アグリコ日記

岩手の山里で自給自足的な暮らしをしています。

草とのつき合いもまた楽し

2004-06-15 08:13:57 | 思い
春になって裏庭や畑に黄色い小さな花があちらこちらに咲いているのが見えた。
とても可愛い花なので、何の花かと思っていたけれど、田植えが終わる頃になりポツポツとたくさんの赤い実をつけたのでわかった。

ヘビイチゴだ。

なぜか今年になって、我が家の畑はどこもかしこもヘビイチゴだらけになっている。
至るところに絨毯のような群落を作っている。
ヘビイチゴという、名前は恐ろしそうだけど毒は無い。ただ、食べても美味しくはない。
草丈も短く地面を這うように生えるので畑にあっても別に邪魔にはならないけれど、なぜ急にこんなに増えたのかと思う。

自然界の植物は必ず自分に適したところで生きている。

ススキやカヤは荒地に生える。
スギナは酸性土壌に生える。
オオバコは堅い地面や人が踏みつけるようなところに生える。

荒地を開墾して土を肥やしていけば、あれだけ密生していたススキの類が自然と無くなって行く。たぶん養分吸収力が大きいからだろう、肥沃地では食べ過ぎになって生きられないのかもしれない。
その反面、痩せ地でも生きれるコンフリーを畑に移すと、とてつもなく大きくなってどんどん増えていく。
炭カルを撒いて土壌を中和させればスギナは減っていく。
オオバコは背が低いから、他の草が茂ってくると生きられないのだろう。大抵背の高い草が育ちにくいところにいる。

こうしたそれぞれの植物の特性をひとつひとつ見つけて行けば、生えている植物を見ただけである程度土の中の様子を知ることもできるようになってくる。

以前ブルーベリーを定植して失敗したことがあるけれど、今、そこに生えてる草を見れば確かにそこは酸性土壌じゃなかった。(ブルーベリーは強酸性を好む。)

表土を取り去った栄養分のまったく無い土に、一番最初に生えてくるのは笹やフキ、スギナ、タケニグサ、その次にはヨモギだろうか。

竹や笹はどんな状態の地面にも根を貫通させながら進出する。そして年々葉を落としつつ表土を作る。
化学物質(化成肥料)で汚染された土にはミミズも住まなくなるけれど、そんな所でもヨモギやスギナは生えてくる。
彼ら農家に嫌われがちの強雑草たちは、実は人間が荒らした土を肥沃化するための尖兵の役割を、地球から担っているのかもしれない。

こうして見ると、草々によって実はそれなりの役目を持っているんじゃないだろうかと思えてくる。
土を見、草を見ながら暮らしていると、もしかしたらこの世界には「雑草」というのは無いんじゃなかろうか?生きてるものすべてが何かしらの大切な役割をもって”そこ”にいるんじゃなかろうか、と思ったりする。

草とつき合っていると楽しい。人間がどう関わるかでその地の植生が大きく変わって行くのがわかる。

先日家の裏にユキノシタを見つけた。以前はどの家にもあった民間薬草だけど、今は無用なものと思われて見向きもされない。
丈高い草に覆われながらも細々と生きてきたんだろう。岩陰に隠れるようにしてるのを草を刈っていて偶然見つけた。

個人的にはこんな草たちを大切にしていきたいと思う。


【写真はアヤメの蕾】


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