山里で自給自足的な暮らしをしています。

箱罠(はこわな)

2005-11-25 18:36:38 | 暮らし
私は百姓だからいろいろなものを作る。

もちろんそれは食べものに限らない。いや、元々動植物を育てるだけの人を百姓などとは言わない。それは単に従事する生産対象が農作物なだけであって、基本的には工場従事者と同等であり、現代ではそれらの人は農業(生産)者とカテゴライズされている。
語源的に百姓と農民とはまったく異なるものだ。そして私はどちらかというと百姓に近い。お金は大して稼がないけれど、その分暮らしに必要な多くのものを自分で作っている。

つい最近作ったものはこれだ。



これは一般的には箱罠という。英語で言えばアニマル・トラップまたはアニマル・キャッチャーだろうか。主に四足の動物を捕らえる装置である。動物が中に入るとその体重でストッパーが外れ、扉が閉まる仕掛けになっている。

なぜこんなものを作ったかというと、これは以前ここにも書いたのだけれど、毎晩のように我が家の鶏を目当てに来る動物がいるのである。それは狐であった時もあったが、ほとんどの場合は犬である。いわゆる野犬や野良犬と呼ばれるものだ。
例えばこのところ何度も犬の姿を見かける。決まって夜から朝方にかけて現れては鶏小屋の金網を齧ったり破ったりして我が家の大切な家族である鶏を重大な脅威に晒している。もちろんスヌーピーを近くに繋いだり私自身頻繁に見回ったりして注意はしてるのだけれど、何分夜にやってくるものだから人間の目も届きにくい。白い中型犬だ。首輪もしているから、もしかしたらどこかの飼い犬かもしれない。無神経な飼い主が散歩の労を惜しんで夜だけ放している可能性も確かにある。

しかし昨年以来鶏を7羽も殺されてきた我が家にとってはそれは決して冗談では済まされない。当の家に注意に行こうにもあいにくそのような犬を飼っている家は近所には無いので、もし飼い犬だとしても恐らくはこのの犬ではないだろう。
そこで止むを得ざる自衛策として、このような箱罠を設置することにした。最初は市販のものを捜したのだけれど、価格が14万円かそれ以上もするので、ならば自分で作ってしまおうということになった。
フレームはアルミサッシの枠組みを利用。その他も基本的に家にある部材を繋ぎ合わせて作った。購入した材料や消耗品代はしめて5000円。試行錯誤でそれなりに時間はかかったけれど、充分それに見合うだけのコストダウンは得られたと思う。

さていよいよ昨日、この罠を仕掛ける。鶏小屋の隣りに設置し中に焼いた魚の頭を入れて扉を開けておいた。しかし夜にあいにく雨が降る。せっかくの誘き寄せの餌が役に立たなくなるかもしれない。

しかし、今朝夜明け頃に私はけたたましい鶏の声に起こされた。鶏独特の断続的な警戒音の合間にスヌーピーの吠える声も聞こえる。むむっ?もしかして・・・

取り急ぎセーターを羽織って裏庭に出た。確かにどこか様子がおかしい。近づいてみると箱罠の中に何かいる!やった!早くも何か捕らえたようだ!

しかし箱罠を前にしてその正体を見た私は脱力した。中にはアポロが情なさそうに佇んでいる。その脇にはウンチがひと山湯気を立てて・・・

・・・・・・

あのなあアポロ、お前のためにこれを作ったんじゃ、ないのだぞ。・・・

まあ、これでとりあえず、この装置の実用性は確認できた。猫の体重でも作動するとは期待通りの性能だ。まったく苦労した甲斐もある。
あとは改めて当該動物がかかるのを待つだけである。アポロもいきなり捕えられて余程驚いたように見えるので、二度とこの罠に近づかないと思われ・・・いや、思いたい。

捕えた犬は保健所が引き取ってくれることになっている。さて、見事野良犬を捕まえることができるだろうか。これからの時期、このでは毎年のように野犬が出没する。なんとか彼らの手から、我が家の鶏たちを守りたいと思うのである。



【写真は「ボク、何も悪いことしてないよ」とアポロ。
こら!もう二度と罠の中の餌を食べちゃだめなのじゃ!】





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8 コメント

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アポロの・・・ (velmon)
2005-11-25 21:52:28
きまり悪そうな顔、見たかったぁ・・・。

ひと山こさえたってことはくつろいだのですか?それとも怖くなって・・・
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野犬 (allie)
2005-11-25 23:56:26
そういえば岩手を旅行していて驚いたのは、放し飼いの犬が結構いることでした。

