アグリコ日記

岩手の山里で自給自足的な暮らしをしています。

新しい一歩

2005-12-24 11:51:03 | 暮らし
足の裏がムズムズして落ち着かなかった。
寝ようとはするのだけどあっちにゴロリこっちにゴロリ、とても寝付けない。皮膚ではなくて足の内側骨の隙間に微細な虫がわさわさといるみたいだ。堪らなくて足を片方ずつ胸に引き寄せては指圧した。土踏まずから指の間・・・そうするうちにゲップが出てきた。次から次と留まることを知らない。腸もグルングルンと動き始める。何も食べてないのにどうしてこんなに動くのだろう。

しばらくそんなことをしてるうちに寝入ってしまった。

夜中に2度ストーブに薪をくべに起きる。未明から翌日味噌を仕込むための大豆を煮ている。

夜明け前に便意を催してトイレに立った。下腹が冷えている。
出てきた便は、軟便で黒茶色のどろりとしたものだった。例えて言えば溶けかけたカレールウに似ている。断食初日と2日目の朝以来もう4日大便をしていない。予感はあったが今出たこの便は、宿便というものだろうか。
正直言ってそれまで宿便とは食べてない状態で出るものだからウサギの糞のようにころころしてるのだと思っていた。
そういえば昔九州を旅した時にひょんなきっかけで訪れた家の方から自筆の本を頂いたことがある。
熊本県は南小国町に住む河津耕治さん。この方が自らの瞑想や断食、心の遍歴を綴った「遥かなる旅」。その中に宿便について確か書かれていたことを思い出して本棚からその本を引っ張り出した。
「コールタールみたいな油性の真っ黒いカニババ(宿便)」・・・ああ、確かにこれだ。そうか。ついに宿便が出たのか。

断食3度目、6日目にして初めて宿便を確認する。

人生43年、そのほとんどの期間を私は人一倍暴飲暴食をし化学物質を含んだ食べものを食べに食べ続けて過ごした。その私の腸内から食べものが一切取り払われ更に長年腸壁にこびり付いてきた老廃物も押し出されてきた。
今私の腸はきっと赤子のようにピンク色をしているだろう。40年間で一番きれいで生まれたての色に。

続いて読み進めた河津さんの本に、「断食をすると身体の内側にある健康センサーのスイッチが入るので、頭で判断しなくても身体に本当に良い食べ物だけを自然に選んで食べるようになる」と書かれている。これによって無理せず我慢せず食生活が変わり健康体になることができるとのこと。
そうか、こうして断食をする度にグイグイと綱で引っ張るように私は自分の体質を変えて来たのだな。そして今日念願の宿便が出た。これでもう一歩、私も進むことができたということなのだ。

薄明かりの中をスヌーピーを放して散歩する。昨夜に新しく積もった雪は25cm。脛で雪を掻いて進む。辛い。往復200mの僅かな道程の中で何度膝に手をついて腰を屈めたことか。スヌーピー、今日はここまでにしといてくれ。体力は完全に落ちている。
昨日間違えて麹の量を半分しか買って来なかった。買出しに行きたい。猫たちの餌も捜しに行きたい。でも今日のうちにこの雪を掻いて車で出かけることができるだろうか。私は今ほとんど精神力だけで動いているようなものだ。

新しい一歩。それを踏み出した日は雪に幽閉され寒さに包まれ、動くもままならない日だった。でも体の中は今までの人生で最高の燃焼効率を果たしている。






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