都会では猫はたまに見かけますが犬の放し飼いって、お目にかかったことがなかったので。

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velmonさん・・・ (agrico)
2005-11-26 16:50:34
彼は神妙に佇んでました。しかし彼の隣りには・・・



猫や犬は恐怖などの大きなショックを受けるとお漏らしするのですよ。大概小便ですが、大便とは私も初めて見ました。

恐らくいきなり背後で扉が閉まったので一時的にパニックになったのでしょう。私にはその様子が手にとるように想像できます。



彼のお陰で誘い餌に置いていた魚の頭が半分食べられてしまいました。これでは罠の用を足さないので、今日新たに新しい頭を設置したのですけどね。

どうなることやら・・・
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allieさん・・・ (あぐりこ)
2005-11-26 17:08:23
昔はどの家も犬を放し飼ってたようですけどね。それはそれで釣り合いがとれてたのでしょう。でも今は原則繋がれてる社会の中で僅かの数の家が放している。

犬の害というのは、受身になったときに初めて実感できるものですよ。犬を放してると他所の犬が来ても撃退するから何の害を受けることも無いのですが、でも自分ちの犬を繋いでるところに他所の犬が来たとすれば、

玄関先や畑に糞はされる猫の餌は奪われる鶏は襲われる、また夜中だろうが繋がれてる犬がワンワンと吠えます。

とても迷惑なものですよ。

以前うちでスヌーピーを放し飼っていた時は、我が家の敷地内から決して出ないように躾け、彼はそれを忠実に守っていたのでした。

でもそれを破らせたのはやはり犬を放し飼っている人でした。私の目の届かないところで食べものでスヌーピーを釣って「外出」する癖を付けてしまったのです。同じ放し飼いでも彼の犬はあちこちで迷惑をかけている。方や私の犬は決して屋敷内から出ようとしない。周囲の風当たりもあり、彼にはそれが面白くなかったのかもしれません。

しかし私は出歩く癖のついたスヌーピーを矯正することができませんでした。だからそれ以来、彼を繋ぐことにしたのです。



喫煙と同じで田舎は公共的社会性にルーズです。未だに過去の習慣と人脈による力関係で動いている部分が多いのですね。
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Unknown (びといん)
2005-11-27 18:04:33
 そうそう。百姓って、色々な事をやる(できる)人のことで、つまり「百の職業を名乗る」ってな意味だそうですよね。

 あぐりこさんは、本当に色々な事ができるので、まさに百姓ですね!

 すばらしいです。

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いや、そう言われると・・・ (agrico)
2005-11-27 19:29:07
かえって恥ずかしいのですけどね。これでも充分貨幣経済の恩恵に浴しているし、作らずに貰う物も多いのですよ。例えば服なんかはほとんど古着の頂き物です。現代一般的な生活パターンと「比較」すればなんとか百姓かなって思うだけです。



よく「独り身だからできるんだ」とも言われますが、それは多分間違いですね。妻子・家庭を持った人で私以上に徹底して自給の生活をしている人を何人も知っていますし、かえってひとり暮らしだと手が回らなくてできないことが多いのですよ。やってみて思うのですが、昔の生活は家族が多かったからできてた部分があるのですね。



必要に迫られれば人間大抵のことはできちゃうものですよ。特に暮らしの基本的なことで難しいことはあまりありません。私のしていることなんて、実際一昔前の人はみんなしていたことばかりです。

具体的に何ができるかできないかよりも、「今手にしている便利で豊かな生活を手放せるか」の方が鍵ですね。



C-Uもすしバーさんを迎えて賑やかになりましたよ。なんだかオーブの同窓会みたいです。
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Unknown (びといん)
2005-11-27 23:39:31
 CUは、俺にはハードル高いですわ(笑)。



 みなさん、文才ありますよねぇ。楽しく読ませていただいてますよ。
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確かに・・・ (agrico)
2005-11-28 16:40:51
ハードルは高いですよ。

よく私なんかが仲間に加わらせていただいたと、正直なところ時々思うことがあります。

でもだからこそ、今あの方たちと一緒にやれて嬉しいです。みんなそれぞれ一癖あって創造力に素晴らしいものを持っている。私は今その中で私なりのフォームで精一杯泳ぐだけです。



年に一度でいいから、C-Uの中において何ら遜色なく輝く作品を書きたい。

創作とはそういう面がありますね。書くほどに深みに気づいてしまいます。

発表する場は違っても、お互いにそんな気持ちで書けたらいいですね。年に一度、自信作を披露し合いましょうよ。
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